写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

頭熱足寒

2012年02月16日 | 車・ペット

 先日、17年乗ってきたBMWを車検に出した。ここ2、3年は、老朽化に伴い何かと故障が多い。大きな故障としては、走っているときにラジエーターが破れてボンネットから水蒸気が間欠泉のように噴き出したことがある。小さなものでは、運転席側のパワーウインドウが動かなくなり部品を交換、燃料計の故障修理、ブレーキパッドの摩耗交換などがあった。

 

 預けた翌日、車屋の顔なじみのメカニックから電話がかかってきた。「あの~、運転席側のヒーターですが、足元から暖かい風が出てきませんがどうしましょうか」と、修理をするかどうかを聞いてきた。

 この冬、車に乗ってエアコンを効かせたとき、別に寒さを感じるようなことはなかった。話を聞いてみると、助手席側の足元からは、まともに暖気が出てくるようだ。いってみれば、暖房の片肺運転になっていたことになる。寒さが厳しいときには少し寒いかもしれないが、かなり費用もかかるので修理はしないことにした。

 車検から戻ってきた車を運転して、暖房の効き具合を確認した。状況はメカニックが話していた通りであった。暖気を足元からでなく、ダッシュボードの位置から出るように切り替えてみると、大量の熱風が狭い車内に噴出してくる。

 ああ、これなら寒い日でも大丈夫だ、修理しなくても問題はないと思ったが、暖気の噴出口が頭の高さの所である。ルーバーを調節して頭や顔に暖気が直接当たらないようにすることは出来るが、いかんせん、暖房の基本である「頭寒足熱」とはいかない。
 
「頭寒足熱」とは、頭を冷やし足を温め、体全体の血流を良くする健康法をいうが、逆に足を冷やすと血流が悪くなり、高血圧・心臓病・動脈硬化の原因になるという。そんなことより、集中して勉強するようなときには、頭を暖めると頭の外側の血管ばかりに血が巡り肝心の脳は血流不足となる。つまりぼーっとした状態になりやすく、眠気を誘う原因になるので「頭寒足熱」が必須だと昔教えられていた。

 こんなことを考えてみると、クラシックカーとなったBMWで「頭寒足熱」ならぬ「頭熱足寒」での運転は、眠気を催す危険な運転につながりかねない。危ない危ない。
ここは寒くても暖房の片肺運転で、我慢しながら寒さをしのぐという悲愴な決意をした。