「母なる自然のおっぱい」(池澤夏樹著)を読む
「狩猟が単なる獣肉の入手手段でなく、もっと精神的な意味の深いものであるとすれば、人間は相当な相当なハンディキャップを負わなくては狩猟はできない。狩猟自体が意味を失ってしまったのだ。それに気づかずに高い金で買ったためのリスク感に満足を得ている人々の姿は滑稽かつ愚劣としか言いようがない」(40頁)
「・・・その場で『ありがとう』ということは、あなたがそんなことをしてくれるとは思っていなかったとほのめかすこと、つまり遠回しにあなたを侮辱することなんですから。
この論理がわかるだろうか?
助け合うことがあえて称賛するにもあたらない日常の行為となっている社会には、多分『助け合う』という言葉もないだろう。それは『人間』という言葉の中に含まれているのだろう。農耕や富の蓄積やハイテクや、安定した日々と引き換えにぼくたちが失ったのはこういう精神である」(ブッシュマンのこと 64頁)
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以前に読んだ本の中にも、ボルニアの狩猟民族でも「ありがとう」「ごめんなさい」という言葉はないという内容のものがありました。
それが当たり前の世界では、記念日なども必要ではないのだろう。