「センス・オブ・ワンダーへのまなざし(レイチェル・カーソンの感性)」(多田満著)を読む
レイチェル・カーソンの著作を中心に描かれていますが、いろんな方々の言葉も多数記されています。
「科学者になるには自然を恋人としなければならない。自然はやはりその恋人のみ真心を打ち明けるものである」(寺田寅彦68頁)
「環境省では、基礎的な生物情報の収集を長期にわたり継続して、日本の自然環境の量的、質的な劣化を早期に把握するために、全国1000か所程度のモニタリングサイトを生態系タイプごとに設置している」(70頁)
『センスオブワンダー』の中で、「もしもわたしが、すべての子供の成長を見守る善良な妖精に話しかける力をもっているとしたら、世界中の子供に、生涯消えることのない『センスオブワンダー=神秘さや不思議さに目を見張る感性』を授けてほしいとたのむでしょう」とカーソンは述べている。(87頁)
カーソンの「沈黙の春」は、環境問題の古典と呼ばれ、アメリカの歴史家R・B・ダウンズ(1903~1991)の「世界を変えた本」27冊のうちの1冊に数えられ、池上彰著「世界を変えた本10冊の本」にも選ばれています。
「もともと人は、人以外の生き物と交感的な関係(自然との対話)を築いてきた。それは「神話の時間」や「ドリームタイム(夢の時間)」とよばれ、人と生き物(有情)との交感がアニミズムとよばれるものであり、近代科学の前に覆い隠されてきてしまったものである」(290頁)
殺虫剤DDTの廃止で、蚊を媒介にした感染症で亡くなる人たちも居たということで是非が問われたそうですが、環境問題、殺虫剤を撒き続けることによる耐性が生まれるということで、という論争としての結論だったと思います。