※沼島灯台までの一本道。 クリック♪
朝起きてすぐ、「水仙郷と沼島 (ぬしま) に行こうか」 とNが言う。
沼島 ←クリック
「仕事があるんじゃないの?」
「うん・・でも、きょう行っとかんと水仙も終わってしまうし、この後もなかなか行きにくいしなぁ・・」
私もきょうは5週目でレッスンの無い日だ。
急いで着替え、水津さんの写真をもって家を出る。
沼島は、水津さんが最後に行きたいと言っていた場所だった。
なんで沼島なんですか?と聞くと、どうも、イザナギ・イザナミが登場する ‘国生み伝説’ に惹かれての事らしかった。
去年、写真家のosakiさんが水津さんのお見舞いにいらした折り、水津さんから 「沼島に行きたい!」 と言われ困惑されていた事を思い出す。
世界中を旅した仙人にとって1番最後に行きたかったのが、神の宿る島 「沼島」 だったのだ。
8時半に家を出る。
名塩SAで地図を確認したあと、新しく出来たという ‘阪神高速7号北神戸線’ に乗った。
道も結構空いていて、青空の下グングン気持ちよく走る![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/cars_red.gif)
途中 ‘淡路SA’ で休憩。
ひときわ目立つ大きな観覧車が出来ていた。
カーナビの調子が悪いので、標識を見たり人に尋ねたりしながら 「土生ターミナル」 へ到着。
30分ほど待ってから、「沼島汽船 しまかぜ」 に乗船。
船に乗りつけない私は、(酔わないかな・・大丈夫かな・・) と、ちょっと心配だったが、船内のテレビの 「キューピー3分クッキング」 を見ているうちにもう沼島に到着してしまっていた (所要時間10分)
島へ上がってパンフレットを広げ、まずは 「オノコロ神社」 を目指す事にする。
でも、島は思っていたよりも広そうで、神社までの距離が一体どのくらいなのかも分からない。
困っていると、ターミナルのそばに数十台の自転車がとまっているのに気が付いた。
(レンタサイクル
)
しかしよく見てみるとそうではなく、島民の人達のふつうの自転車だった。
不安な気持ちをかかえたまま、とりあえず歩き出す。
風が強いが天気は上々![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/fine_sim.gif)
途中で出合ったおばさんに 「どこかお昼を食べられるところはありませんか」 と尋ねると、「もう少し行ったら木村屋さんがありますよ」 と教えてくれた。
沼島漁港沿いにいくつもいくつも伸びている細い路地を、パシャパシャ写しながら進む。
漁村の趣きでいっぱいのステキな路地ばかりだ。
Nが、「僕の子どもの頃過ごした風景とおんなじや
」 と、弾んだ声を出している。
やっぱり思いきって来てみてヨカッタ。
しばらく行くと、「木村屋旅館」 と書かれた建物があり、1階が小さな食堂になっていた。
入ってみると地元の人らしい先客が1人座っているだけで、お店の人の姿は見えない。
「すいませーん」 とNが叫ぶが返事は無い。
何度呼んでも返事がないので、階段の上へ向かって叫ぶ。 「すいませーん、すいませーん」
やっぱりシーンとしたままだ。
(どーしよう・・時間ももったいないし・・出ようか) と思いかけた途端、そばに置いてあった小さな食卓ベルに気がついた。
Nがそっと遠慮がちに振ってみる。 リンリリン♪
すると、「は~い」 と声がしてやっと店の人がトントンと2階から降りてきた。
どう考えても、ちっちゃな鈴の音より、大声の方がよく聞こえてたと思うんだけどなぁ・・
それに、店内のおじさんもちょっとは協力してくれれば良いのに・・・もうちょっとでお客さん帰っちゃうところだったゾ![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hiyo_ang2.gif)
それでも何とか無事に、お造り定食にありつくことが出来た。
「おのころ神社」 と、店内に飾ってあった写真の 「上立神岩」 への行きかたを聞いて店を出る。
風がうなりを立てて吹く中、ボケや水仙、スイートピーなどが明るく咲いている。
軒の低い家々、石積みの塀、どこか南国のムードを感じる。
しばらく歩くと学校に出た。
「沼島小中学校」 と書いてある。
ちょうど昼休みなのだろうか、5,6年生くらいの男の子達が数人、サッカーボールを蹴って走っていた。
Nがカメラを向けて撮りだすと、「あ! 撮ってる撮ってる!!」 「ちょっと待って、今キメるとこだから」 などと元気いっぱいだ。
私も金網越しにカメラを向け、男の子が力いっぱいシュートした瞬間をパチリ。
(どうだ!) と満足げに振り返る男の子にVサインを見せると、「ナイス♪ おばちゃん」 と最高の笑顔をくれた。
都会ではまず見ることの出来ないシーンだ。
「あ、白鳥がおる♪」 とNの声。
学校のすぐ前のため池に白い鳥が2羽泳いでいる。
でもよく見てみると、白鳥でなくアヒルだった。
生徒達が飼っているアヒルのようで、草むらに大きくて清潔そうな小屋もあり、「アフラック&しまちゃんの学校」 ときれいにペイントされている。
(この学校の子ども達もアヒル達もきっとシアワセなんだろうなぁ) と、ルンルン気分になった![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hiyo_en2.gif)
その後、上立神岩まで続く山の一本道に入る。
日差しが強く、真っ白に乾いた地面に二人の影法師がクッキリと映り、まるで夏のようだ。
枝葉を落として白い肌がむきだしになった木が、青空に向かって何本も屹立している。
草むらの中には時おりひっそりと息づく石仏。
ゆるい上り坂を夢見心地な気分で歩く。
風がどんどん強くなってきたかと思うと、先を歩いていたNが突然、「見てん!!」 と叫んだ。
そこは山道のてっぺんにあたるところで、白いベンチがひとつポツンと置かれており、眼下には紺碧の紀淡海峡が広がっていた。
「ここがアミダバエや」
<てふてふが一匹 韃靼海峡を渡って行った> のフレーズが思い浮かんだ。
そこから下へ少し下った辺りから 「上立神岩」 が見えた。
高さ30メートル、「竜宮の表門」 とも呼ばれる奇岩だ。
背後を振り向くとちょうど逆光で、水面がまばゆい光に包まれている。
風のうなりもいつの間にか聞こえなくなっていた。
遠くの方に、ポツンと小さく白い船が見える
しばらく写真を撮ったりボーッと眺めていたりしていたが、Nの 「そろそろ行こうか」 の声にうながされ引き返す。
時間があればもっともっと見ていたかった。
もと来た道を下って平地に出ると、<沼島灯台 1.3キロ> の立て札が目に入った。
「行ってみようか、1・3キロならスグだろうし」
「う~ん・・・きょうはヤメとかへん?」
「なんで? 灯台見たいなぁ」
「1・3キロったって、こんな道じゃどうせ3キロぐらいはあるで」
確かにな・・・目の前の急坂を見るとそう甘くない気はする。
そんならよそうかと数歩歩きかけたが、やっぱりどうしても行きたくてたまらなくなった。
「ねえ、やっぱり行ってみようよ」
「え~?」
「今度いつ来れるかワカンナイしさ・・・このまま行かなかったらズーッと心残りになりそうな気がする」
「う~ん・・・」
「行こうよ、 シンドクなったらすぐ戻ればいいやん」
というワケで行くことになった。
目の前の坂道を早速登りだすが、思っていたより勾配がキツく、あっという間に汗がふき出し足が出なくなる。
「けっこうキツイねぇ・・」
「だから言ったやろ」
本当にキツイ・・・もうダメかも知れない・・・暑くなって上着をぬいだ。
「クルマの中のお茶持ってきた?」
「い~や」
「あーあ・・・持ってきてって言ってたのに」
「自分の分はカバンの中に入れてるで」
「え? ホント?! あ~良かったぁ」
「でも欲しいんやったら、‘3べん回ってワン’って言い!」
「エ?」
「それでそのあと、‘お茶を下さい、お願いします’ って言い」
「ハァ~??」
アホらしくて喉の渇きも失せてしまった。
Nは持っていたポッキーまで見せびらかしながら上機嫌で歩いている。
よくわからない性格だ。
なんとか急坂をやり過ごし、なだらかな道になりホッとする。
しばらく行くと前方にオレンジ色の鳥居が見えてきた。
近づいてみると鳥居はズラリと続いており、強風のためかバタバタ将棋倒し状態になっている。
その鳥居の中をくぐりながらどんどん進んでいくと、まだずいぶん先の方に、白い灯台がポツンと見えた。
(もうずいぶん歩いたと思ったのに・・・まだあんな先??)
しかも、目の前にまた急坂があらわれた。
さすがにNが真顔で 「もうヤメとこう」 と言い出す。
ガンバリたい気持ちもあったが、時間もあまり無いことなので断念する。
何度もうしろを振り返りながら道を戻った。
それにしても 「1・3キロ」 は、やはりNの読み筋通りだったなぁ・・・
平地に戻り、きょうのメインである 「おのころ神社」 へ急ぐ。
途中で人に聞きながら20分ほどで着いた。
着いたと思ったらまた急な石段があり、再びゼイゼイ言いながら登り、やっとてっぺんに辿りついた。
すぐ目の前に小さなお堂があり、中はガランドウで、壁にイザナギとイザナミの水彩画が架かっているだけだった。
お堂の裏手には、やはりイザナギとイザナミらしい銅像、それに、戦没者芳名碑というのがあるだけだった。
本当はここに水津さんの写真を置いていきたかったのだが・・・・
何だかあまりにも寂しすぎる気がして、結局一緒に帰ることになってしまった。
以前、「おのころアイランド」 というところへ行ってヒドイ目にあった事を思い出す![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hiyoko_cloud.gif)
「おのころ」 の4文字には要注意なのかも知れない。
4時発の 「しまかぜ」 に乗るため、帰り道を急ぐ。
さすがに少し足が痛い。
船着場へ無事到着。
乗船場の前へ来るとオッサン顔のロシアン・ブルーがいた。
ものすごい人相をしている。
写真を撮っていると、1匹、もう1匹とネコ達が集まりだしてきた。
全部で6匹ほどだろうか。
どれも均整のとれた体つきで、毛もツヤツヤしている。
やはりお肉より魚を多く食べているせいかも知れない。
Nがポッキーを1本投げてやったが、クンクンにおいを嗅いだだけで全く食べようとしなかった。
そばでウミネコがニャーオニャーオと鳴いている。
時間になり 「しまかぜ」 に乗船、来たときと同じであっという間に到着してしまった。
水津さん、また一緒に沼島へ行きましょう。
おわり![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/kirakira.gif)
朝起きてすぐ、「水仙郷と沼島 (ぬしま) に行こうか」 とNが言う。
沼島 ←クリック
「仕事があるんじゃないの?」
「うん・・でも、きょう行っとかんと水仙も終わってしまうし、この後もなかなか行きにくいしなぁ・・」
私もきょうは5週目でレッスンの無い日だ。
急いで着替え、水津さんの写真をもって家を出る。
沼島は、水津さんが最後に行きたいと言っていた場所だった。
なんで沼島なんですか?と聞くと、どうも、イザナギ・イザナミが登場する ‘国生み伝説’ に惹かれての事らしかった。
去年、写真家のosakiさんが水津さんのお見舞いにいらした折り、水津さんから 「沼島に行きたい!」 と言われ困惑されていた事を思い出す。
世界中を旅した仙人にとって1番最後に行きたかったのが、神の宿る島 「沼島」 だったのだ。
8時半に家を出る。
名塩SAで地図を確認したあと、新しく出来たという ‘阪神高速7号北神戸線’ に乗った。
道も結構空いていて、青空の下グングン気持ちよく走る
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/cars_red.gif)
途中 ‘淡路SA’ で休憩。
ひときわ目立つ大きな観覧車が出来ていた。
カーナビの調子が悪いので、標識を見たり人に尋ねたりしながら 「土生ターミナル」 へ到着。
30分ほど待ってから、「沼島汽船 しまかぜ」 に乗船。
船に乗りつけない私は、(酔わないかな・・大丈夫かな・・) と、ちょっと心配だったが、船内のテレビの 「キューピー3分クッキング」 を見ているうちにもう沼島に到着してしまっていた (所要時間10分)
島へ上がってパンフレットを広げ、まずは 「オノコロ神社」 を目指す事にする。
でも、島は思っていたよりも広そうで、神社までの距離が一体どのくらいなのかも分からない。
困っていると、ターミナルのそばに数十台の自転車がとまっているのに気が付いた。
(レンタサイクル
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hearts_pink.gif)
しかしよく見てみるとそうではなく、島民の人達のふつうの自転車だった。
不安な気持ちをかかえたまま、とりあえず歩き出す。
風が強いが天気は上々
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/fine_sim.gif)
途中で出合ったおばさんに 「どこかお昼を食べられるところはありませんか」 と尋ねると、「もう少し行ったら木村屋さんがありますよ」 と教えてくれた。
沼島漁港沿いにいくつもいくつも伸びている細い路地を、パシャパシャ写しながら進む。
漁村の趣きでいっぱいのステキな路地ばかりだ。
Nが、「僕の子どもの頃過ごした風景とおんなじや
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/kaeru_en4.gif)
やっぱり思いきって来てみてヨカッタ。
しばらく行くと、「木村屋旅館」 と書かれた建物があり、1階が小さな食堂になっていた。
入ってみると地元の人らしい先客が1人座っているだけで、お店の人の姿は見えない。
「すいませーん」 とNが叫ぶが返事は無い。
何度呼んでも返事がないので、階段の上へ向かって叫ぶ。 「すいませーん、すいませーん」
やっぱりシーンとしたままだ。
(どーしよう・・時間ももったいないし・・出ようか) と思いかけた途端、そばに置いてあった小さな食卓ベルに気がついた。
Nがそっと遠慮がちに振ってみる。 リンリリン♪
すると、「は~い」 と声がしてやっと店の人がトントンと2階から降りてきた。
どう考えても、ちっちゃな鈴の音より、大声の方がよく聞こえてたと思うんだけどなぁ・・
それに、店内のおじさんもちょっとは協力してくれれば良いのに・・・もうちょっとでお客さん帰っちゃうところだったゾ
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hiyo_ang2.gif)
それでも何とか無事に、お造り定食にありつくことが出来た。
「おのころ神社」 と、店内に飾ってあった写真の 「上立神岩」 への行きかたを聞いて店を出る。
風がうなりを立てて吹く中、ボケや水仙、スイートピーなどが明るく咲いている。
軒の低い家々、石積みの塀、どこか南国のムードを感じる。
しばらく歩くと学校に出た。
「沼島小中学校」 と書いてある。
ちょうど昼休みなのだろうか、5,6年生くらいの男の子達が数人、サッカーボールを蹴って走っていた。
Nがカメラを向けて撮りだすと、「あ! 撮ってる撮ってる!!」 「ちょっと待って、今キメるとこだから」 などと元気いっぱいだ。
私も金網越しにカメラを向け、男の子が力いっぱいシュートした瞬間をパチリ。
(どうだ!) と満足げに振り返る男の子にVサインを見せると、「ナイス♪ おばちゃん」 と最高の笑顔をくれた。
都会ではまず見ることの出来ないシーンだ。
「あ、白鳥がおる♪」 とNの声。
学校のすぐ前のため池に白い鳥が2羽泳いでいる。
でもよく見てみると、白鳥でなくアヒルだった。
生徒達が飼っているアヒルのようで、草むらに大きくて清潔そうな小屋もあり、「アフラック&しまちゃんの学校」 ときれいにペイントされている。
(この学校の子ども達もアヒル達もきっとシアワセなんだろうなぁ) と、ルンルン気分になった
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hiyo_en2.gif)
その後、上立神岩まで続く山の一本道に入る。
日差しが強く、真っ白に乾いた地面に二人の影法師がクッキリと映り、まるで夏のようだ。
枝葉を落として白い肌がむきだしになった木が、青空に向かって何本も屹立している。
草むらの中には時おりひっそりと息づく石仏。
ゆるい上り坂を夢見心地な気分で歩く。
風がどんどん強くなってきたかと思うと、先を歩いていたNが突然、「見てん!!」 と叫んだ。
そこは山道のてっぺんにあたるところで、白いベンチがひとつポツンと置かれており、眼下には紺碧の紀淡海峡が広がっていた。
「ここがアミダバエや」
<てふてふが一匹 韃靼海峡を渡って行った> のフレーズが思い浮かんだ。
そこから下へ少し下った辺りから 「上立神岩」 が見えた。
高さ30メートル、「竜宮の表門」 とも呼ばれる奇岩だ。
背後を振り向くとちょうど逆光で、水面がまばゆい光に包まれている。
風のうなりもいつの間にか聞こえなくなっていた。
遠くの方に、ポツンと小さく白い船が見える
しばらく写真を撮ったりボーッと眺めていたりしていたが、Nの 「そろそろ行こうか」 の声にうながされ引き返す。
時間があればもっともっと見ていたかった。
もと来た道を下って平地に出ると、<沼島灯台 1.3キロ> の立て札が目に入った。
「行ってみようか、1・3キロならスグだろうし」
「う~ん・・・きょうはヤメとかへん?」
「なんで? 灯台見たいなぁ」
「1・3キロったって、こんな道じゃどうせ3キロぐらいはあるで」
確かにな・・・目の前の急坂を見るとそう甘くない気はする。
そんならよそうかと数歩歩きかけたが、やっぱりどうしても行きたくてたまらなくなった。
「ねえ、やっぱり行ってみようよ」
「え~?」
「今度いつ来れるかワカンナイしさ・・・このまま行かなかったらズーッと心残りになりそうな気がする」
「う~ん・・・」
「行こうよ、 シンドクなったらすぐ戻ればいいやん」
というワケで行くことになった。
目の前の坂道を早速登りだすが、思っていたより勾配がキツく、あっという間に汗がふき出し足が出なくなる。
「けっこうキツイねぇ・・」
「だから言ったやろ」
本当にキツイ・・・もうダメかも知れない・・・暑くなって上着をぬいだ。
「クルマの中のお茶持ってきた?」
「い~や」
「あーあ・・・持ってきてって言ってたのに」
「自分の分はカバンの中に入れてるで」
「え? ホント?! あ~良かったぁ」
「でも欲しいんやったら、‘3べん回ってワン’って言い!」
「エ?」
「それでそのあと、‘お茶を下さい、お願いします’ って言い」
「ハァ~??」
アホらしくて喉の渇きも失せてしまった。
Nは持っていたポッキーまで見せびらかしながら上機嫌で歩いている。
よくわからない性格だ。
なんとか急坂をやり過ごし、なだらかな道になりホッとする。
しばらく行くと前方にオレンジ色の鳥居が見えてきた。
近づいてみると鳥居はズラリと続いており、強風のためかバタバタ将棋倒し状態になっている。
その鳥居の中をくぐりながらどんどん進んでいくと、まだずいぶん先の方に、白い灯台がポツンと見えた。
(もうずいぶん歩いたと思ったのに・・・まだあんな先??)
しかも、目の前にまた急坂があらわれた。
さすがにNが真顔で 「もうヤメとこう」 と言い出す。
ガンバリたい気持ちもあったが、時間もあまり無いことなので断念する。
何度もうしろを振り返りながら道を戻った。
それにしても 「1・3キロ」 は、やはりNの読み筋通りだったなぁ・・・
平地に戻り、きょうのメインである 「おのころ神社」 へ急ぐ。
途中で人に聞きながら20分ほどで着いた。
着いたと思ったらまた急な石段があり、再びゼイゼイ言いながら登り、やっとてっぺんに辿りついた。
すぐ目の前に小さなお堂があり、中はガランドウで、壁にイザナギとイザナミの水彩画が架かっているだけだった。
お堂の裏手には、やはりイザナギとイザナミらしい銅像、それに、戦没者芳名碑というのがあるだけだった。
本当はここに水津さんの写真を置いていきたかったのだが・・・・
何だかあまりにも寂しすぎる気がして、結局一緒に帰ることになってしまった。
以前、「おのころアイランド」 というところへ行ってヒドイ目にあった事を思い出す
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hiyoko_cloud.gif)
「おのころ」 の4文字には要注意なのかも知れない。
4時発の 「しまかぜ」 に乗るため、帰り道を急ぐ。
さすがに少し足が痛い。
船着場へ無事到着。
乗船場の前へ来るとオッサン顔のロシアン・ブルーがいた。
ものすごい人相をしている。
写真を撮っていると、1匹、もう1匹とネコ達が集まりだしてきた。
全部で6匹ほどだろうか。
どれも均整のとれた体つきで、毛もツヤツヤしている。
やはりお肉より魚を多く食べているせいかも知れない。
Nがポッキーを1本投げてやったが、クンクンにおいを嗅いだだけで全く食べようとしなかった。
そばでウミネコがニャーオニャーオと鳴いている。
時間になり 「しまかぜ」 に乗船、来たときと同じであっという間に到着してしまった。
水津さん、また一緒に沼島へ行きましょう。
おわり
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/kirakira.gif)