写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

ハンカチおじさん

2007年05月22日 | 生活・ニュース
 夕方6時を過ぎたころ、ハートリーをつれて散歩に出た。山蔭を歩いて明るいところに出たとき、向こうからミニバイクに乗ったご婦人がやってきた。

 私のそばに来たとき、バイクを止めヘルメットを脱いだ。顔を見ると裏の団地の一人住まいのFさんであった。

 娘さんが私の息子と同級だったと聞いていたが、今は嫁いでいる。毎日バイクに乗って仕事に出ていて、充実した日々を送っているように見受けられた。

 「先日、ロードスターさんのエッセイを新聞で読みましたよ」という。「何新聞ですか」「朝日です」と答える。

 数日前の朝日新聞の「声」の欄に「カフスボタン」という題で、亡き母が北海道旅行に行ったとき、お土産で買ってきてくれたカフスボタンのことを書いたものが掲載されていた。

 「あのエッセイを読みながら、お元気だった頃のロードスターさんのお母さんのことを思い出しました」と言ってくれる。

 私の母を知っている人が読んでくれていた。話をしていると、エッセイを読むのが好き、文を書くことも好きだという。

 「これからもエッセイを新聞に投稿してください」と言いながら、小さな包みを出してくれた。ハンドタオルだと言う。

 生まれて初めて読者からプレゼントを頂いた。しかもハンドタオル、いや木綿のハンカチだ。ハンカチ王子ならぬハンカチおじさんになった気持ちであった。

 帰り道、お返しに私の自費出版書「行くぞ! ハートリー」の手持ちのものを「もしよかったら読んでください」と言って、お貸しした。

 新聞の読者投稿欄は読者が多く、このように不意に声をかけられることが間々あるが、意表を突かれるそれもまた楽しく嬉しい。

 明日からの散歩には、頂いたハンカチで顔の汗を上品に押さえながら歩いて見よう。犬と歩けば誰かに当たり、また何かもらえ…、そうそうそんなことはないか~。
  (写真は、散歩中いただいた「ハンドタオル」)