写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

生命力

2017年02月13日 | 季節・自然・植物

 玄関の外壁に、カズラのつるを何重か丸めて作ったリースを年から年中飾っている。毎年12月に入ると、クリスマスを意識して、赤や緑のリボンを巻いたりして少し華やかに彩るが、その他のシーズンは松ぼっくりが主体の地味なものとなっている。

 昨年のクリスマスには新しい試みをしてみた。緑色のリボンの代わりに、庭に植えているヒイラギの小枝を切り取って、つるの隙間にいいバランスとなるように刺し込んでみた。それから2か月半の間、毎日このリースを見ているが、ヒイラギの葉は一滴の水さえ与えていないのに、枯れるような様子もなく十分に元気な緑色をしている。

 ヒイラギとは「柊・疼木・柊木」とも書き、葉の縁のトゲに触るとヒリヒリと痛むことから、「ヒリヒリと痛む」旨を表す「疼(ひいら)ぐ」から由来した名前だというが、ヒイラギ、恐るべしである。

 庭木の中では病虫害に強い植物であるが、テントウムシには食害されることがあり、ここ数年、我が家のヒイラギには、春に新葉を幼虫が、初夏には成虫に食われて葉は枯れて白い斑点がたくさんついていた。ところが昨年、バラに消毒薬を散布するついでに、このヒイラギにも散布しておいた結果、食害に遭うこともなく元気な葉をつけていた。

 冬にも緑の葉と赤い実をつける植物なので、不死の象徴とも考えられている。我が家のリースのように、切り取った小枝でさえ、まさに不死鳥のように今もって新鮮な緑色をしていることに驚いている。不死はフシでも、こちとらは寒さでふしぶしの動きが鈍くなっている。いつまでも青春然としたヒイラギの生命力にあやかりたいものである。