昨夕、車で錦帯橋のそばを通りかかってみると、10日間あまりに亘って楽しませてくれた桜も一様に花びらを落とし、界隈は元の静けさを取り戻していた。
明けて今朝、しとしとと春雨が降っている。出窓の外に見える花水木の枝を見た。
27年前、家を新築した時に植えていた花水木の幼木は、今や背丈は6m、幹の太さは15cm位までに大きくなっている。
2、3日見なかった間に、苞は開いて小さな花びら状になっていて、枝全体が濃い赤みがかって見える。こんな雨の中、健気にも咲き出そうとしている。まさに「雨に咲く花」だと思った。
「雨に咲く花」といえば、1960年(昭和35年)、井上ひろしが、リバイバル曲として大ヒットした歌である。
♪ およばぬことと 諦めました だけど恋しい あの人よ
儘になるなら いま一度 ひと目だけでも 逢いたいの ♪
甘い声で魅了したこの歌を、同年代の私は何度も歌ったことを思い出しながら、今そぼ降る雨音を聞きながら、久しぶりに口ずさんでいる。桜が散れば、今度は花水木。それが終われば庭のバラ。無職・無役ながらも、春は何かと忙しい。