「右足を出して左足出すと……歩ける~!」「両足の膝を一緒に曲げると……座れる!」「手首を前に何回か曲げると……人来る!」、最近テレビでよく見る「当たり前体操」の歌詞である。当たり前すぎる内容にあわせて体操するお笑いコンビのCOWCOW人気ネタだ。
漠然とこのシーンをテレビで見て笑っていた。当たり前過ぎることを、さも新しいことを発見したかのように体操をしながら歌うところが滑稽であった。そんな中、今朝(20日)の毎日新聞の1面にある「余録」を読んで、「1本とられた!」というほど痛烈な刺激を受けた。
「高校生による、ちょっと変わったサッカーのリーグ戦が東京で続いている」という。このリーグの創設者は筑波大付属高サッカー部顧問の中塚さんで、「最後の大会」が終わると3年生が引退することに疑問を持った。サッカーが高校生活の一部になっていないと考え、「引退なし」のスポーツライフの実現、つまり「サッカーの生活化」を目指した。勝利指向のチームから一歩踏み出し、サッカーが好きで、もっとうまくなりたいという子どもたちが集まるのが部活動だ。「引退」は、卒業する時であるという。
これを読んだ時、ハッとした。サッカーもそうなのだろうが、日本中を沸かせる夏の高校野球も、甲子園大会が終われば3年生は引退する。直ぐその後に開催される秋の県大会には3年生は出場しない。高校の部活動として、丸3年間野球をしっかりやりたいにもかかわらず出来ない思いをする3年生は多いのではないだろうか。
中塚先生はこのことに気付き、その対策をすでに実行に移している。この余録を読むまで、高校野球部の3年生は夏の大会後の引退は「当たり前」だと思い込んでいた。卒業までの残り半年、野球少年が好きな野球の試合が出来ないことに私は何の疑問も感じていなかった。
「当たり前」体操で笑わせているあの歌詞も、全ての人に対して必ずしも「当たり前」なことではないが、 身の回りのことで一見して「当たり前」に見えることを見直してみれば、おかしなことは、まだまだあるような気がする。いつどこで私は洗脳されていたのだろうか。COWCOWの責任ではない。