写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

真の友

2017年02月14日 | 生活・ニュース

 世界が注目する中、日米首脳会談が無事に終わった。日本側から見れば大成功であったとの評価が広がっている中、14日の日経新聞の1面のコラムに「日米首脳会談の宿題」と題して、厳しい注文がついていた。

 共通の利益については認識を一にしたが、自由や人権といった民主主義の価値を語り合うことはなかったようにみえる。トランプ氏の外国人入国制限策などに関しては、安倍首相は「ノーコメント」で通した。

 このままでは本当に丈夫な同盟は育たない。「人間でいえば、同じ信条で結ばれた友情は強く、苦境に耐えられる。だが、利益だけでつながった友人関係はもろく、ほかに役立つ人間が現れれば、そちらに流れやすい。安倍首相は、訪米で得た資産を使い、トランプ氏と民主主義の価値についても語れる関係を目指すべきである」と注文を付けている。

 このコラムを読んで、わたし個人のことに置き換えて考えてみた。現役時代、社内外で顔を知っていて会話を交わすくらいの知人は沢山いた。しかし、同じ価値観を共有し、信頼関係を築き、心を開いて付き合った友人は非常に少ない。

 「利益だけでつながった友人関係」で「共通な人生観でつながっていた真の友人ではなかった」ということであろう。ひとえに私の不徳の致すところということだろう。なんだか大臣の辞任のあいさつのようになってしまったが、「真の友」「親友」とは「信友」「心友」と書くのが正しいようだ。
 


訪問販売

2017年02月14日 | 生活・ニュース

 日曜日、昼食を終えた直後の午後1時。ピンポーンとインターホンが鳴った。鳴ると同時に玄関ドアを開けようとするガタガタという音がする。鍵をかけているので開けることはできない。

 奥さんがインターホンのスイッチを入れて対応に出た。「はい、どちら様でしょうか」「は~い、こんにちは。この辺りを、白髪染めのクリームのご紹介をして歩いているものですが……」という明るい女性の声がした。その声が途切れる前に奥さんはすかさず「私は毛染めをしないで白髪で通していますから結構です」というと、挨拶もなくインターホンの画面から姿が消えた。

 意に反する訪問販売が来た時には、買わないという意思をきっぱりと表現しないといけない。中途半端な言い方で、買わない理由などを言うと、相手に付け入られかねない。特に玄関のドアを開けないことが重要である。

 今回のうちの奥さんの対応は「完璧」で、一言だけで訪問販売を拒絶した。「今、間に合っています」とか「今はいりません」などではなく、未来永劫白髪染めはしないことを宣言したのだから付け入られるスキはない。

 この応対が終わった後、訪問販売という仕事について思いを馳せてみた。訪問したちょうどそのときに、その商品がほしくて買おうと思っていたという人はまずいないだろう。積極的に買いたいと思っていない人に対して買ってもらうためには、誇大宣伝をしたり、若干の嘘も紛れ込み、正確に商品を説明しないまま、半ば強引に売りつけることもあって、問題になるケースも報じられている。

 訪問販売には厳しい言葉になるが「買いたいものは自分から出かけて買う」、これが我が家の買い物の基本としているが、訪問販売に対しては、丁重に、しかしきっぱりと断ることを鉄則にしている。