写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

very fake(大偽造)

2017年02月22日 | 生活・ニュース

 会社経営には才があろうが、こと政治に関してはずぶの素人、取り巻きも政治の素人ばかりを集め、大統領に就任して以来、支持率は下がり傾向で現在41%程度のトランプ米大統領。メディアを前にしての記者会見は、会見というよりはメディアへの「口撃」ばかりが目立つ。

 従来の米大統領とは大きく違うタイプのトランプさんだが、超大国の大統領としてではなく、一人の芸人としてみると、結構面白い人ではある。齢70になってもあの精力的な活動と体力には頭が下がる。良いかどうかはやってみなければ分からないが、自分の信じることに対して行動を起こす実行力。ただし三権分立の壁があって、大統領といえどもやり通せないことも出てくる。

 先日、支持者を前にして何やら演説をしているニュースを見て吹き出した。トランプさんはメディアが嫌いで、就任以来「メディアはfakeだ」と言ってきた。日本語で言えば「メディアは 偽造する。嘘つきだ」とでも言うのであろう。

 ところが支持者を前にしての演説で「これからはメディアをfakeと呼ぶのはやめます」とメディアと協調路線をとっていくかのような神妙なことをいい始めた。かと思っていたら「これからはメディアのことをvery fakeと呼ぶ」といった。「メディアは単なる嘘つきではなく、大嘘つきと呼んでやる」とでも言うことであろう。

 これには驚いたというよりは笑わせてもらった。トランプさんはあの巨体、あのいかつい赤ら顔で、まるで赤鬼然としたこわもてだが、笑うと結構かわいく優しい顔になる。それにこのようなウイットのあるコントの一コマのような発言である。

 もっていきようによっては従来の発想を大きく転換して、大衆の意をくんだいい政治をやってくれる素地は十分にありそうな気がしないでもない。だって、あんなに広大な別荘を持つほど実業界で成功した人なんだから、まるっきり能天気なばかりではないはずである。

 トランプさん自らが「単なるfake」ではなく「very fake」となって、大統領選挙中に支持者に対して言ったことを覆して、アメリカ ファーストならぬワールド ファーストとなる施策を展開してくれることを密かに期待している。