解説
『パリ、テキサス』から3年、ヴェンダース監督が選んだ次なる舞台は、壁が崩壊する前のベルリン。天使の世界をモノクロ、人間の世界をカラーで表現したこの壮大な映像詩は、初公開時には30週を超えるロングランヒットを記録し、80年代ミニシアター・ブームの火付け役となった。ヴェンダースはカンヌ映画祭・監督賞を受賞。
物語
ベルリンの街は天使たちに見守られている。彼らは人々の心の声を聞き、それぞれの苦悩に寄り添っていた。だが天使の一人ダミエル(ブルーノ・ガンツ)は、永遠の霊でいることに嫌気が差し、人間になりたいと悩んでいた。ある日、サーカスに迷い込んだダミエルは、空中ブランコを練習中のマリオン(ソルヴェーグ・ドマルタン)に恋をしてしまう。天使としての“死”を意味する事と知りながら、ついにダミエルは天界から降りることを決意する。
こぼれ話
『パリ、テキサス』の後、ヴェンダース監督は次回作に『夢の涯てまでも』を準備していたが、撮影が延期されることに。代わりの作品を作らざるを得なくなり、母国語のドイツ語でベルリンを舞台に撮影することで企画されたのがこの作品だった。世界中で大ヒットした本作は、6年後に続編『時の翼にのって/ファラウェイ・ソー・クロース!』(93)が作られた。1998年にはハリウッドで『シティ・オブ・エンジェル』としてリメイクされている。
(午前十時の映画祭 公式ウェブサイトより)
<2024年5月19日 劇場鑑賞><午前十時の映画祭>
なんとも優しい映画。ロングランされたのもわかる気がします。題名はよく聞くけど実は見ていなかった映画。これほど優しい映画だったとは。でも、今見るからそう感じることができたのかもしれません。若い頃見るとどう感じたかは今更想像できませんが。それより、リアルタイムで見た「シティ・オブ・エンジェル」がリメイクだとは知りませんでした。ニコラス・ケイジって天使だったっけ?最初からメグ・ライアンと一緒にいなかったっけ?あの映画って、メグが交通事故で死ぬシーンが危なすぎて、だって自転車のハンドルから両手を離して上向いたまま(要するに前を向いてない)トラックと当たるなんて「それはよそ見していたあなたが悪いのでは?」って思ってしまう場面だったし、イマイチよくわからない映画だった記憶。これって、事前に「ベルリン天使の詩」を見ていれば違ったのかしら?
映画では、人に寄り添う天使さんたち、結構な密度でいます。図書館だけであれだけいるとなると、世界中では人間より多いのでは?(笑)ひょっとすると、天使には知的な人が多くて、図書館が特に多いのかもしれませんが。悩んでいる人が多く集まるところに重点配備されているとか。で、そんな中、天使の一人が人間の女性に恋をしてしまい、人間になることを選ぶ、そんな話です。もちろん、人間になってしまうと寿命があります。天使のように永遠に存在することはできません。それでも、そちらを選ぶということですね。キャプテン・アメリカが、最後に”普通の人生の記憶”を選択して老人になり、盾を後輩に託したのを想起しますね。でも、この映画の天使たちのように、人に優しく寄り添うことが使命なら、やりがいがあるのかもしれませんし、それぞれでしょうね。
大画面で見れてよかった。午前十時の映画祭では「時の翼に乗って」は続けて上映されませんでしたが、是非見たいと思いました。
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