まつたけ山復活させ隊運動ニュース

 松茸は奈良時代から珍重されてきたが、絶滅が心配される.松茸山づくりは里山復活の近道であり里山の再生は松茸復活に繋がる.

まつたけ十字軍運動NEWSLETTER-第166号-

2006年12月26日 |  マツタケの林地栽培 
岩倉でも、このように見られるだろう!






この1年のまつたけ十字軍運動の活動を振り返る
 正月休みを終え1月21日に26回目を開催し、1週間ごとに雪の中でも雨の中でも集い、お盆は休みとしたが、12月15日の72回大忘年会で2006年の活動を終えた.無事に終えられたことは、参加者の皆さんの努力の賜物以外の何ものでもないと言えるが、遠いため参加は出来ない方々の協力も忘れることは出来ない.改めて心から感謝申し上げる.
 
 計47回の開催で延べ参加者は1450人、1回当たり30人となる.メンバーには、京まつたけ復活・里山再生を謳っていても、山に生えているマツタケを見たことがない方も結構いらっしゃっていて、亀岡の今西さんの山で丹波まつたけを自分の手で触れたことは大変貴重なものとなった.今西さん夫妻とその息子さん夫妻に大変なお世話になった.
 
 岩倉の香川山の手入れも済む頃、橘氏や今井氏や玉城氏や澤田氏が持山を無償で利用させて下さり、私達の活動エリアが大きく広がった.広がったといえば、岩手県の久慈市や久慈地方森林組合の協力もあり洋野町の小沢さんが「まつたけ十字軍運動岩手」を立ち上げるべく準備をされている.来年のマツタケ発生期には、是非岩手のマツタケを見に行きたいものである.

 今の森林保護運動は、ひと頃のように「山に緑が多ければよい」、「樹を伐らなければよい」というレヴェルを脱却しつつあるが、まだ、大雑把に二つの問題を抱えている.
 
 森林をその生成過程で分けると、原生的な森林、里山(林)と人工林になる.人の活動が及ばなくても森林を維持する能力を生来的にその中に保有している生態系は原生的な森林だけである.里山(林)は人が生産活動の場として維持してきた生態系で、人工林は保育活動を施さねばならない生態系である.

従って、運動の対象となる生態系は里山(林)と人工林に集中するが、里山(林)は農用林や薪炭林として利用した経験を人は持つが、人工林のようにどのように林を管理すべきかその方法論を一般的に欠いている.これが運動体にとって林作りのイメージの弱さとなって現れる.
 
 二つ目は、森林ボランティアが安価なもしくは無償の労働力と世間に位置づけられていることである.その運動を維持するために、それなりの負担を参加者に願うことになり、年金生活者に新たな負担増を強いている.また、森林ボランティアが里山(林)で山づくりを楽しむ時、樹を伐採する権利を保障されていないことを最近知った.法的整備が遅れているのだそうだ.

 昭和40年代の日本の高度経済成長は、私たちの生活の近代化を生み、農業を大きく変え、林業を衰退させた.休耕田が増え、林も放置されるようになった.私たちの周りに山や田んぼや畑、川や溜池がある.

これが里山だが、あまりにも身近な環境で激しい人為の加わった場所のため、重要な生態系と今まで考えられていなかった.環境省のレッドデータブックに記載されている絶滅危急・危惧種の50%は、私たちの集落の近辺、里山の生物である.

 生物の多様性を守ることは、種の生息地を守ることが大きなウエイトを占める.地球上にはさまざまな生態系があり、それらの保護運動は必然的に多様であり、どれも大切であるし必要であるが、生物の保全を考えると、里山(林)の保全は、焦眉の課題であろう.

 アカマツ林は全国に230万haもあり、しかも放置され、アカマツ林の再生が不能となっている.木が生い茂り立木密度が高く、富栄養化した土壌にマツタケが駆逐されている.マツタケも絶滅が心配されるキノコの一つである.生息地は、アカマツ林を1950年代の状態に戻せば、取戻せる.しかし、マツタケは生活できるが、子実体(食用部)発生が、昨今の異常気象によって激減している.

 私たちの生活を総点検すべきときが来ている.誰もが気付いたときは遅すぎるのである.

 次回のまつたけ十字軍運動NEWSLETTERは1月13日を予定している.
それでは、皆様の来たる年のご多幸を祈念します.



寄付等の振込先: 氏名: まつたけ十字軍 代表 吉村文彦
                銀行名: 京都銀行 山科中央支店
                口座No.: 普通預金 3698173 

主 催 団 体
吉村 文彦(マツタケ生態学者)
まつたけ十字軍運動 本部(http://blog.goo.ne.jp/npoiroem/)    
〒607-8421 京都市山科区御陵岡ノ西町38-27、 075-581-8932, 090-6227-4305
大月 健(代表)
京都大学マツタケ研究会(京都大学農学部図書室気付、大月 健 090-4280-3334)
共 催 団 体
NPO国際環境微生物応用研究機構、香川理化学研究所、NPO市民環境研究所
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