写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

小さい秋

2019年09月03日 | 季節・自然・植物

 振り返ってみると、今年の夏は何ともだらしない夏であったような気がする。8月に入った途端、超大型と喧伝された台風10号がゆっくりした足取りで北上し、盆休みを直撃した。幸い当地方は大した被害は出なかったが、九州では大変な被害が出た。

 その後も、雨模様のぐずついた天気がずっと続き、いつもの威勢のいい入道雲を、全くと言っていいほど見ることがないまま8月は終わった。おかげさまで、高齢者はうだるような暑さに見舞われることはなく、例年になく、しのぎやすい夏であったように感じている。

 そうはいっても話題にはなっていないが、冷夏であったに違いない。その影響が稲作などの農作物に悪影響を及ぼしているのではないかと心配しているが、どうなんだろう。

 そんな中、暦をめくれば早くも9月もすでに3日である。今朝も、久しぶりのお日様の下で少し庭仕事をしたが、涼しい風が吹いて汗も出ない。名実ともに秋がやって来た。

 ♪ 誰かさんが 誰かさんが 誰かさんが みつけた
    ちいさい秋 ちいさい秋 ちいさい秋 みつけた …...♪

 この童謡にあるような「小さい秋」を、私は毎年、我が家のお風呂場で見つける。この季節、「風呂でひと浴びする」と言っても、夏の延長でシャワーを浴びるだけで、湯船につかることはしていない。蛇口の温度調節ダイアルは真夏のままにしている。それが、9月に入った途端、シャワーヘッドから出てくる湯の温度を冷たく感じるようになり、ダイアルをひと捻りして気持ち湯温を上げる。

 その瞬間、高田みづえが歌った「秋冬」の歌詞である「あぁ 秋ですねえ」というフレーズに続いて「季節の変わり目を あなたの心で知るなんて もう恋も終わるのね」という歌が口を突いて出てくる。

 私にとってこの時期の季節の変わり目は、毎年「シャワーの蛇口のダイアルをひと捻りする」ことで感じている。生活の頼りにしている錦川の水温も、それとは知らぬ間に少しずつ冷たくなっている。季節に関係なく、いつも温かいものは何? それはあれでしょう。