ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)

映画、旅、その他について語らせていただきます。
タイトルの由来は、ライプツィヒが私の1番好きな街だからです。

「ガス人間第一号」をしばらくぶりに見る(1)

2009-08-05 07:34:01 | 映画
8月1日は映画が安い日だったので、 「愛を読むひと」を見ました。この映画の感想はまたあらためて書きます。この映画を新宿で見た後、池袋に行って、新・文芸坐なる映画館でオールナイトで4本映画を見ました。

東宝が1950年代後半から60年代前半に制作した「変身人間シリーズ」とその番外編的作品の4本です。以下、映画館での上映順に、「マタンゴ」 「美女と液体人間」 「ガス人間第一号」 「電送人間」 という好事家が泣いて喜びそうな映画4作品連続上映です。当然私も見に行きました。これらの映画が大きなスクリーンで見られるのは本当にありがたいことです。なお、これら4本のうち、「電送人間」以外は本多猪四郎監督の作品です(「電送人間」は福田純監督)。

    

で、今回は「ガス人間第一号」の話を書きます。この映画は今日でもある種カルト的人気があります。実は私も大好きな映画です。右3つのポスターは、米国版のポスターです。

ひとつお断りしておきますと、題名の「第」の字は略字なのですが、便宜上普通の字を使用します。

なお、以下思いっきりストーリーを最後まで書きますので、これから映画を見るという奇特な方は以下は読まないかさもなければご承知のうえお読みください。







いいですか? あとで私に文句は言わないで下さいよ。



    

「東宝スコープ」というロゴがでて(ついでながらに書いておくと、「シネマスコープ」とは商標です)、映画が始まります。手を挙げている銀行員の姿をカメラがなめながらクレジットタイトル(1960年の映画ですから、エンドクレジットはありません)が入ります。

車に乗って逃走する犯人の車を、三橋達也の警部補が乗るパトカーが追いかけます。三橋さんてあんまり東宝の特撮ものに出演しているっていうイメージがないのですが、この映画では一応主演です。「一応」と書いたのは、この映画では主人公の割にはちょっと影が薄いからです。ていいますか、この映画の実際の主人公は、水野(後述)と藤千代(同左)ですね。

どうでもいいですが、途中トラックとすれ違って、衝突しそうになるシーンがありまして、そのトラックに「西濃運輸」のロゴがあったのには驚いてしまいました。いまなら当然架空の会社を使うところでしょうが、タイアップがあったのですかね。

犯人の乗った車は崖から落ちてしまいます。さっそく三橋たちは車を調べますが、犯人がいないのはともかく、なぜか逃げた形跡も、血の跡などもありません。どうしたのでしょうか。

調べていくと、大きいのですが、かなり落ちぶれた家があります。

で、そのあばら家(といっていいんでしょうか)にいたのが、年齢不詳の踊りの家元の藤千代とおつきの老鼓師です。踊りのけいこ中です。

この藤千代を演じているのが八千草薫でして・・・

      

うーん、絶世の美女ですね。

正直、この映画を見るまで私は、八千草薫ってこんな美人だと思いませんでした。この映画では年齢の設定は(かなりの年齢)ということになっています。彼女は1931年生まれですので、撮影時は29歳くらいだったと思われますが(この映画が公開されたのは12月ですが、撮影は夏に行われたと考えられます)、いやー、こんなきれいだったんですね、彼女。

さらに老鼓師を左卜全が演じていまして、なかなかいい味をだしています。結局彼は、最後まで藤千代についていきます。

話を聞くも、あまり得るところがなく、三橋らは引き上げます。



喫茶店で、三橋と新聞記者(当時の言葉で婦人記者)の甲野京子が、デートしながら事件について話をしています。2人は恋人同士(婚約しているみたいです)です。

この甲野京子を演じているのが、佐多契子という新人女優さんです。

   

芸名は、たぶん佐田啓二を意識したのでしょうね。

映画館にあった当時のプレスシート(のコピー)によると、彼女は藤本真澄にバスの中でスカウトされたそうで(プレスシートに書いてあることだから、ほんとかどうかは責任は持てませんが)、1941年生まれ、盛岡出身で、盛岡市立女子高校を卒業、本名佐々木公子なんて書いてありました。すいません、忘れないためにここで書いてしまいました。

その後、1963年くらいまで活動をしていたみたいですが、今日ではほとんどこの映画の準主演で知られるくらいですかね。正直、この映画でもあまり演技がうまいとはいえません。

また、この映画では八千草薫がきれいすぎて、ちょっと損をしたみたいな…。

この映画での彼女の年齢の設定は、たぶん大学を卒業したてといったところでしょう。三橋はこの映画の撮影時、36か7ですから、恋人同士という設定は、やや年齢的に無理があるような気がします。

さて、こんな風にストーリーを詳細に書いていると、いつまでたっても終わらないので少しスピードアップします。

再び銀行強盗があり、警官らがやられます。金庫室の内部から鍵がかかっています。これは密室です。

で、やはり藤千代があやしいということになり、三橋が暑いさなか、徒歩で彼女の家に向かいます。すると、甲野京子の車が通りかかって、ちょっと彼と話をしたら、のっけてくれずに去ってしまいます。この辺、木村武(馬淵薫)のシナリオがうまいですね。

佐多契子は笑いながら走り去りますが、あんまり笑い方がうまくありませんね。当然アフレコでしょうが。

藤千代宅にいくと、でかい運転手つき車が家の前に止まっていて、藤千代はすぐに去っていきます。それを追いかける甲野記者。

途中、三橋とぶつかるので、今度は彼を乗せて車を尾行します。

車の目的地は図書館。三橋が降りて、閲覧室で彼女を監視します。

そこで司書(かな?)の男性に、藤千代が何の本を閲覧しているのか確認します。

これを演じているのが土屋嘉男です。上に、彼の色紙があります。黒澤明監督の作品でもおなじみですね。彼がこの映画のもうひとりの主人公です。

図書館を出た後、別派の師匠に会います。発表会をするので協力してほしいと頼む藤千代に対して、師匠は協力を渋ります。

ここで登場するのが塩沢ときです。師匠の奥さん役です。

奥さんとともに師匠が去ると、さらにお金を積みます。このお金はどこから来るのか。

すいませんね、記事が長くなりすぎました。明日続きを書きます。

(追記、5日のうちに、ポスターの写真、台本の写真、八千草薫の写真、佐多契子の写真を追加しました)
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6 コメント

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Unknown (フルフル)
2020-06-19 07:54:52
ガス人間、拝見しました。
文句は申しません。(笑)

土屋嘉男氏のエッセイで
海外に行くと今だに「ガス人間」のファンと称する人達に出会う。
あの作品は奥深い内容だった。と語っておられ

どういう内容か興味あったのですが
観てみたいとまでは思っていかなったので
感謝こそすれ(繰り返しますが)文句は申しません。
返信する
>フルフルさん (Bill McCreary)
2020-06-19 22:13:10
どうも古い記事へのコメントありがとうございます。この記事を書いてから、土屋氏や八千草さんもお亡くなりになってしまいました。ご年齢的に仕方ないところはありますが、ちょうど60年前の映画ですからね。佐多契子さんもご存命なら79歳です。

>どういう内容か興味あった

けっこう面白そうでしょ(笑)。あるいは私のブログの記事を過去から読んでいただいているんですかね。記事がたくさんですが、よろしければどんどんコメントしてください。
返信する
Unknown (フルフル)
2020-06-20 07:58:46
いつも有難うございます。
お世辞でなく、管理人さんのブログは
ジャンルが広く、興味満載で
古いのから拝見させて頂いてますが

投稿文を終え、タッチした際
中々うまく出来なくて何回も 
「投稿内容を確認して下さい」がでて
「風と共に去りぬ」では、あきらめてしまいました。

また、投稿できなかったと思い再びタッチして
いつかのように、ダブってしまったり
まだまだ ヨチヨチ歩きですが
また、失礼あったらお許し下さいませ。
返信する
>フルフルさん (Bill McCreary)
2020-06-20 09:14:40
どうもコメントありがとうございます。かなり話題の幅が広いので、たとえば政治の意見は合わないが、他は興味深いということもあろうかと思います。気にいった記事を読んでいただければ幸いです。

>「風と共に去りぬ」では、あきらめてしまいました。

アシュリーを許せない記事ですかね。よろしければ、投稿できないときは、しばらくそのコメントを取っておいて、日を置いていただければあるいはコメントできるかもしれません。特に用語のNGとかは設定していないので、あるいはちょっと全体に重いとかもあったのかもですね。

>また、失礼あったらお許し下さいませ。

とんでもございません。よろしくお願いします。
返信する
Unknown (フルフル)
2020-06-20 10:49:34
管理人さま
未熟なのに、広い心で受け入れて下さり感謝です。
有難うございます。
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>フルフルさん (Bill McCreary)
2020-06-21 22:42:00
これからもよろしくお願いします!
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