写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

時には主夫を

2017年02月11日 | 食事・食べ物・飲み物

 この冬最大級の寒波がやってくるという朝、書き上げておいた確定申告書をもって、いそいそと税務署に出かけた。窓口で書類を提出すると、係官が必要書類がすべてそろっているかを確認して「はい、確かに受け付けました」と言って、無事確定申告の作業は完了。あとは納めすぎていた税金が還付されるのを待つばかりとなった。

 出かける前、奥さんから「きょうのお昼はお任せします。私は1時半に帰ってきますので、何か作ってもらえると嬉しいわ」と、こんなに丁寧な言い方ではなかったが、まあ、言っていることはこんなことであった。

 よし、それなら何とかしてみようと予めネットで「焼きそば」のレシピを見てメモし、税務署からの帰り道、必要な食材を調達して帰ってきた。作るものはそんじょそこらの焼きそばではなく「オイスターソース焼きそば」に決めていた。と言ってもなんていうことはない。「キューピー3分クッキングレシピ」に載っているものである。

 豚肉と玉ねぎ、もやしは冷蔵庫にあるという。そば麺と赤ピーマン、ニラと肝心のオイスターソースを買って帰った。レシピを見ながら大さじを片手に持って調理を始める。まずはそば麺をうっすらと焦げ目がつくまで炒める。別のフライパンでは肉と野菜を炒めるが、油に塩、しょうゆに酒、砂糖に塩を適当なタイミングで大さじ1杯ずつ投げいれる。最後には決め手のオイスターソースを入れ、炒めておいたそばと混ぜればれば完成である。

 赤ピーマンと緑のニラで彩は美しくおいしそうに見える。口に入れると、オイスターソースが利いていて食べたことのない上品な味がする。帰ってきた奥さんにも好評の一品となったが「今度また何か違うものでお願いします」と、次回を期待された主夫稼業を久しぶりにやってみた。苦心して自分が作ったものは、どういうわけか、ことのほかおいしい。