俺の明日はどっちだ

50歳を迎えてなお、クルマ、映画、小説、コンサート、酒、興味は尽きない。そんな日常をほぼ日替わりで描写

「 星にスイングすれば 」 高平哲郎

2014年03月25日 21時34分28秒 | 時系列でご覧ください

二日後「噂のチャンネル」を見た。後に並ぶ、せんだみつおや和田あき子を「ウルサイ!」とどなるタモリを見たとき、ぼくは初めて、芸能人タモリを見た。そこには、遊びの延長でぼくをハラハラさせるタモリはもういなかった。
密室の芸人として、新宿のジャックに居合わせるお客を狂喜させたタモリが「噂のチャンネル」のスタジオと、ブラウン管のこちら側も狂喜させた。タモリの自信が十数人の心優しい仲間を笑わす芸を、不特定多数の人間を笑わす芸にまで変えたという確信を得た。寂しくはなかった。無性に嬉しかった。
( 本文124ページより )

1970年代後半から80年代にかけて、手当たり次第というか種々雑多に本をよく読んだものだった。
そしてそんな中、ある意味とても影響を受けた人物の一人に高平哲郎さんがいた。

今となっては、編集者のみならず放送作家であると同時に評論家であり劇作家であり演出家でもあり、さらには 『 笑っていいとも! 』 のスーパーバイザー他、多くの肩書きに持つ高平さんだが、あの時代を知っている者にとっては、赤塚不二夫が命名した 「 面白グループ 」 の主要メンバーであり、雑誌 『 宝島 』 創刊時の編集者であり、なんと言ってもインタビュアーとしての印象が強く、氏のその仕事ぶりには、いつもドキドキさせられたものだった。

そしてそんな高平さんが、知る人ぞ知る映画雑誌 「 ムービーマガジン 」 誌に掲載されたものを中心に、1980年に晶文社から出版されたインタビュー集 「 星にスイングすれば 」を久しぶりにひっぱり出してきて先日来、少しずつ読むにつけ、今だから思うその才能に改めて感じ入ってしまった。

ちなみに登場するインタビューイは、
鶴田浩二/田中邦衛/萩原健一/斎藤寅次郎/佐藤信/植木等/小松政夫/
浅丘ルリ子/金子信雄/坂田明/チャンバラトリオ/深作欣二/桜田淳子/
タモリ/勝新太郎/野口貴史/前田武彦/村川透/山下洋輔/松金よね子/
松方弘樹/団しん也/田辺昭知/松田優作/若山富三郎/所ジョージ/
日野皓正/トニー谷/宍戸錠/内藤陳/成田三樹夫/研ナオコ/高倉健/
林家三平

といった面々。

ありきたりのインタビューであるはずがなく、高平哲郎というフィルターの存在の有無はさておき、とにかくその人となりが見事なまでに伝わり、しかもそのインタビュー構成が、登場する人物により毎度毎度フレキシブルに七変化し、その伝えるための必然としての変わり具合を見るだけでも面白いったらありゃしない。

そして同時に、そこから78年から80年にかけての時代の雰囲気をも余すところなく伝えてくれていて、そういった意味では時代を考えさせてくれるインタビュー集という名の、時代のテキストであったりもするのだ。

思えば「笑っていいとも」を今月いっぱいで降板するタモリの誕生前夜の様子をここまで簡潔に、かつ正しく伝えてくれた文章もなかったと思うし、とにかく古本屋、もしくはネットで見かけれことがあれば、ぜひ手に取ってほしい1冊なのであります。


それにしても、思えば高平さんはインタビューの際、一切メモを取らず、あとからその時の様子を思い出して「創作」していると当時知り、よせばいいのに、そのスタイルを無謀にも踏襲し、薬師丸ひろ子嬢をはじめ多くの人のインタビューを行なってしまい、今更ながらひどく後悔していたりするのであります(苦笑)



今日の1曲 “ YOU'RE ONLY LONELY ” : J.D. SOUTHER

1980年と言えば、こんな曲もよく聴いていたものでした・・・



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