拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

ラブ・メール

2020-11-27 08:55:58 | 音楽
「今やれることはすぐやろう」とお友達が書いてるのを読んで、そうだ、うじうじしていられない、某女と某女に告ろう、コピペすれば同じ文面を使い回せる。それでメールを送ろう。でも、案外、人は通じてるものだ。ファルスタッフも同じ文面のラブレターを二人の人妻に送ったが、その二人が互いに見せあいっこして、どっちにも来た、しかも同じ文面ということがばれた。そう、逆の立場になったこともある。若い頃マドンナだったO嬢は、私にも友人の某にも手紙を送った。友人が私にそれを自慢したので私にばれた。だが内容は違っていて、私には「料理を作ってね」だったが某には「料理を作ってあげる」だった。そうか、内容を変えればいいのか、ちょびっと表現を変えよう。え?そういう問題じゃない?姑息なことをしてもばれる?だったら、いっそのこと、宛名を連名にして、一斉に送るか。某女さんと某女さん、私は、あなた方が大好きです。付き合ってください。ただし、いっぺんに付き合えるのは一人に限りますので、遅れてお申し出された方はキャンセル待ちになります。あしからず……最近の通唱会の案内文のようである。「一人に限る」と言えば、二人の人妻がファルスタッフに一泡吹かせようと、二人ともデートを承諾したように見せかけ、驚喜したファルスタッフが「(一人で二人を相手にできないから)わしを、食卓の上のカモシカのように二つに切ってくれ」と絶叫するシーンがある。私はここんとこが大好きである。だが、連名メールにも問題がある。冒頭の「某女さんと某女さん」だが、どちらか後に書いた方は「なんであたしが後なのっ」と言って怒るだろう。ラブメールを送るのも一筋縄ではいかない。通唱会の主催と同様に、気苦労である。考えてみると、ファルスタッフは偉い。当時、ワープロなんかないから、同じ内容の恋文をせっせと書いたわけだ。倍の時間がかかる。いや、代筆かもしれないな。昔は、字が書けない人は艶書(!)の代筆を人に頼んだし(おしんも代筆をしていた)、教養のある貴族も、手紙は召使いに書かせていた。「バラの騎士」のバロン・オックスもしかり、「フィガロ」のコンテッサもしかりである。因みに、コンテッサがスザンナに手紙の内容を口述して、スザンナがそれを復唱する様を描いたのが「手紙の二重唱」である。いいなぁ、歌いたいなぁ。でも、次に某会で二重唱をするとしたら、私は男になって、誰かと愛の二重唱を歌う(魔笛かドン・ジョヴァンニの)。誰かいない? 歌った人には特典がある。私と付き合うという特典である。罰ゲームではないっ、失敬なっ。因みに、冒頭の言葉は、感動的な文脈から発せられた言葉である。その言葉が私を通ると、ごらんの通り真っ黒になる。仕方がない。件の発信者は高邁な精神の持ち主だが、私のウリは痴性である。私のパソコンも、「ちせい」と打つと真っ先に「痴性」と変換する。ドン・ジョヴァンニに使えるレポレロのように主人に忠実である。かりに私にレポレロがいたとしてもカタログは空欄ばかりだけど。

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