写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

ひなまつり

2011年03月03日 | 季節・自然・植物

 今日は33日、ひなまつり。先月初め、奥さんが「今日はお友達と焼き物を習いに行ってきま~す」と言って一日中出かけたことがあった。そのとき作ったものが焼かれて塗装され、きれいな置き物となって届けられた。 男雛と女雛のひな人形である。
 3月上旬の巳の日に、災いを人形に移して厄ばらいする「上巳節(じょうしせつ)」と、人形を使ったおままごと「ひいな遊び」とが結びつき、ひな人形を飾って女の子の健やかな成長を願う行事が「ひなまつり」に発展したという。
 早速、送られてきた手作りのひな人形を飾ることにした。我が家には息子はいるが娘はいない。ひな人形など飾ったことはない。はてさて、女雛は男雛のどちら側に置けばよいのか。どちらでもいいようにも思うが、常識に反していては恥ずかしい。ネットを開いて調べてみた。
 
論語に「天子南面」という言葉がある。これは、皇帝などの偉人は南に向いて座り、その時に日の出の方向、東側つまり左手側が上座で、日没の方向つまり右手側が下座とされている。この考え方がひな人形にも当てはまり、本来は「男雛が左、その右手側に女雛」を飾ることが当然となっていたという。
 ところが現在ひな人形売り場を見てみると、そのほとんどが「男雛が右、その左手側に女雛」。当初とは逆の配置になっている。
 それは、国際儀礼が右上位だったため、昭和天皇の即位の礼が催されたときに「天皇が右、左手側に皇后」が並ばれたことからきているという。
 こんなことから、関西では古いしきたり通りに男雛は左に置くが、関東では現代風に右に置くようだ。結局のところ、どちらに置いても、ひと理屈があることが分かった。我が家では男雛を左に置いて飾った。
 最近、言葉として
右のほうが優れているという意味合いのものが多くある。「右に出るものはいない」「右腕になる」「右にならう」などは、右が優れた意味である。一方「左前」「左遷」などは左が劣るという意味になっている。
 まあ、右であろうが左であろうが、人はその時の立場で立つ位置は決まる。今度から、大勢が横一列に並んで写真に収まる時には、端っこではなく中ほどに立てば上座とか下座などの問題がないことを、今日おひな様から学んだ。