※ きょうから森家の新メンバーとなったスカーレットです。
よろしくネ
Nが珍しく休日の土曜なので、またまた出かける事になった。
淀か尼崎という意見も出るが、結局ふだん通りのコース(西谷~三田)から篠山方面を目指す。
途中、いつも気になっていた176R沿い相野の ‘田畑あり’ の碑と、波田の大師寺で途中下車。
ささやかな冒険気分を楽しむ。
そのまま篠山まで行き、いつもの河原町妻入商家群入り口、本篠山バス停前の駐車場でクルマを降りる。
きょう初めて妻入り商家群とは逆のコースを歩いてみたが、風情のある古びた民家や店舗がズラリと続く。
途中から小雨に降られるが、それも気にかからぬほどワクワクさせられる町並みだ。
いつも閑古鳥の鳴いている妻入商家群コースに比べると、こちら(地理的によく解っていないのだが、大正ロマン館に向かう通り)は、店の数も観光客の数もほどほどで、歩いていても写真を撮っていても安心感がある。
古い病院、菓子店、玩具店、剥がれかけた土壁の民家、八百屋、文具店・・・
雨脚が急に強まってきたので、少し先に見えている茶店へあわてて駆け込んだ。
(続く)
昨夜は坪井3級、来海4級、石川4級(昨夜昇級)の泊まり組みに阪上2級が加わり、Nの指導のもと12時前まで熱心に将棋をやっていたが、私は昼間たくさん歩いたせいか眠くて眠くてたまらず。
ブログも途中までしか書けなかった。
で、きのうの続き・・
店は正しくは ‘古美術屋 元禄’ という名前で、一歩入ると、広い敷地に建てられた古民家の中に古い絵皿やぐい飲みがところ狭しと置かれていた。
お茶は庭に並んだテーブルで飲むようになっており、Nは黒豆コーヒー、私は黒豆紅茶を注文する。
運ばれてくる間、座敷に上がりこんで様々な古物を見てまわった。
塗りの盆、茶托、トックリ、壷などに混じり、キセルや鏡、時代劇で時々見かけるような古道具類などもある。
座敷の1番奥まったところに、半分こわれかかったお籠が置かれていた。
大人が乗るにはちょっと狭いかなという印象だが、昔の人は今よりもずっと小柄だっただろうから、こんなものなのかも知れない。
庭先から 「お茶が来たでー」 とNの呼ぶ声。
黒豆紅茶は本当に黒豆の味で、紅茶自体はかなり薄かったが、口中に黒豆の風味がジンワリ~と広がる。
「オイシイよ、これ♪ コーヒーはどう?」 と聞くと、「うーん別に・・・ふつう」
感動しながら少しずつ大切に飲んでいると、「ここは敷地だけで300坪あるんですよ」 と、60代ぐらいの男性オーナーが現われた。
梅の古木(幹が腐りかけている)の説明のあと、奥に続く屋敷に案内してくれる(う~ん・・・ 黒豆紅茶まだ飲みかけなんだけどなぁ・・・
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/ase.gif)
)
オーナーの説明によると、この屋敷は元篠山城主お抱えの医者の住居で、50年近く空家だったのを4年前に買い取り、1年間で1000万かけて修復されたそうだ。
ヒンヤリと薄暗い土間に並ぶおくどさん、長年の煤でいい感じにいぶされた大黒柱。
サクラやクリでできた堅牢な柱や上がりがまちの板など、とても江戸末期に建てられたとは思えぬほど美しく、ビクともしない頑丈さに感動する。
現代の使い捨ての時代を誠につまらなく感じる一瞬だ。
テーブルへ戻って冷えきった黒豆紅茶を飲み干したあと、先ほどの古物を見に再度座敷へ上がる。
お籠の近くに大きなガラスケースに入ったフランス人形があり、実はそれが気になっていたのだ。
値段は2500円。
とにかく言えるのは、
ここの古物は、かなり良心的な価格 だという事。
「こう言ったらなんですけど・・・他の古物商のお店に比べるとかなりお安いですよね」 と言うと
「いやあ、実はそうなんですよ。 あんまりそういう点に力を入れてないもんで・・・でも皆さんかなり値切られますよ。 値切らずにそのまま買って行くという人はまず居ません」
そうか・・・・良心的な値段でそれじゃあ大変かも知れないなあ。
「でもまあ、そういう事も楽しいですからね」 とニッコリ。
いい人そうだ。
で、そのフランス人形がとっても欲しくなりNに言うと、予想どおり反対される。
「ムリやろ・・」
「なんで?」
「こんな大きいもん、どうやって持って帰るの」
「大丈夫だよ。 私が持つから」
「ムリムリ! 車に持っていくだけでも大変やし(ここまで30分以上かけて歩いてきている) ガラスものだから車に乗せて運ぶのもムリやで」
「うーーーーーーん・・・・・・やっぱりダメかなあ」
Nが行ってしまったあとも未練たらたらで見ていると、再び 「ちょっと! こっちこっち~!!」 と大声で呼ばれる。
今度はなんだろうと走って外へ出ると、テーブルの上でオーナーが葉っぱに文字を書き込んでいるところだった。
濃い緑色で、周囲にギザギザのある硬い葉っぱで、モチノキ科の多羅葉(たらよう)という木の葉っぱらしい。
「これを2,3枚くっつけてハガキとして使用できるんですよ」
多羅葉の葉っぱは時間が経ってもカサカサにならず、丈夫でいつまでも残るので、昔から文をしたためる道具として使われていたらしい。
「ハガキという言葉は、この多羅葉から生まれたとおっしゃる方もいるようですね」
庭には見事な多羅葉の木が何本か植わっており、「どうぞハガキにして誰かへ送ってください」 と、ツヤツヤと元気な緑葉を3,4枚頂いた。
お礼を言ってそろそろお暇という時、思いきって切り出す。
「あのォ・・・全然話しは違うんですけど。 あの座敷の奥の、籠のそばにある、ガラスケースに入った大きなお人形なんですけど。 あれ、持って帰るのムリですかねー」
Nが (ゲッ!) という表情で私の顔を見る。
「ああ、あのフランス人形ですか?」
「はい」
「そんなに重くないと思いますよ。 多分持って帰れると思いますけど」
3人でゾロゾロと座敷へ上がる。
「(ガラスケースに入った人形を持ち上げながら)こんなもんですけどね。 ちょっと持ってみて下さい」
抱えてみると重さはそんなでもないが、かなりかさばるのでクルマへ戻るまでが大変そうだ。
宅急便でも送れますよと言われるが、やっぱり壊れそうで躊躇する。
どうしたものかと悩んでいると、「じゃあ車まで戻ってもう1度ここまで取りに来ますから、それまで置いていて貰えますか」 すっかり観念したNが切り出す。
もう間もなく閉店時刻だったのだが、オーナーは快くOKしてくれた。
雨はいつの間にか上がっている。
足の痛いNも、がんばってサッサと早歩きだ。
ちょっとしんどかったが、なんとか駐車場までたどり着き、急いで元禄茶屋まで戻る。
人形ケースはしっかりと梱包され、ご家族全員で待っていて下さった。
2500円だったが2300円にマケて下さり(本当に申しわけない。 よかったのに)、さらに車まで運んで頂き、その後も家族総出で見送って下さる。
お店でこんなに丁寧にもてなされるというのは、私達にとってはかなり珍しい事だ(普段なら軽くあしらわれる事がほとんど)
帰りの車の中で、人形の名前を ‘ユキチャン’ と名づける(翌日のフローラSのゲンかつぎで)
Nが珍しくお腹が空いてたまらないと言うので、久しぶりでレストイン・デカンショへ入る。
Nはエビフライ定食、私はエビフライカレーを食べたが、ここのエビフライは本当にカリッ! サクッ! でオイシイ(天然の海老で、頭からシッポまで食べられる)
帰宅後、源さんの横に人形ケースを置いてシゲシゲと眺めるが、どうもユキチャンというイメージではない。
結局、
スカーレット という名前に決定。
これで私のPC置き場がなくなったが・・まあなんとかなるだろう(こうやってどんどん散らかっていくんだなあ)
帰宅後にネットで見つけました。
住所も掲載されているので、篠山へお出かけの際にはゼヒどうぞ♪
すぐそばの一休庵が目印です(クルマはここへ停められるようです)
古美術茶屋 元禄
おわり