味が染みて心も沁みる ＠ 西町藪ノ内通「おでん ゑびす」

・
今から遥か昔、ちょうどイギリスから金沢に戻ってきた頃、近所に住んでいたこともあって事あるごとに足繁く通っていたお店が「ゑびす」だった。
あの当時は今と違って近くのオフィスビルには名の知れた企業の支店が名を連ね、そんな金沢勤務となったサラリーマンやマスコミ関係の連中で連日大盛況で、金沢では珍しい独特の雰囲気を持った店だった。

そうした中、当時からシャキシャキ動く元気なおかあさんとカウンターの隅のほうで湯飲み茶碗に密かに入れた日本酒をちびちびやりながら仕事をするおとうさんが見せてくれる絶妙なコンビネーションが大好きだった。

そしてそんなある日、意を決しておとうさんに「実はこの子と結婚しようと思っているんやわ。」と後に嫁となる女性を紹介したところ、「それは目出度い」ということになり３人でささやかに乾杯していたところ、途中から入ってきたおかあさんがひと言。
「あらっ、にきさん、こちら新しい彼女？」　ナハハ・・・
本当に素敵なお店でありました。

その後、引っ越してしまったこともあってお邪魔する機会も減り、すっかりご無沙汰していたところ、チームガレタッソの若手メンバーのショウタと柏くんから「是非一度行って見たい」との要望があって、ならばと、おとといの月曜日に二人を引き連れて10年以上ぶりに訪ねてみた。



長い空白時間をまったく感じさせない相変わらずの店内、そして（本人は代わり映えのしない化粧のせいだと言うけれど）本当にお変わりなく元気なお母さんの姿を見て、ちょっと心の中でウルッ。

そして昔だったら一人でペロッと食べていたそれぞれ２～３人前ありそうなてんこ盛りポーションに今さらながら感心しつつ、食べるもの食べるものすべてが郷愁というスパイスが加えられていたこともあって、いつにも増して本当に美味しかったのでした。







ともあれ、お父さん亡き後、娘さんが手伝い始め、アルバイトの女の子を加え女性三人で朗らかに切り盛りする姿は本当に素敵でありました。

それにしてもたまたま自分がおとうさんが亡くなったときと同じ年になったと改めて知って、大根に染みた味がさらに心にも沁みた、そんな夜だったのであります。



ゑびす
金沢市西町藪ノ内通25-2
076-231-4878
17:00～23:00　
休/日曜、祝日
[ 地図 ]

---

今日の１曲　“ 目を閉じておいでよ ”　:　 BARBEE BOYS

こんな曲も聴いていたなあとふと思い出したコンタ＆杏子のツインヴォーカルが泣かせてくれて、いろんな意味で昭和を感じさせるこの歌を。