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スマホが隠れた秘密を暴く「おとなの事情」2016年制作 劇場公開2017年3月 イタリア映画

2017-09-13 16:50:52 | 映画

            
 誰でも一つや二つ知られたくない秘密を抱えている。それがスマホという小道具が明らかにしていく。料理やワインを持ち寄って開くホームパーティ。

 親しい友人たちが月食の夜、ロッコ(マルコ・ジャリーニ)とエヴァ(カシア・スムートニアック)夫妻のマンションに集まる。

 レレ(ヴァレリオ・マスタンドレア)とカルロッタ(アンナ・フォリエッタ)夫妻。この夫妻は、ティラミスを持参。エヴァの「リコッタチーズ?」の問いに「マスカルポーネよ」ティラミスにはこれが一番合うらしい。

 新婚ホヤホヤのコジモ(エドアルド・レオ)とビアンカ(アルバ・ロルヴァケル)夫妻が持参したのは、ビオワイン1本だけだった。ロッコから「1本だけ?」「25ユーロもするんだぞ」とコジモ。

 チーズにしてもワインにしても気になるのは値段。イタリア産サネッティ・マスカルポーネ・チーズ、イオンで250g540円、ビオワインはネットで調べると1本3000円が最低といったところ。このチーズとワインは、自然栽培が肝心なところで健康志向の強い人の支持があるそうな。

 最後に一人で現れたのがペッペ(ジョゼッペ・バッティンストン)で、ワイン2本を抱えていた。銘柄不明。合計7人の大人が集い飲み食べ笑い楽しい時間となる予定だった。

 空気が変わり始めたのは、エヴァの提案でスマホをテーブルに置いて、着信はみんなが聞こえるようにスピーカーにするというゲーム。なんでもない仕事上の会話でも、みんなに聞かれるというのは丸裸にされたようで落ち着かない。逡巡しながらも全員が賛同する。

 夫婦関係、浮気や不倫、家庭の事情、ゲイなど知られたくないことが次々とあらわになる。監督のジェノヴェーゼによれば「健康やお金」も興味深いテーマではあるが、今回は男女関係に絞ったという。普段はこれらのことが隠れていて、秘密を抱えながら生きていく。

 とりわけ家庭の事情を抱えるロッコ・エヴァ夫妻の思春期の娘ソフィア(ベネデッタ・ポルカローリ)が母親とうまくいっていない。したがってなんでもパパ頼り。パーティの席にソフィアから電話がかかる。そしてみんなが聞いたのは

ソフィア「グレゴリオが今夜は親が留守だから泊まりに来てほしいって」
ロッコ「それで?」
ソフィア「行きたいと思うけど心の準備ができなくて、でも断ったら彼が怒るかも」
ロッコ「彼が怒るからというだけで行くのか?」
ソフィア「もちろん違う」
ロッコ「当然パパとしては喜べない」
ソフィア「そんな……」
ロッコ「だが、これだけは言わせてくれ。一生忘れることのない大切な瞬間になる。話のネタにするようなものじゃない。将来振り返った時、笑顔になれると思うなら行っておいで。だが確信がなければやめなさい。急ぐ必要はない」
ソフィア「ねえ、パパ」
ロッコ 「何だ」
ソフィア「何でもない」
ロッコ 「言ってみろ」
ソフィア「今日コンドームをくれた時は恥ずかしかった」
ロッコ 「使えとは言ってないぞ」
ソフィア「勘が働いたんだね。今まで持たせたことないでしょ。もしも、行くと決めたらママには言わないで」
ロッコ 「言えばどうだ?」
ソフィア「何を?」
ロッコ 「事実だ」
ソフィア「私はイヤよ」
ロッコ 「話し合えと言ったろ」
ソフィア「ママは話も聞かず怒るだけだもん」
ロッコ 「少し我慢してやれ」
ソフィア「少しどころじゃない」
ロッコ 「かなりだな。だが話す価値はある。頑張ってみろ」
ソフィア「パパはママがどれほどひどいか知らないのよ。もう切るね。ありがとう」
 ソフィアがどのような決断をしたのかは分からないが、映画は一つの方向性を示したと思う。ロッコは娘を自立した女性に育てたいとの思いが伝わってくる。ボーイフレンドの誘いの決断とママとの対話を進める点だ。普通の父親なら「行くな」と「ママにお前のことはよく言っておくよ」でその場をしのぐだろう。

 結構楽しめた映画だった。それにマスカルポーネ・チーズを使った「ポテトサラダ」を作ってみた。ジャガイモ、一口大に切ってゆでる。塩味がしたほうが美味しいから水に一つまみに塩を入れる。きゅうりを乱切り、青臭さを抜くために塩を少し降っておく。ボールに入れたジャガイモときゅうりにマスカルポーネを適当に入れて混ぜる。エビを茹でてアクセントにする。チーズそのものの味が薄いから出来上がりに一つまみの塩をふる。あとは盛り付けを工夫すればいい。わが家人からは「コクがあって美味しい」

 ちなみにイタリア語の原題は、「PERFETTI SCONOSCIUTI」 完全なる見知らぬ人と辞書にある。なお、本作はイタリアのアカデミー賞といわれるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞の作品賞と脚本賞を受賞している。
  

  
監督
パオロ・ジェノヴェーゼ1966年8月イタリア、ローマ生まれ。

キャスト
ジュゼッペ・バッティストン1968年7月イタリア、ウディネ生まれ。
アンナ・フォリエッタ1979年4月イタリア、ローマ生まれ。
マルコ・ジャリーニ1963年4月イタリア、ローマ生まれ。
エドアルド・レオ1972年4月イタリア、ローマ生まれ。
ヴァレリオ・マスタンドレア1972年2月イタリア、ローマ生まれ。
アルバ・ロルヴァケル1979年8月イタリア、フィレンツェ生まれ。
カシア・スムートニアック1979年8月ポーランド生まれ。
ベネデッタ・ポルカローリ出自不詳

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