都城アンコール・トムは仏教である。
仏教だから、アンコール・トムには観世音菩薩がある。
アンコール・トムの入口、南大門にある観世音菩薩。2014年11月。
観世音菩薩はあるが、アンコール・トムには仏陀がない。これが不思議だった。
仏教のアンコール・トム (12世紀)は、
ヒンドゥー教のアンコール・ワット(12世紀)、
ヒンドゥー教のバンテアイ・スレイ(10世紀)とともに、
世界遺産アンコール・ワット遺跡群の一つである。
仏教とヒンドゥー教が共存している世界遺産である。
規模は、都城アンコール・トムは、
3キロメートル四方の環濠に囲まれている。
アンコール・ワットは、東西が1.5キロメートル、
南北が1.3キロメートルの環濠に囲まれている。
アンコール・トムはアンコール・ワットの4.6倍になる。
デバター(女神)に注目した。
日本のお寺にデバターはないから、なじみがない。
それが、仏教のアンコール・トムでデバターを見たから、
ヒンドゥー教のアンコール・ワットや、バンテアイ・スレイと比べてみた。
ヒンドゥー教のアンコール・ワットのデバター。
ヒンドゥー教のバンテアイ・スレイには、
有名なデバター「東洋のモナリザ」がある。
仏教のアンコール・トムは、
南大門をくぐると、中心部に仏教のバイヨン寺院がある。
⇒はデバター。
バイヨン寺院には、ニョキニョキと塔がある。その4面にも、観世音菩薩がある。
観世音菩薩は、アンコール・トムが仏教寺院であることを示している。
観世音菩薩は、ヒンドゥー教のアンコール・ワットや、
バンテアイ・スレイにはなかった。
アンコール・トムのバイヨン寺院を見ると、
入口や柱、塔には、⇒デバターがあった。
バイヨン寺院の柱にあるデバター。
バイヨン寺院の窓にもデバター。
入口の上にある、あぐらの4体。これは、天女アプサラス?
入口の左は、⇒デバター。
仏教のデバターは、こうあるべきだ、というものは見当たらない。
仏教とヒンドゥー教で、デバターに大きな区別はない。
どちらが、どちらにあっても、違和感はない。
ジャヤヴァルマン7世(1181~1218年頃)によって、
バイヨンは仏教寺院として建設され、仏教の隆盛期を迎える。
今見る観世音菩薩のほかに、ご本尊として仏陀が安置されていた。
それに、ヒンドゥー教の神々も祀られていたから、
仏教とヒンドゥー教は並存していた。
次の注目は、乳海撹拌(にゅうかいかくはん)。
ヒンドゥー教の天地創造の神話である。
ヒンドゥー教のアンコール・ワットの第一回廊には、
長さが47メートルの、乳海撹拌の有名なレリーフがある。
中央がヴィシェヌ神。
大蛇を左右で綱引きをするアスラ(阿修羅)と神々で、
引っ張り合って乳海を撹拌し、天地を創造する。
現地人ガイドはていねいに説明してくれた。
この乳海撹拌のレリーフは、長くて撮影が難しいので、
タイのスワンナプーム国際空港にある乳海撹拌の像を使う。
ヒマラヤへ行くときに、バンコクに立ち寄った。2014年3月。
乳海撹拌は、不老不死の薬アムリタをめぐって、
アスラ(阿修羅)と神々が争奪戦をする。
中央がヴィシェヌ神。
曼荼羅山(まんだら)に大蛇ナーガを巻きつけて、
左のナーガの頭の方をアスラ(阿修羅)が引っ張り、
右のナーガの尻尾の方を神々が引っ張る。
交互に引っ張り合って、曼荼羅山を軸棒として回転させる。
大海をかき回して、不老不死の薬アムリタを手に入れたい。
曼荼羅山の下の亀(金色)は、ヴィシュヌ神の化身クールマで、
曼荼羅山が沈みそうになったときに、背中で支える。
大海の撹拌は千年続いて、乳の海となった。
そして、天女アプサラスが生まれ、
蓮の花の上で踊る天女アプサラス。バイヨン寺院で。
さらに、太陽、月、ヴィシュヌ神の妻となるラクシュミー女神、
牝牛、白馬、象王、宝石、酒の女神などが現れた。そして、
医の神ダンヴァンタリが、アムリタが入った壺を持って現れた。
そのアムリタをめぐって、またアスラと神々が争奪戦をする・・・。
どこまで行っても、乳海撹拌には、仏教の話は出てこない。
仏教とは縁がない。ヒンドゥー教の天地創造の神話である。
アンコール・トムは、ヒンドゥー教の乳海撹拌を取り入れて造られていた。
アンコール・トムには、環濠にかかる橋を渡って、南大門から入る。
橋の左の欄干には、神々が大蛇ナーガを引っ張っている。
奥は南大門。
橋の右の欄干は、アスラが大蛇ナーガを脇に抱えて引っ張っている。
左奥は南大門。右下は環濠で、アンコール・トムは環濠で囲まれている。
アンコール・トムの中央にあるバイヨン寺院を曼荼羅山に見立て、
環濠を大海に見立てて、アスラと神々が大蛇を引っ張り合って、
バイヨン寺院を回している、という設定だった。
アンコール・トムは仏教だが、
ヒンドゥー教の天地創造の神話、
乳海撹拌を取り入れて建設されていた。
仏教のアンコール・トムが、
ヒンドゥー教のアンコール・ワットや、
同じくヒンドゥー教のバンテアイ・スレイと違うのは、
観世音菩薩があること。
しかし、仏陀がないが?
ジャヤヴァルマン7世(1181~1218年頃)が築いたアンコール・トムは、
仏教の隆盛期を迎える。中央祠堂に3.8メートルの大仏坐像を安置した。
だが、その大仏は今では見ることがない。
ジャヤヴァルマン8世が即位した(在位1243~1295年)。
ヒンドゥー教への篤い信仰から、仏像や仏教のレリーフを破壊したからである。
中央祠堂の大仏は破壊されて、地下に埋められた。
アンコール・トムでは、仏教にヒンドゥー教が並存し、
仏陀、観世音菩薩にヒンドゥー教の神々が祀られていた。
ヒンドゥー教の天地創造、乳海撹拌を取り入れて建設された。
しかし、ジャヤヴァルマン8世が即位して廃仏し、ヒンドゥー教化した。
世界遺産アンコール遺跡群では、
都城で仏教のアンコール・トム、
ヒンドゥー教のアンコール・ワット、
ヒンドゥー教のバンテアイ・スレイを見学するが、
乳海撹拌や仏教とヒンドゥー教の関係を知ることになる。
仏教だから、アンコール・トムには観世音菩薩がある。
アンコール・トムの入口、南大門にある観世音菩薩。2014年11月。
観世音菩薩はあるが、アンコール・トムには仏陀がない。これが不思議だった。
仏教のアンコール・トム (12世紀)は、
ヒンドゥー教のアンコール・ワット(12世紀)、
ヒンドゥー教のバンテアイ・スレイ(10世紀)とともに、
世界遺産アンコール・ワット遺跡群の一つである。
仏教とヒンドゥー教が共存している世界遺産である。
規模は、都城アンコール・トムは、
3キロメートル四方の環濠に囲まれている。
アンコール・ワットは、東西が1.5キロメートル、
南北が1.3キロメートルの環濠に囲まれている。
アンコール・トムはアンコール・ワットの4.6倍になる。
デバター(女神)に注目した。
日本のお寺にデバターはないから、なじみがない。
それが、仏教のアンコール・トムでデバターを見たから、
ヒンドゥー教のアンコール・ワットや、バンテアイ・スレイと比べてみた。
ヒンドゥー教のアンコール・ワットのデバター。
ヒンドゥー教のバンテアイ・スレイには、
有名なデバター「東洋のモナリザ」がある。
仏教のアンコール・トムは、
南大門をくぐると、中心部に仏教のバイヨン寺院がある。
⇒はデバター。
バイヨン寺院には、ニョキニョキと塔がある。その4面にも、観世音菩薩がある。
観世音菩薩は、アンコール・トムが仏教寺院であることを示している。
観世音菩薩は、ヒンドゥー教のアンコール・ワットや、
バンテアイ・スレイにはなかった。
アンコール・トムのバイヨン寺院を見ると、
入口や柱、塔には、⇒デバターがあった。
バイヨン寺院の柱にあるデバター。
バイヨン寺院の窓にもデバター。
入口の上にある、あぐらの4体。これは、天女アプサラス?
入口の左は、⇒デバター。
仏教のデバターは、こうあるべきだ、というものは見当たらない。
仏教とヒンドゥー教で、デバターに大きな区別はない。
どちらが、どちらにあっても、違和感はない。
ジャヤヴァルマン7世(1181~1218年頃)によって、
バイヨンは仏教寺院として建設され、仏教の隆盛期を迎える。
今見る観世音菩薩のほかに、ご本尊として仏陀が安置されていた。
それに、ヒンドゥー教の神々も祀られていたから、
仏教とヒンドゥー教は並存していた。
次の注目は、乳海撹拌(にゅうかいかくはん)。
ヒンドゥー教の天地創造の神話である。
ヒンドゥー教のアンコール・ワットの第一回廊には、
長さが47メートルの、乳海撹拌の有名なレリーフがある。
中央がヴィシェヌ神。
大蛇を左右で綱引きをするアスラ(阿修羅)と神々で、
引っ張り合って乳海を撹拌し、天地を創造する。
現地人ガイドはていねいに説明してくれた。
この乳海撹拌のレリーフは、長くて撮影が難しいので、
タイのスワンナプーム国際空港にある乳海撹拌の像を使う。
ヒマラヤへ行くときに、バンコクに立ち寄った。2014年3月。
乳海撹拌は、不老不死の薬アムリタをめぐって、
アスラ(阿修羅)と神々が争奪戦をする。
中央がヴィシェヌ神。
曼荼羅山(まんだら)に大蛇ナーガを巻きつけて、
左のナーガの頭の方をアスラ(阿修羅)が引っ張り、
右のナーガの尻尾の方を神々が引っ張る。
交互に引っ張り合って、曼荼羅山を軸棒として回転させる。
大海をかき回して、不老不死の薬アムリタを手に入れたい。
曼荼羅山の下の亀(金色)は、ヴィシュヌ神の化身クールマで、
曼荼羅山が沈みそうになったときに、背中で支える。
大海の撹拌は千年続いて、乳の海となった。
そして、天女アプサラスが生まれ、
蓮の花の上で踊る天女アプサラス。バイヨン寺院で。
さらに、太陽、月、ヴィシュヌ神の妻となるラクシュミー女神、
牝牛、白馬、象王、宝石、酒の女神などが現れた。そして、
医の神ダンヴァンタリが、アムリタが入った壺を持って現れた。
そのアムリタをめぐって、またアスラと神々が争奪戦をする・・・。
どこまで行っても、乳海撹拌には、仏教の話は出てこない。
仏教とは縁がない。ヒンドゥー教の天地創造の神話である。
アンコール・トムは、ヒンドゥー教の乳海撹拌を取り入れて造られていた。
アンコール・トムには、環濠にかかる橋を渡って、南大門から入る。
橋の左の欄干には、神々が大蛇ナーガを引っ張っている。
奥は南大門。
橋の右の欄干は、アスラが大蛇ナーガを脇に抱えて引っ張っている。
左奥は南大門。右下は環濠で、アンコール・トムは環濠で囲まれている。
アンコール・トムの中央にあるバイヨン寺院を曼荼羅山に見立て、
環濠を大海に見立てて、アスラと神々が大蛇を引っ張り合って、
バイヨン寺院を回している、という設定だった。
アンコール・トムは仏教だが、
ヒンドゥー教の天地創造の神話、
乳海撹拌を取り入れて建設されていた。
仏教のアンコール・トムが、
ヒンドゥー教のアンコール・ワットや、
同じくヒンドゥー教のバンテアイ・スレイと違うのは、
観世音菩薩があること。
しかし、仏陀がないが?
ジャヤヴァルマン7世(1181~1218年頃)が築いたアンコール・トムは、
仏教の隆盛期を迎える。中央祠堂に3.8メートルの大仏坐像を安置した。
だが、その大仏は今では見ることがない。
ジャヤヴァルマン8世が即位した(在位1243~1295年)。
ヒンドゥー教への篤い信仰から、仏像や仏教のレリーフを破壊したからである。
中央祠堂の大仏は破壊されて、地下に埋められた。
アンコール・トムでは、仏教にヒンドゥー教が並存し、
仏陀、観世音菩薩にヒンドゥー教の神々が祀られていた。
ヒンドゥー教の天地創造、乳海撹拌を取り入れて建設された。
しかし、ジャヤヴァルマン8世が即位して廃仏し、ヒンドゥー教化した。
世界遺産アンコール遺跡群では、
都城で仏教のアンコール・トム、
ヒンドゥー教のアンコール・ワット、
ヒンドゥー教のバンテアイ・スレイを見学するが、
乳海撹拌や仏教とヒンドゥー教の関係を知ることになる。