ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)

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私見では、39%の保護率というのは、決して低い数値とは思えない(三重県の児童虐待事件)

2023-07-12 00:00:00 | 社会時評

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三重の児童相談所 AIの分析結果参考に一時保護を見送り
2023年7月11日 18時55分 

津市で4歳だった娘を床に転倒させ死亡させたとして42歳の母親が逮捕された事件をめぐり、三重県の児童相談所がAI=人工知能を活用した独自のシステムで分析し、その結果を参考にするなどして、一時保護を見送っていたことが分かりました。県は「AIの評価はあくまで参考で、最後は専門の職員が判断している」としていますが、第三者委員会は今後、システムの活用方法などについても検証する方針です。

ことし5月、津市で4歳だった娘をテーブルの上から床に転倒させ死亡させたとして、42歳の母親が逮捕された事件では、三重県の児童相談所が、娘を「要保護児童」と位置づけたあとも亡くなるまでの1年以上にわたり、本人に直接会って状況を確認することはなく、県は対応に課題があったとしています。

県の児童相談所は、虐待が疑われる子どもを「一時保護」するかどうか判断する際の参考にするため、AIを活用した独自のシステムを運用していて、県によりますと、このシステムで分析したところ、今回の事件と似たケースで一時保護したのは39%だったということです。

県は「AIの評価はあくまで参考で、最後は専門の職員が判断している」としていて、今回、一時保護を見送ったことについては、母親が児童相談所の指導に応じる姿勢を示していたことなどを挙げています。

県の第三者委員会は今後、システムの活用方法などについても検証する方針です。

AI活用の独自システムとは 
三重県の児童相談所は、虐待が疑われる子どもを「一時保護」するかどうか判断する際の参考にするため、AI=人工知能を活用した独自のシステムを運用しています。

システムは2020年から運用を始め、虐待が疑われるケースで児童相談所の対応を記録したデータがおよそ1万3000件、蓄積されているということです。

そして、けがの状態などの条件を入力し、類似したケースでは、どの程度の割合で児童相談所が一時保護をしたか、パーセンテージで算出するということです。

県は、AIによる評価はあくまで参考とするもので、最終的には専門の職員の判断で対応を決めるとしています。

実は、三重県は、AIを用いたシステムをかなり自慢していますね。こちらを。

全国で初めて人工知能(AI)を活用した児童虐待対応支援システムの運用を開始します
 三重県では、昨年7月から今年6月まで、国立研究開発法人産業技術総合研究所と共同して、県内2か所の児童相談所において、虐待対応を支援する業務システムの実証実験に取り組んできました。
 今年4月からはシステムの運用に向け、現場に即したルール作り、システム調整等を行い、県内すべての児童相談所において、本システムの運用を開始します。
 児童相談所において、AIを活用した虐待対応を行うのは、全国で初めてとなります。

もう1つ

人工知能(AI)を活用した児童虐待対応支援システムの調達にかかる情報提供依頼(RFI)
1 背景
 近年、児童虐待は増加の一途をたどり、大きな社会問題となっています。
 三重県は、平成13年度に児童相談所児童記録システムを導入して児童記録を管理するとともに、平成24年度に発生した児童虐待の重篤事例をうけ、リスクアセスメントシートを開発し、平成26年度から運用してきました。
 今回、児童相談所の一時保護の判断の適正化、迅速化を図ること等を目的として、人工知能(AI)を活用した新しい児童虐待対応支援システム(以下「新システム」という。)を令和2年4月1日から導入することを検討しており、調達仕様を評価検討することになりました。
 新システムは、令和2年4月1日から利用することが可能であること、また児童相談時間に応じて長時間安定して動作することが求められます。

最初に。これはいろいろな考えがありでしょうが、私個人の意見を申し上げますと、

今回の事件と似たケースで一時保護したのは39%だったということです。

というのは、そんなに危険性が低いというものではないと思いますね。少なくとも行政が

三重県の児童相談所が、娘を「要保護児童」と位置づけたあとも亡くなるまでの1年以上にわたり、本人に直接会って状況を確認することはなく

というのでは、職務怠慢にもほどがあるといわれても仕方ないのではないか。そもそもこの母親は、

4歳の娘 傷害致死疑いの母親 4年前に娘を「赤ちゃんポスト」に
2023年7月10日 15時38分 

三重県津市で、ことし5月、4歳の娘を転倒させ死亡させたとして逮捕された42歳の母親が、4年前、生後間もない娘を、熊本市の病院が設置しているいわゆる「赤ちゃんポスト」に一時、預けていたことが分かりました。

津市の工場作業員、中林りゑ子容疑者(42)は、ことし5月、自宅で4歳だった娘のほのかさんをテーブルの上から床に転倒させ死亡させたとして、傷害致死の疑いが持たれています。

中林容疑者は4年前、三重県の児童相談所に「ひとり親で養育ができない」と相談し、一時保護などの措置がとられたことが分かっていますが、これよりも前に熊本市の慈恵病院が設置している、親が育てられない子どもを匿名で受け入れるいわゆる「赤ちゃんポスト」に、生後間もないほのかさんを一時、預けていたことが病院への取材で分かりました。

病院によりますと、預ける理由として経済的な困窮を挙げたうえで身元を明かし、いずれは引き取って自分で育てる意思を示していたということです。

ほのかさんは3週間程度預けられ、その後県内の乳児院に入所したとみられるということです。蓮田健院長は「一度預かった赤ちゃんが命を落としたことは非常に残念だ。親は困難な状況を訴えてきているので、再び親に引き取られた場合は、行政機関が状況をいま一度確認してほしい」と話しています。

というわけであり、相当やばい母親のように思えますね、正直。同じ状況の母親のなかでも、この母親はかなり危険性が大きくないか。そのあたり三重県側は、どれくらい把握していたんですかね? していたのかもしれませんが、けっきょくこのような最悪の事態になってしまったのでは、やはりよろしくないとしか言いようがない。前に私は、このような記事を書きました。

虐待で、子どもの一時保護が実施された親が、児童相談所との面談を拒否したという時点で完全にアウトだと思う(夫婦間のDVでもすさまじいものもある)

この記事で取り上げた事件でも、

児童相談所は、空来ちゃんが自宅に戻った後も継続的に面会する予定だったが、田代容疑者は、体調不良などを理由に面会をキャンセルしたとう。

しかし、入所措置を解除した翌日の4月1日に乳児院の職員が自宅を訪れたところ、空来くんの左頬には、あざがあったということです。

あざについて問われると、田代容疑者は「どこかにぶつけたんだと思う」と答えたと言います。

という次第であって、この記事で私が指摘したように、

児童相談所(児相)との面会を拒否、断れるような立場ではない。それでそのような人間がそういう態度に出た時点で、田代容疑者はまともな人間でないし、あるいは、もう第三者に子どもを会わせることができなかったということなのでしょう。お話にもなりません。

ということです。児相側がどれだけ言い訳、抗弁しようと、本来助けられた命を、児相の判断ミス、怠慢で死なせてしまったわけです。これではどうしようもないとしかいいようがない。

だいたいAIっていったって、きちんとしたデータを入力しているのかというところからして疑問だし、AIの使用によって、「AIの解析だから」とAIへの責任転嫁にならないか。さすがに三重県側も、

AIによる評価はあくまで参考とするもので、最終的には専門の職員の判断で対応を決めるとしています。

とはしていますが、この件の場合、こういう話が出てくること自体、明らかに職員の判断がAIの評価に引きずられているように思いますね。仮にそうでなかったとしても、

娘を「要保護児童」と位置づけたあとも亡くなるまでの1年以上にわたり、本人に直接会って状況を確認することはなく

というのが許されるようなケースでもないでしょう。上の記事で引用させていただいた識者の言葉を再引用します。

一番大事な愛着形成の期間、出産から2歳までの間の関係性ができていない状況。(児相は)相当慎重にしてほしかったなと。引き取りはあくまでも1つのスタートなんです。数週間、確認ができない場合には、どんな状況でも家庭訪問をさせていただいて、お子さんの安全確認、目視。解除にあたっての条件付けが絶対必要になってきますね

今回のケースでは、そもそも家庭訪問も不十分ではなかったのかとも思われるし、いろいろ問題がありそうです。マンパワーの問題は理解するとしても、すくなくとも1年間母親と接触しなかったというのでは児童保護の体をなしていないと思います。残念ですがそう思います。


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