田舎に住んでる映画ヲタク

「映画大好き」の女性です。一人で見ることも多いけれど、たくさんの映画ファンと意見交換できればいいなぁと思っています。

パリ、テキサス(Paris, Texas)

2024年07月12日 14時06分34秒 | 日記

色褪せることのない「パリ、テキサス」 | 帰ってきた神保町日記 ~Return to the Kingdom of Books~

パリ、テキサス 2Kレストア版 |テアトルシネマグループ

パリ、テキサス:ヴィム・ヴェンダース - 続 壺 齋 閑 話

 ヴィム・ベンダース監督が、テキサスの荒野を放浪する男の妻子との再会と別れを、ライ・クーダーの哀愁漂う音楽に乗せて描き、1984年・第37回カンヌ国際映画祭でパルムドールに輝いた傑作ロードムービー。荒野をひとりさまよっていた男が、ガソリンスタンドで気絶した。記憶を失っている男の持ち物を手がかりに連絡を受けたウォルトは、男が4年前に失踪した兄トラヴィスだと確認する。トラヴィスはテキサス州の町パリに所有する土地を目指していた。徐々に記憶を取り戻したトラヴィスは、4年ぶりに再会した幼い息子とともに、妻を探す旅に出る。主人公トラヴィスをハリー・ディーン・スタントン、妻をナスターシャ・キンスキーがそれぞれ好演。俳優サム・シェパードと「ブレスレス」のL・M・キット・カーソンが脚本を手がけた。(映画.comより)

 

 

<2024年5月26日 劇場鑑賞><午前十時の映画祭>

 ヴィム・ヴェンダース監督の映画の中でも見ていなかった作品、午前十時の映画祭のおかげで先日の「ベルリン天使の詩」に続き、もう一つ見ることができました。感謝、感謝です。あんまり知識を入れずに見たのだけれど、題名からしてパリやテキサスを訪ねるロードムービーかと思ってました。まさか、アメリカのテキサス州に「パリ(ス)」という地名があるなんて。マジで驚きました。

 で、なんらかの原因で記憶喪失になっていた男トラヴィスが発見され(ハリー・ディーン・スタントン!)、連絡を受けた弟ウォルトに引き取られます。実は、とても若い女性と大恋愛の末結ばれたトラヴィスには、幼い息子がいたのですが、彼が失踪してからはウォルトが育てていたのでした。少しづつ記憶を取り戻してゆくトラヴィス。息子にもどう接していいか戸惑うばかりでしたが、時間が徐々に解決してゆきます。

 すると次に気になるのは、妻のことですね。美しかった若妻はどうしているのでしょうか。若すぎたのか、愛しすぎていたのか。ともかく、崩壊してしまった二人の関係は、この後ある場所でトラヴィスの口から語られます。

 

<ここからネタバレ>

 そこはマジックミラーごしに女性と話せる風俗店でした。こちら(客側)から女性の姿ははっきり見えます。でも、女性から客の姿は見えなくて、電話越しにお話するのです。日本でもその昔存在していた「テレホンクラブ」のマジックミラー版ですね。日本のテレホンクラブは、若い女性とお話するだけで姿は見えなかったと思うのですが(利用したことがないので確信はないが、そう聞いている。男性が数人それぞれブースに座っていて、女性側からかけてきてくれるから、一秒でも早く電話を取ったほうが勝ち、とも聞いた。しかしそれなら、もっとお金を払ってでも、この映画のように確実に話せるほうがマシな気がしますね。もっとも、そういうシステムもあったのかもしれませんが)。

 余談が長くなってしまいました。すみません。ともかく、元妻は元夫と知らずにサービストーク。「服を脱ぐ?」とも言い、トラヴィスは慌てて「いやいい。やめてくれ」と言います。そして何度か指名して会ううちに、トラヴィスは涙ながらに身の上話を始めるのです。その内容に、元夫だと悟った元妻。でも、相手の姿は見えません。彼が教えてくれたホテルの部屋へ行くと、まだ幼い息子が待っていました。抱き合う二人。しかし、その姿を確認したトラヴィスは、再び旅立ってしまうのです。

 

<ネタバレ終わり>

 若妻を演じたのはナスターシャ・キンスキー。一番上の写真で、鮮やかなピンクのセーターを着ているのが彼女です。美しいですね。確かに、ハリー・ディーン・スタントンの妻にしては若すぎる感じはします。でも、家庭が崩壊しても、きちんと弟夫婦に送金していたのは立派です。いろいろあっても、ちゃんと「思われていた」と理解できれば、子供は滅多とグレません。

 個人的には、ハリー・ディーン・スタントンが大好きで、知らずに映画を見始めたので、彼が出てきた時は「ラッキー!」と思いました。彼の映画はいくつも見たけど、一番印象に残っているのは、やっぱり「ストレイト・ストーリー」かな。何も言わないのにみるみるうちに目に一杯の涙を溜める、あの演技に監督が撮りながら涙を流したというのも納得でした。奇抜な役も多かったですけどね、でも大好きな俳優さんです。ちなみに、なぜ「パリ・テキサス」なのかというと、そこは両親が初めて愛し合った土地で、トラヴィスはそこで生を受けたからです。それで、彼はそこの小さな1区画の土地を購入してあったのですね。そもそもそこを目指している途中に、酒場で倒れて弟に再会することになったというわけです(上にはガソリンスタンドとあるけど、たぶんスタンドにパブみたいなところがあったんだと思う)。

 すごいですね、1984年の映画なのに、今見ても「価値観が古い」とか思わない。弟夫婦をはじめ、みんな親切で優しいし、見ていても気持ちよかった。弟も成功してるんだね、なかなかその歳になって兄の面倒をみるなんて余裕ある人、少ないと思うよ。遠くまで迎えに行ったり、車を快く貸したり、お金を都合したり。偉いな、と思いました。

 ヴィム・ヴェンダース監督の作品、次の挑戦は「時の翼に乗って」ですね!午前十時の映画祭で上映しないのかな。

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