なかなか捨てられないというものがある。古い写真・古い年賀状など思い出に関連したものが多い。
記憶を形に残しておきたい心理からだと思う。普段は決して見ないものばかりであるが、捨てるとなるとなかなか決心がつかない。
文庫本も、その一つだ。昭和30年代、1時間に1本走る汽車に乗って通学していた。かばんの中には、いつも安くて小さな文庫本を入れていた。それらは今なお私の書棚にびっしりと並べて置いている。
セロハンのように薄くすき通った紙のカバーが掛けられているが、朽ちて破れているものが多い。ことあるごとに妻からは「この汚い本は、もう捨てましょう」と言われる。
確かに見栄えは悪く、場所は取り、ほこりっぽくもある。しかも最近は取り出して読むこともあまりない。しかし、いつまで経っても捨ててしまう決心は、なかなかつかない。どの本にも私の青春時代の思い出が閉じ込められているからだ。
先日、久しぶりにその書棚の前に立ち、古い文庫本を開いてみた。ところどころに赤インキで線が引いてある。そこを立ち読みしていると、ふと青いレモンの香りがしてきたように感じた。
(写真は、赤い線を引いてある「文庫本」)
(2007.10.25 中国新聞「広場」掲載)
記憶を形に残しておきたい心理からだと思う。普段は決して見ないものばかりであるが、捨てるとなるとなかなか決心がつかない。
文庫本も、その一つだ。昭和30年代、1時間に1本走る汽車に乗って通学していた。かばんの中には、いつも安くて小さな文庫本を入れていた。それらは今なお私の書棚にびっしりと並べて置いている。
セロハンのように薄くすき通った紙のカバーが掛けられているが、朽ちて破れているものが多い。ことあるごとに妻からは「この汚い本は、もう捨てましょう」と言われる。
確かに見栄えは悪く、場所は取り、ほこりっぽくもある。しかも最近は取り出して読むこともあまりない。しかし、いつまで経っても捨ててしまう決心は、なかなかつかない。どの本にも私の青春時代の思い出が閉じ込められているからだ。
先日、久しぶりにその書棚の前に立ち、古い文庫本を開いてみた。ところどころに赤インキで線が引いてある。そこを立ち読みしていると、ふと青いレモンの香りがしてきたように感じた。
(写真は、赤い線を引いてある「文庫本」)
(2007.10.25 中国新聞「広場」掲載)
よろしくお願いいたします。紀ノ川、いい響きのする名前です。
実は俳句を少したしなみますので 踏青さんからのルートです。
こちらこそよろしくお願いいたします。
どんなルートからでしょうか。
「青いレモンの味」とは、昔の歌にありましたね。それを思い出したものです。
これからもよろしくお願いいたします。
と、思いました。
青いレモンの香りってどんなんでしょうね。
私も今ちょうど書棚の整理をしているところ。
秋の夜長 読書ではなく本の整理を。
智恵子抄 や一握の砂などでてくるとついつい時間を忘れて 青春の思いにひたってしまって・・・・
青いレモンの香り いい表現ですね。
蜜柑どころの紀州からのコメントでーす。