田舎に住んでる映画ヲタク

「映画大好き」の女性です。一人で見ることも多いけれど、たくさんの映画ファンと意見交換できればいいなぁと思っています。

天才作家の妻 40年目の真実(The Wife)

2019年04月22日 16時44分15秒 | 日記

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 ベテラン女優グレン・クローズが、世界的作家の夫を慎ましく支えてきた妻に扮し、夫婦の絆や人生の意味とは何かを描いたヒューマンドラマ。主人公ジョーンを演じたクローズは第91回アカデミー賞で主演女優賞にノミネートされ、クローズ自身にとって7度目のアカデミー賞候補になった。現代文学の巨匠ジョゼフがノーベル文学賞を授与されることになり、ジョゼフと妻のジョーンは息子を伴い、ノーベル賞の授賞式が行われるストックホルムを訪れる。しかし、そこでジョゼフの経歴に疑いを抱く記者ナサニエルと出会い、夫婦の秘密について問いただされる。実は若い頃から文才に恵まれていたジョーンは、あることがきっかけで作家になることをあきらめた過去があった。そしてジョゼフと結婚後、ジョーンは夫の影となり、世界的作家となる彼の成功を支えてきたのだが……。夫ジョゼフ役は「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズなどに出演するベテラン俳優のジョナサン・プライスが務めた。(映画.comより)

 

 

 

 

 邦題がいけませんね。もうこれだけで「はっは~ん」って内容がわかるようになってるじゃないですか。まぁそこを暴くだけがストーリーじゃなくて、いろんな要素が詰まっているわけですけどね。ジョナサン・プライスとグレン・クローズという、ため息が出るほどの名優たちの演技を堪能できるところが一番の見所です。個人的には久しぶりに見れたクリスチャン・スレーターがうれしかったのと、名優たちの息子役でこれまた名優のジェレミー・アイアンズの息子マックスを見れたのがラッキーでした。ただ、マックスは若さゆえか演技が未熟で、ジョナサンとグレンとの共演がなんだかかわいそうでした。

 ジョナサンはノーベル賞を授与されることになったほどの大作家。その陰には控えめで献身的な妻グレン・クローズがいました。彼らの出会いは大学。ジョナサンは未来ある若き教授、グレンはそこのゼミに入門してきた学生でした。この場面、それぞれ若い俳優が彼らの若いころを演じるのですが、教授が不自然なほど若いように思ったのは私だけでしょうか。どう見ても学生にしか見えないような、女子大生と並んでも見劣りしない若々しさ。設定は妻帯者の教授ってことになってましたが、不自然でしたね~。

 で、お互いの才能に惹かれあった二人は世の言うところの”不倫”ですね、結果的に略奪愛となるわけです。でも、作家として、きらりと光る表現ができたのは妻のほうだった。文章の構成やネタは夫が考えることがあったとしても、やはりずば抜けた才能を持っていたのは女性のほうだった、というお話です。夫もノーベル賞を授与される今まで、人がそれと信じるほどの知性を持ち合わせ、立ち居振る舞いもそつがなかったということです。しかし、そのコンプレックスの裏返しか、あるいはストレスか、教授は傍目に奇異なほど食欲旺盛です。ずっとなにかし食べているのです。それこそ、帰りのタクシーの中でも、真夜中に起き出してでも。決して肥満しているわけではないのですが、映画を見ていた私も半ばから気持ち悪くなってきて、彼がとても下品に見えてきました。あんなに四六時中ものを食べているなんて。グレンは控えめで決して前に出ない女性だったからいいけれど、私だったら文句言うかも。作家になりたくて試作品を書いたのに、ちっとも感想を言ってくれない父親に対して不満をぶちまけた息子も「豚みたいに食うな」と、しまいに言ってました。

 ともかく、妻がいないと何もできないのはどこの夫も一緒でしょうが、彼の場合は違った意味をも内包します。身の回りを嗅ぎまわり始めたジャーナリスト、クリスチャン・スレーターの出現もあって、ストックホルムでは妻の帰りが少し遅いと取り乱したり、授賞式では「私に言及しないで」と妻が頼んだのに、懇切丁寧に妻を褒め上げたり、だんだんと妻が居場所を失う感じになってきます。もちろん、彼に悪気はないのですが、ノーベル賞の重圧が大きすぎたのかもしれません。

 そんなこんなが重なって、妻はある決心をします。そして行動に出ようとしたときに、教授に異変が起きるのです。

 

 これは実話なのかなぁ。最近の映画の宣伝でも「ほんの60年前、アメリカで、女性は夫名義でないとクレジットカードを作れなかった」というフレーズが流れてましたね。そう「ビリーブ 未来への大逆転」でした。「バイス」も、wifeのほうがずっと優秀だったけれど、夫(ディック・チェイニー)をできる男に仕立て上げるしかなかった時代が描かれてましたね。「ビリーブ」と同じ時代なのでしょう。クリストフ・ヴァルツの「ビッグ・アイズ」も、女性の絵だと売れない時代の話でしたね。これはもう少し前の時代の話だったと思うけど。表題の映画も、”女性作家だと分かった時点で誰も読まなくなる”時代の産物なのです。

 それでも、妻にとっても、陰に隠れているほうが生きやすかった。元々控えめな性格で、目立つことが嫌いだった・・・。そんなこもごもで、彼女も今まで特に不満に思わずに生きてきたのでした。それはそれでアリだとは思います。主人の顔は立つし、自分は目立たずに済む。ただ、長~い人生、背伸びばかりしてるとどこかにほころびが生じます。ましてやノーベル賞級の人たちと顔を合わせるとなると!

 いろいろありますが、私個人的にはハッピーエンドだったのではないか、と思っています。いろんな感想があるでしょうけれど。お勧めです。

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