写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

文殊の知恵

2012年02月13日 | 生活・ニュース

 毎週、日曜日の毎日新聞にクロスワードが掲載される。縦横13個の升目があり、タテノカギ、ヨコノカギとして各36個のヒントが出されている。朝起きて着替えを済ませると、このパズルを解くために、いそいそと新聞を取りに外に出る。取り込んでダイニングテーブルに座ると、待ちかねていたようにまず奥さんがクロスワードが載っているページだけを取り外し問題を解き始める。

 私はトーストを片手に、コーヒーを飲みながら新聞を読む。20分が経ち、30分が過ぎるが、「できたっ!」という声は聞こえてこない。毎週のことではあるが、一人ですべての答えが分かるということはまずない。料理や家庭的なことは奥さんの得意分野、メカや自然科学の分野は私の得意分野に分かれている。

 「これでギブアップッ」と奥さんが新聞を放り投げてからが私の出番だ。書き込んである欄でも、それが必ずしも正解だとは限らない。それらをチェックしながら空欄を埋めていくが、すんなりとは埋まらない。思い込みがあったり、誤解があったり、思い出せなかったり、知らないことがあったりと色々である。

 しかし、2人の知識を合わせれば大抵すべて埋めることができる。時にどうしてもわからない問題があるが、そんなときには止むを得ずパソコンで調べて答えを見つける。その週は残念ながら敗戦ということになる。

 今週のパズルは、多くの空欄を残して奥さんがギブアップした。見ると4割方しか埋まっていない。ヒントを読んでみるがなかなか手ごわい。毎日新聞のこのクロスワードは、結構ハイレベルの問題が多いように感じるがどうだろう。広範囲の知識が要求されている。一人ではとっても全問正解とはいかない。私に替わって20分後、すべての問題が解けた。これで気分爽快。日曜日の朝の行事が無事に終わった。

 こんなクロスパズルでさえ、奥さんとの2人がかりでやっと解決。考えてみると、家庭内のことも外のことも、何に対しても2人がいい分担をして過ごしてきた。かごかきと同じで、我が家も一人では何もできない構造になっていることが改めてよく分かった。「3人ならぬ2人寄れば文殊の知恵」であるのに、終わった後必ず「私の方がたくさん解いた」とのたまう。お互い競争心だけは未だ衰えていないようだ。