拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

魔王が「愛してる」って言う件

2024-01-30 08:56:29 | 音楽

例の音楽横好きの横野好夫くんが、昨日、カーサクラシカのセッションに行ってきて、ピアノ伴奏は金澤亜希子さんで、で、シューベルトの魔王を歌ったんですって。

あたし、歌のことは知らないけど、ドイツ語を勉強したからゲーテの歌詞については興味があって、まず題名。「魔王」は「Erlkönig」の訳だけど、「Erlkönig」の直訳は「ハンノキの王」。ハンノキは水辺に生える高木。なぜ「ハンノキの王」が「魔王」になったかについてはいろんな説があって、ウィキペディアには「ゲーテはむしろそのハンノキの王から、樹木の精霊の王として魔王を設定し、想像力を膨らませた」と書いてあった。たしかに、人里離れたとこにある高木はなんとなく怖い。SF映画でも、ときどき大きな木が暴れたりするものね。ただ、「魔王」って言ったら魔法使いの王様でしょ?魔法使いは、ハリー・ポッターもそうだけど一応人間。それに対して「精霊」は超自然現象でどっちかというとお化け。だから「精霊の王」と「魔王」ではニュアンスが違う気がする。

この歌、一人の歌い手が「語り部」「父親」「子」「魔王」を歌い分けるんだけど、特に魔王のパートがすごい。猫なで声で子どもに近づいていって、最後なんていうと思う?「Ich liebe dich」よ。「愛してる」って恋愛場面で語られる台詞だと思ってたら、お化けが子どもにとりつくときも言うのよね。で、最後の最後に、「もし自分からこないんだったら」、「so brauche ich Gewald」(力ずくで)って言って正体を現すの。まるで、北野武監督の映画に出てくる怖いお兄さんの台詞みたい。

あと、この歌詞を読んでてときどき、え?と思うのは、文章の途中に呼びかけが挟まってること。例えば、「Siest,Vater,du?」って具合。「Siest du?」は「お前は見たか?」なんだけど、その質問の相手がお父さん(Vater)なのね。だったら、普通は「Vater,siest du?」又は「Siest du,Vater?」となるところなんだけど、その「Vater」が間に入ってるのよ。ドイツ人って普段こんな言い回しをするのかしら。あたし、浅学にして知らない。詩だからこその表現なのかしら。

横野君、昔は、人前で歌うときは絶対食べ物を口にしなかった。合唱団の演奏会の前のお昼ですら食べなかった。なのに、いつからか、平気な顔をしてがっつり飲んで食べるようになった。カーサクラシカでも、しっかり食べて飲んでその間に歌。ワインは平均1.5本飲むんだって。この日もそう。

なぜ平気で食べるようになったんだろう?食事をして声が出ないというのは気のせいだと分かったのか、それとも、声が出なくても歳をとって鈍感になってそれに気づかなくなったのか。因みに、年寄りがつまらない駄洒落ばっかり言うのも、歳をとって前頭葉のおさえがきかなくなって、思わず口から出ちゃうんだって。やーだ、横野君、自分は若い若いと言ってても歳なのね。って、あたしも人のこと言ってられないけど。



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