「Friede」の使用例についてコメントをいただいた。「Ehre sei Gott in der Hoehe und Friede auf Erden」。これ、ミサのグロリアの冒頭「Gloria in excelsis deo et in terra pax」(高きところの神に栄光、地には平和あれ)のドイツ語訳で、もとはルカ伝第2章第14節。こういった昔から歌いつがれているような成句は今でも古いままかと思いきや、1912年のルター聖書では「Frieden」に置き換えられている(1545年版ではもちろん「Friede」)。そんななか、シェーンベルクのアカペラの合唱曲「Friede(nはない) auf Erden」(邦題=地上の平和)に注目。歌詞を全部読んでみたら、対になってるはずの「Ehre sei Gott in der Hoehe」がない。つまり、ルカ伝とは関係がなく、19世紀後半のスイスのマイアーという人の詩に曲をつけたものだ。とってもきれい……だが、歌うのはとっても大変そう。まだ後記ロマン派っぽさが残ってるとはいえそこは20世紀の音楽(難しさはオネゲルどころではない)。しかもソプラノに高い「シ」がある。
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