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ギリシャの通知表

2009-09-20 07:32:23 | Weblog
“世界の表彰・評価”から、“指標”を定めて、“数値”で、
日本の通知表”をみたが、同じ指標で、
ギリシャの通知表”は、どうなるだろうか?

古代ギリシャの彫刻を、パリやロンドンで見ることができる。
ミロのヴィーナス」は、パリのルーブル美術館にある。


サモトラケのニケ」もルーブル美術館にある。

勝利の女神ニケが、翼を広げている。

ギリシャのパルテノン神殿の彫刻は、ロンドンの大英博物館にある。

パルテノン神殿のペディメント(屋根の妻側の三角形)を飾っていた彫像。

それに、パルテノン神殿の外部の壁面を飾る帯状のフリーズ(浮き彫り)も、
大英博物館にある。
このペディメントの彫像と壁面のフリーズ(浮き彫り)は、
パルテノン・マーブル」とか、「エルギン・マーブル」といわれている。

大英博物館には、古代ギリシャのもある。

壺のランナーは、古代オリンピックの発祥の地、アテネにふさわしい。

ルーブル美術館や大英博物館で、
ルーブル美術館の、「ミロのヴィーナス」や「サモトラケのニケ」、
大英博物館の、パルテノン神殿の「パルテノン・マーブル」、
を見ると、「会うことができた!」と、感激する。
これらのギリシャの美術は、ルーブル美術館や大英博物館の、
最高のコレクションの一つで、世界の人が会いにくる。

「ミロのヴィーナス」は、ギリシャのミロス島で発見された(1820年)。
このとき、ギリシャは、オスマン・トルコの支配下にあって(1453年~1830年)、
そのオスマン・トルコから、フランス人が「ミロのヴィーナス」を買い取った。

「サモトラケのニケ」は、ギリシャのサモトラケ島で胴が発見された(1863年)。
フランス人によって引き続き発掘され、復元されて、ルーブル美術館にある。

パルテノン神殿のペディメントを飾る彫像や壁面のフリーズ(浮き彫り)の、
「パルテノン・マーブル」は、オスマン・トルコのイスタンブルに赴任した、
イギリス大使のエルギン伯爵が、イギリスに持ち帰った(1800年)。
しばらくは、自分の庭に飾っていたが、大英博物館に売却した。
「エルギン・マーブル」といわれるのは、ここからきている。

東京芸術大学の宮田亮平学長が、
技術×伝えたい思い⇒芸術
と、言われている。

その目でみると、
「ミロのヴィーナス」は、女性の美しさを伝えたかったに違いない。そして、
「ミロのヴィーナス」を超える彫像のヴィーナスは、見ないな。
「サモトラケのニケ」は、躍動する勝利の女神(ニケ)を伝えたかった。そして、
「サモトラケのニケ」を超える勝利の女神は、見ない。
「パルテノン・マーブル」は、神殿を美しく飾りたかった。そして、
ペディメントを飾る彫像を生みだし、壁面に帯状のフリーズを生みだした。
ペディメントの彫像、壁面のフリーズの創造は文化となった。
世界の人を魅了し、そして、また見たいと思う。
ギリシャ文明は、ローマに広がった。

今から2千数百年前に、彫刻や建築と、人類の財産を遺した、
ヨーロッパ文明の発祥の地、“ギリシャの通知表”をみたい。

ランク…AA=3位以内 A=10位以内 B=20位以内 C=30位以内 D=40位以内。
1)創造力: ノーベル賞の受賞者はなし→ランクF。
2)芸術力: カンヌ映画祭でパルム・ドール受賞作品は1で11位→ランクB。
3)学力:  PISA2006の15歳の知識と技能は37位→ランクD。
4)文化力: 文化遺産と複合遺産17は9位→ランクA。
5)運動力: サッカーのランキングは12位→ランクB。
陸上競技世界記録はない→ランクF。
6)経済力: 国民総生産は26位→ランクC。
7)援助力: 政府開発援助は19位→ランクB。
8)総合力: ランクC。


ギリシャのレーダーチャート(2009年9月)。

[総合評価]
“創造力”でノーベル賞の受賞者がいないために、
いびつなレーダーチャートになっている。

国土が日本の3分の1、人口が日本の10分の1以下の1,100万人で、
“経済力”の国民総生産GDPが26位、
“援助力”の政府開発援助ODAが19位は、りっぱである。

それに、“文化力”の文化遺産と複合遺産が17で9位は、
さすがにヨーロッパ文明の発祥の国である。

パルテノン神殿

このパルテノン神殿(紀元前5世紀)を超える神殿は、見ない。

「子牛を運ぶ男」

パルテノン神殿のそばにあるアクロポリス博物館。

新アクロポリス博物館が、アクロポリスの近くに建設された(2009年9月)。
「子牛を運ぶ男」は、今は、新アクロポリス博物館に移っているだろう。
3階建て、175億円の巨費をかけた新アクロポリス博物館の目玉は、
パルテノン神殿の長さ160メートルの帯状のフリーズ(浮き彫り)、
「パルテノン・マーブル」の再現である。

フリーズ97個のうち、半分以上の56個が大英博物館にあるから、
ギリシャにはない部分は石こうの複製品でつないでいる。

本物と複製品のまだら模様では、迫力がない、おもしろくない。
それで、ギリシャは大英博物館に、「パルテノン・マーブル」の、
貸し出しを求めた。

それに、ギリシャには新アクロポリス博物館という保管状態が、
いい施設ができたから、これまで大英博物館が、
人類の資産は、保管状態のいい大英博物館が管理したほうがいい。
ギリシャでは、車の排気ガスで大理石が浸食されてきた」
と言っていたことは、対策ができた。

大英博物館は、「3か月の貸し出しは可能」としたが、条件をつけている。
「パルテノン・マーブルの所有権が大英博物館にあることを認めること」

ギリシャは、「パルテノン・マーブル」は強奪された、と思っているから、
所有権が大英博物館にあることは、認められない。貸し出しは実現しなかった。
このニュースは、新アクロポリス博物館が開館する前の2009年6月に流れた。

エジプトは、大英博物館にある「ロゼッタ・ストーン」の返還を求めている。

3種類の古代文字が書かれた「ロゼッタ・ストーン」。
ガラスケースに入れて展示する前の写真。大英博物館。

「ロゼッタ・ストーン」は、エジプトに遠征したナポレオン軍が、ロゼッタで、
発見した(1799年)。それから、イギリスがエジプトに侵攻して(1801年)、
フランスを降伏させ、「ロゼッタ・ストーン」を保有した。

大英博物館は、「パルテノン・マーブル」をギリシャに返せば、
「ロゼッタ・ストーン」を、エジプトに返さなくてはならない。
古代ローマの美術も、メソポタミアの美術も、返さなくてはならない。
そうすると、大英博物館の最高のコレクションがなくなってしまう。

「大英博物館にくれば、ギリシャ文明もエジプト文明も、
比較して見ることができる」
このことを、大英博物館はうたい文句にして、人類の資産を維持していく。

ロンドンからアテネ空港に降り立つと、太陽がまぶしい。
「この太陽青空は、ロンドンにはないな。
太陽のエネルギーは、ほとんどギリシャに吸い取られてしまっている」
と感じて、うらやましくなる。

ギリシャ人は、
「ロンドンを訪問したが、寒くて暗くて、あの気候には気分が滅入った。
仕事が終わったら、すぐにギリシャに舞い戻ったよ」
と、ロンドンに滞在する私の目の前で、控え目? に言ったから、
「よくも、あんなところに住んでいるもんだ。
ギリシャの太陽を知ると、住めたもんではないな」
と、言わんばかりだった。

ヘロド・アティクスの音楽堂、2世紀。

アクロポリスの丘から撮影。
現在でも使われ、夏にはアテネ・フェスティバルの会場となる。

ギリシャの太陽と青空、そして、文化を求めて、世界から観光客が押し寄せる。
世界観光機関UNWTO(United Nations World Tourism Organization)が、
旅行者が訪れる国のデータをオープンしている(2007年)。
その世界観光機関UNWTOから、旅行者の行き先ランキングを作成した。

ギリシャは10位には入らなかったが、14位である。
日本は835万人だから、倍以上の1,752万人が、ギリシャを訪れている。
フランスが1位で、スペイン、アメリカ、中国、イアタリアが続く。
中国は2000年の5位から、2007年は4位になり、アメリカ3位を、
抜く勢いである。多くの日本人観光客が訪れている。

旅行者の行き先ランキング(2007年)と旅行収支を調べてみた。

ギリシャは観光黒字国である。
アメリカ、スペイン、フランス、イタリア、トルコが観光黒字国である
日本は観光赤字国である。ドイツ、イギリスも観光赤字国。

これは、「槍を投げるポセイドン」

アテネ国立考古学博物館。

旅行者の行き先ランキング(2007年)と世界遺産の数を比べてみた。
世界遺産は、文化遺産、複合遺産、自然遺産のすべてとした。

ギリシャの世界遺産は17で11位。旅行者の訪問は1,752万人で14位である。
世界遺産が多い国は、イタリア1位、スペイン2位、中国3位、フランスと、
ドイツが4位である。これらの世界遺産が多い国は、旅行者も多い。

ギリシャは太陽と青空と海、それにヨーロッパ文明の発祥の地。
ロマンをかきたてられ、世界の人を魅了する。


アテネ国立考古学博物館。考古学者ハインリッヒ・シュリーマンが、
ミケーネで発掘した黄金のマスク(アガメムノンのマスク)も展示されている。
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