写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

自助努力

2018年06月13日 | 生活・ニュース

 今朝(13日)の新聞の第1面最上段に大きく「北朝鮮完全非核化約束」と、12日にシンガポールで開催された米朝首脳会談で出された注目の共同声明の結果が踊っている。

 10時から行われた会談の様子を、テレビの前に座り、じっくりと主役の2人の様子を観察した。会談場所のホテルに着き、装甲車のような車から降りて歩く時の顔は、2人とも緊張した面持ちであった。
 
 ところが、過剰なほどに演出された晴れの舞台の上で左右から歩み寄り、握手をしたときには2人とも満面の笑顔で12秒間も握手の手を固く握ったままであった。すべての行動はトランプ米大統領が仕切っているように見えた。
 
 共同声明の内容については賛否両論あるが、まずは北朝鮮の金正恩委員長を全世界の衆人環視の国際舞台に引っ張り出すことが出来たことを評価したいと思う。何といっても今までは、金正恩とは間接話法でしか話が伝わらなかったのだから、直接対話ができたというだけでも大いに評価したい。
 
 と、まあ、会談の成果については、これからの進展を見なければ評価はできないが、今回の会談は、言ってみれば「子供の喧嘩の仲直り」に似ている。ついこの間までは、トランプ米大統領はツイッターで金正恩委員長のことを「おじけづいた犬」とか「政治家ではなく、火遊びが好きなちんぴら」とか「リトル・ロケットマン」と罵っていた。
 
 一方金正恩委員長は、トランプ米大統領のことを「狂った老いぼれ」とか折衝の関係者を「人間のクズ」などと、これまた口では負けてはいない罵り合戦であった。まさに子供の喧嘩での「お前の母さんでべそ」と同然であった。

 こんな2人が、会談中は一変して尊敬し合ったり、感謝したり、褒め合ったりの「持ち上げ合戦」である。一体こんなに豹変できる人間が、私の周りにいたとしたら、私は全く信用しないし、仲良く付き合う気はしない。

 そもそも、北朝鮮という国は、近所付き合いをどう思っているのだろうか。一般社会では、自分のことは自分でやるということが基本であるが、自分のことがままならず、他人を頼りに生きていこうとする姿勢が気に食わない。それも核兵器という暴力を用いてである。
 
 努力してもどうしようもない時はある。そんな時には回りが支援の手を差し伸べることはあるが、始めから支援を、しかも暴力でそれを求めようとする姿勢は間違っている。まずは真摯な自助努力の姿勢を見せてほしい。それを期待するのはどうやら無理のような気がするが、辛抱強く長~い目でやはり期待してみてみたい。