温故知新No2

静岡県の牧之原市から、盆栽、野球審判、蕎麦打ち、おやじバンド、その他徒然なるままに、ブログしています。

2012高校野球静岡県中部地区秋季大会No9

2012-08-19 07:46:13 | 野球審判活動

試合は、初回表清水東高校が先制。しかし、焼津水産高校も5回裏に追いつく。
このとき、まだ2アウトでランナーが3塁と1塁にいて、水産高校が逆転を狙う場面。
ここで、1塁ランナーは、ピッチャーの投球を見ながら猛烈な勢いで2塁へ盗塁。
そこでキャッチャーが2アウトなので盗塁を阻止に勢い良く2塁ベースに向かい送球。
と、盗塁ランナーはその送球を見たのか、あるいは始めからの作戦だったのか、2塁手前で急きょ振り返り1塁に向かって戻り始める。
1塁塁審であった私はこのとき、その戻り方が機械的な俊敏さであったので、これは、タイムプレーを狙った3塁走者のホームインを誘導する作戦かと一瞬思った。

(あとでこの時の状況を調べ直したSSK48氏によると、やはり3塁走者は、同時にホームに走ったとのこと。)
キャッチャーからの送球を取ったショートは、1塁へ戻ろうとする走者を見て、1塁側に位置していた2塁手に向かってボールを投げる。

この時である。

走者の急なUターンを想定していなかったであろう2塁手と走者が交錯。

したがって、ショートからの送球を2塁手は受け取れず、ただし、たまたまその延長線上の1塁ベース前で構えていた1塁手に送球の形となる。
これが、地面にたたきつける悪送球であったが、何とか1塁手はワンバウンドぐらいで補球。

2塁手と走者は互いに衝突したのが分かっているので両者棒立ち。

したがって、プレーが一瞬止まる。

その位置が2塁審判員の目の前。
このとき、2塁審判員は、何もジャッジしない。
この接触の場面はもちろん彼は見ていたが、次の行動に移せない。
わたしはこの時、新人審判員が呆然と事態を見ているので、オブストラクションと手を上げようとした。
ところが、次の瞬間、ホームベースのほうからタイムがかかる。
かけたのは、球審SSK48氏。
氏は、2塁審判のジャッジがなかったが、氏からは明らかに野手と走者が接触していることが見えていて、またスタンドがざわついているので、収拾のためタイムをかけた。
私はこのタイムが、オブストラクションの確認と3塁走者の得点の可否の確認だと思い、何も動かないでいる2塁審判員の腕を取りながら、選手がいないスペースに移動、4氏が集まった。
ここでSSK48氏は、開口一番接触があったよね、と3氏の確認をとる。
3塁塁審は、3塁走者の動きを見ていたので確認できなかったようだが、私と2塁審判員は、もちろん確認できている。
ところが、この時我々クルーは、この状況を野手によるオブストラクションではなく、走者の守備妨害と判断した。
ショートからの捕球をしようとしていた2塁手に走者が接触していったと解釈したのだ。
したがって、この後2塁ベース上にいるランナーをアウトにし、得点は認められない。
焼津水産高校にとっては、最悪のケース。さすがにこれには、水産側からアピールがくる。
そしてスタンドもざわつく。
審判クルーは既に判断をした以上、アピールに対して説明し説得するしかない。
しかし、水産高校の監督は納得がいかない。
おそらくは、監督としては、むしろオブストラクションと認識しているのだろう。
だから、ちょうど5回終了のグラウンド整備のときであったが、その間選手を通して幾度となくベンチから審判クルーに疑問を投げかける。
ちょうどこの時審判控室の窓越しにT岡氏から教えていただいたのだが、こんなときは、審判クルーは、グラウンドから引き上げることはせず、ベンチが納得するまでアピールを受け付けるようグラウンドの中にい続ける。
回りでは、本部、生徒によるグラウンド整備が着々と進められていたが、こちらは居残り。
そんな水産高校側とのやり取りを数回繰り返したが、おそらく監督は納得しないまま、グラウンド整備が終わりかける様子を見て試合の進行を考えたのだろう、アピールを終了した。
ようやく開放(!?)された我々であったが、審判控え室に戻ってきてのT岡氏からの一言は「あれはオブストラクションでしょ!」。
グラウンド整備が終了していて、投球練習が始まってるところ。
我々は、言葉を十分交わす時間もなく、せいぜい飲料水を一口二口飲んで急いでグラウンドに戻る。
試合終了後の反省会はさることながら、5回終了時点での同点の試合の展開が気がかりであった。
ただ、試合はその後焼津水産高校が奮起(!?)して加点をし、結局5対1で水産高校が勝利。
試合の行方は、審判のジャッジで少なからず影響される場合があるが、それをものともせず果敢に点を取りにいった水産高校の勝利への気迫が、わずかばかり清水東高校を上回っていたのか・・・。
試合終了後の反省会は、やはり長いものとなった。
夏の大会でもこんなに長い反省会は、そうもない。
それだけ、新人審判員にとっては、自分のミスを痛感していることであり、それをフォローできなかったわれわれも、その不甲斐なさに反省するものであった。
今回の反省の中で出た一番の課題は、始めから守備妨害ありきで話を進めていったこと。
はじめに全体の状況を掌握して、考えられるルール上の適用をクルーで考えることから始めるべきであった。

そうすれば、はじめは間違った解釈も、そのうち紆余曲折修正し、最終の正解を導き出すのではないかということである。

私も、勇気を出してオブストラクションだったのではと一言でもいっていればと猛省。
観客がいる公式戦の場面で、トラブルがあった場合、わずかな時間で冷静に判断することは、なかなか困難である。
しかし、今回のように、オブストラクションと守備妨害は、まったく180度違う結果。
そして一番被害を被るのは球児たちである。
これが大事な上位大会への出場権をかけての戦いの中では、あってはならないことである。
この後我々4氏はそれぞれ帰宅したが、新人審判員は、しっかりとYAGI審判長に事の成り行きを説明したようだ。
また、SSK48氏からは、今回の反省を氏なりに記録にとどめておきたいので、事の成り行きを詳細に確認したいと私の携帯に電話が入る。
私も整理したかったので、二人で一つひとつのプレーを思い起こすが、今になっては、ぼやけたところも出てくる。
いずれにしても、4氏協議の進め方、手順が悪いねとの考えは一致した。
携帯を切ったあと、晩酌をしながら、私なりにあらためて考えた。
今回の焼津球場は私にとって鬼門の球場。
そんな過去の苦い体験はいくらでも記憶している。
そして、まさにこの1、2塁間でのトラブルが焼津球場が私の鬼門球場であることの元凶である。
だから、今回の新人審判が初の2塁ベースを担当するにあたって、単に試合前の打合せでフォローするからとか、落ち着いてなどとありきたりの言葉を掛けるのではなく、過去にこの場所で起こった体験を伝え、事前の心の準備をさせておくべきであった。
一般的に新人審判員の苦手なところは、ランダウンプレイ、選手同士の衝突、ボールが走者に当たる、このときの瞬間的な対処ができないところである。
普段地元で担当する2塁と、やはり高校公式戦での2塁とは勝手が違う。
公式戦での雰囲気、緊張感、トラブル対処は普段の地元での指導では教えることができない。
このあたりを事前に配慮して、新人審判員に言葉を掛けておけばよかったと、今さらながらに悔やむのである。
今後の反省としなければ・・・。

このことをしがない印刷屋審判員に伝えたら、たまには泣けることをいう。

新人審判員はいい経験をした。早めの体験でこれから彼なりに精進していくだろう・・・。

終わり。

追伸

実は次の日朝一番でSSK48氏から携帯に電話がはいる。

彼なりに今回報告書をまとめ、上層部に報告するようだ。

その際、2、3の不明な点を確認したいとのこと。

昨夜も二人で確認しあっておぼつかない個所があった。

やはり、当事者で記憶をたどろうとしても、つじつまが合わない場面が出てくる。

若干推測を含んだ確認で携帯を切ったが、さらにその後もう一度携帯が鳴る。

SSK48氏が、あの時第3者的にプレーを見ていたMORI崎氏に今一度確認したようだ。

そうしたら、MORI崎氏は、当時の様子を明確に再現し、SSK48氏と私との間でよどんでいた疑問が一気に解決した。

いずれにしても、我々のルール適用の誤りは明確だ。

それにしても、SSK48氏のあいまいなままで終わらせることなく、真実を追究する姿勢と事後のフォローの綿密さに、敬意を表する次第である。

またいつかどこかでクルーを組み、今度は人から認められる審判をしましょう。

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1 コメント

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先日の焼津球場での、一件では対戦両チームは (SSK48)
2012-08-20 18:12:00
先日の焼津球場での、一件では対戦両チームは
もちろん、3人のクルーの方にも、大変ご迷惑を
お掛けしました。

温故さんには、久々の高校野球公式戦2試合を
気持ちよく、ジャッジして、清清しい気持ちで
球場を後にしていただきたかったのですが・・・。

実は、あの日の晩 焼津球場副主任の
NAGAI氏から連絡をいただき、「落ち込んでるかと
心配で電話したけど大丈夫か?」
もちろん落ち込んでいたけど、気を使ってもらい
本当に感謝の気持ちでいっぱいになりました。

野球は、プレーするのは勿論楽しいけど
審判も負けず劣らず楽しいです。
こういう言い方は不謹慎かも知れませんが
温故さん、これからも楽しく審判やりましょ
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