西の空を夕日がもうすでに、申しわけなさそうにわずかばかりの茜色に染めている時。
仕事を終え、駐車場に、帰りの道を戻るため車に乗り込む。キーを回し、エンジンが始動した直後、いつものようにスピーカーからアリスの曲が流れる。朝エンジンを切ったその次からの「冬の稲妻」。
今日も車の中で谷村と一緒に歌いながら帰ろう、と思いシフトノブに手をかけたとき、左胸のポケットで振動が始まり、そのうち着信音が次第に聞き取れる音量に増していった。
表示を見ると、見知らぬ番号。私はいつも大きめに聴いているボリュームをゆっくり下げ、なんとなく察し疑いもなく出る。
女性の少し事務的、でも、わずかながら申し訳なさそうな切り出し。「大石様ですか?」「おやじバンドコンテスト事務局です。」「この度ご応募いただきありがとうございました。」「ただ、皆様大変多くご応募いただきました。」
そして、案の定、声が次第にゆっくり、かつ低くなり、次の瞬間「大変残念ですが、選考されませんでした。」
おそらく、予想もつかず、いきなり「残念な結果でした」といわれれば、とっさに、なんで?他の人はどういう人が選考されたの?なにか地域的とか、年齢層とか、バンドの志向で選考したの?とか矢継ぎ早に問い詰めたかもしれない。
しかし今日の私は、初めっからなんとなく落ち着いて、状況を即座に納得して、そのままあっさりと携帯を折りたたんだ。
したがって、全てを理解して何も言うことなく、受け入れながらあらためてシフトノブに手をかけた・・・。
・・・なーんて。小説っぽく皆さんにお伝えしているが、とにかく、「選・考・漏・れ!」
バンドみんなさん残念でした。
まあ、書類選考の間げきを縫ってあわよくばグランシップへ・・・などと考え夢の中へ・・・。
選考結果の電話を受けた後、メンバーに第一報を出したら早速、「残念・・・」の返信数件あり。
まあ、ひと時の夢を追い求めたのと、久しぶりにみんなが集まって練習ができたことの喜びを今後につなげ、次の機会を考えましょう。
でも、とにかく、今度の日曜日10月1日、いつものところで、午後1時から集まって練習しましょう。
そして、早めに切り上げ、今後の傾向と対策(?)をお茶をしながら考えましょう。