アウトドアな日常

インドアからアウトドアへのススメ

反・幸福論

2021年08月16日 | 本と雑誌 その2

「反・幸福論」(佐伯啓思著)を読む

アメリカとの開戦時、小林秀雄は神風が吹いたという例えをしました。日本が敗戦を喫した時、折口信夫は神はいなくなったということを記しました。

戦後、日本にはカミがいなくなって自然から畏怖の念が消えて、自然を粗末に扱い人々は都会が桃源郷と思い、そちらへ向かいました。

お金という価値基準が人間の価値と勘違いをして、幸福というものが三種の神器というものに代わり、モノを持てばシアワセになれると高度成長を迎えます。

カントの言葉を引用しています。「これに反して長期にわたる平和は、商人気質をこそ旺盛にするが、しかしそれとともに卑しい利己心、怯懦(きょうだ・臆病という意)や懦弱(だじゃく・臆病)の風をはびこらせて、国民の心意を低劣にするのが一般である」

古来、自然とは今日の言葉だと「じねん」という呼ばれ方をし、「しぜん」というい呼び名は、災害とか脅威といった事象のことを指した言葉であったそうです。ですので、そういったことと表裏一体であったのでしょう。日本のような災害の多い国では、それも自然の枠組みのひとつであったのでしょう。

豊かになった代わりに、人は「死」というものと無縁になり、それはないものとみなし振舞うけど、自然の驚異や死というものを受け入れたのなら、もっと人は幸福感を持つことができるのではないだろうか。

それがまさしく畏怖であり、カミであると思うのである。

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