盆栽でこの時期の重要なもうひとつの作業は、もみじの葉刈りである。
もみじの葉は、そのままにしておけば、紅葉ののち自然に散っていく。
それを散る前に人の手で全て刈ってしまうのだ。
では何の為?
もみじは、その繊細な姿を保つよう、小枝はなるべく細く作りたい。
ここで、いつまでも葉を付けたままだと枝は成長し太くなる。
だから、葉を刈っていわゆる冬眠状態に早めにさせる。
また、来年の芽ぶきを想定して、樹形を整えるための剪定、あるいは不要枝を取り除くのだが、その際葉が邪魔になるため、刈るのでもある。
もちろん、枝造りよりも紅葉を楽しみたいという場合には、葉をなるべく長くおいておき、その後でゆっくり剪定することとなる。
しかし、今年の場合、気候は暖かく、このままだときれいな紅葉が見られないと考え、今年は紅葉を楽しむのをやめ、もみじの樹勢を優先させ、早めに葉を刈ることとした。
もうひとつ大きな理由は、もみじは剪定時期を間違えると、切り口から樹液が出てくる。
いわゆる、この樹液は、もみじの種類によっては甘味料のメイプルシロップとなる。
この樹液は、もみじにとって見れば,大事な栄養分。来年新芽を出す為の養分であるので、樹液を出してしまうということは、来年の発芽に影響する。
樹液を出さないで剪定できる時期は、冬真っ盛りの時期。
ただし、そこまでは待てない。
早めに剪定はしたいが、樹液を出すわけにはいかない。
そこで葉を刈ることにより、もみじは、葉が散って冬を迎えたと錯覚し(!?)、樹液の配給をストップする。
そこを見計らって、剪定するのだ。
特にここ静岡のような暖かい地域は、落葉が遅く、剪定も遅くなるため、枝の成長が強くなりがち。
したがって、暖かい地域の葉刈りは、必須である。
【まだ緑豊かな葉で忍びないが・・・。】
【葉刈り前】
【葉刈り後】
【全ての葉刈り後。この後しばらくしたら、樹形を整えるため、枝の剪定作業がある】
【私が持つもみじで一番の大物。半分刈ったところ】
【葉刈り後。この木で約1時間半かかる】