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ミステリー タミー・ホウグ「ふたりだけの岸辺」

2005-08-09 13:21:48 | 読書
 ミネソタ州ツイン・シティズの東スティル・ウオターズで、何十年に一度の殺人事件が発生する。発見者は、テキサス州から離婚して引っ越してきた、地元紙クラリオンの発行人エリザベス・スチュアート。捜査に当たるのは、郡保安官ディン・ジャンセン。この

 二人が反目しながらも惹かれあい、またエリザベスと息子の関係、ディンと娘の関係、町の人々との関係、特殊な生活態度を見せるアーミッシュの人たちとの関係やそれぞれの過去を含めて克明に描き出す。時にくどいと思わせるが、女性作家特有の繊細な観察眼から、まるで最高の演技を見るような描写もありユーモアも欠けていない。たとえばくどいと思われるのは“「あの、この近くに公衆電話はないかしら?息子に電話しなきゃならないの」通信係は、離婚した母親、あるいは死体を発見した女性、さもなくばその両方に対する自分の考えを伝えようとでもするように、しばらくじっとエリザベスを見つめてから、大きく髪を膨らませた頭を鋭く左に傾けた。”

 最高の演技を見るような描写はコーラを飲み干すと、テーブルの上についたグラスの跡を指先で拭き取った。とか便器のふたを使用後は降ろしておく方がいいいというような日常のさりげない表現が随所に見られる。

 暴力場面もあるが、いうなればロマンティック・ミステリーというところだろうか。好みの問題であろうが女性読者には支持されそうに思う。この作家は、大胆にもセックス・シーンもふんだんに提供していて、女性から見る男性のセックス・アピールもわかって面白い。アメリカでは検屍官シリーズのパトリシア・コーンウェルに並ぶ人気だとか。
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