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読書 フィリップ・マーゴリン「野生の正義」

2007-02-05 11:45:16 | 読書

              
 この人の作品は、期待を裏切らないのは確かだ。腕利きの弁護士である著者は、法廷の場面を得意としているが、この作品はむしろエンターテイメント性に重きを置いたように思う。
 二転三転するストーリー展開は、読者を目まぐるしく翻弄しながら、父親の法律事務所で働く娘のアマンダ・ジャフィが自ら犯人逮捕のきっかけ作りを演出、そして危機に陥る。この本も一気に読了した。

 法廷ものといえばアメリカンミステリーが群を抜いているが、1月31日付の新聞によると、法制審議会の刑事法部会が犯罪被害者・遺族が刑事裁判で直接、被告や証人に質問し、検察官とは別に求刑の意見を述べる権利を認める「被害者参加制度」と、刑事裁判の判決後に同じ裁判官が被害者側の損害賠償請求も審理する「付帯私訴制度」を導入する要綱をまとめたという。
 裁判員制と共に画期的な展開になってきた。もっとも世論調査では、裁判員制の支持と反対が拮抗しているきらいがあるが。
 そこで被害者の方には申し訳ないが、これらの制度によって、日本の小説特に裁判の場面での描写にエンターテイメント性が加わる要素になるのではないかと勝手に思っている。

 著者のフィリップ・マーゴリンは、ニューヨーク市生れ。ワシントンのアメリカン大学卒業後、二年間平和部隊に参加した後、ニューヨーク大学で法律の学位を取得。現在はオレゴン州ポートランド市で弁護士業を営み、扱った十二件の死刑訴訟すべてに勝訴しているという。第三作の「黒い薔薇」でベストセラー作家の地位を不動のものにした。
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