写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

ハイエナ

2005年07月28日 | 車・ペット
 一週間も続く長い雨が上がり、梅雨の中休みと思ったら、二日後にはまた、しとしとと雨が降り始めた時のことである。

 ハートリーは、散歩に出られず床に転がってばかり。恨めしそうに時々外に目をやっていた。

 毛が長いせいか、雨降りに外に出ることを大変嫌がる。そういえば、前回トリミングをしてから、もう一ヶ月以上経っている。

 夏向きに短く刈ってもらった毛も、大分長くなった。いつも刈ってくれる近所のお嬢さんが、長期間の旅行で不在のため、毛は伸びたままになっている。
 
 「よしっ、それなら俺がやってみよう」と、子供が小さい頃に買った安物の電気バリカンを物置の奥から取り出した。
 
 まだ動くことを確かめて、奥さんに手足を持ってもらい、まず背中からバリカンを入れた。初めのひと刈はうまく行った。

 しかし次からは柔らかい毛が刃に咬みこまず、ひっかっかりながら進む。何とか背中の部分だけは刈り終えた。

 手足の長い毛は、はさみでつまみ切りした。後半は嫌がり始め、刈っている私の手を本気で咬みはじめる。

 難産のあと、何とかトリミングらしきことを終えた。仕上がった作品は、さっぱりはしているが、ハイエナに似たとら刈りになった。

 それでもハートリーは涼しくなり嬉しそうな顔をしている。外で放してやると、身軽になったせいかいつもより速く走り回った。思わず私はつぶやいた、「ハエーナ」と。
 (写真は、とら刈りで終わった「ハートリー」)