暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

夏の盛りに粗茶一服

2022年08月25日 | お茶と私

  (お軸は「點笑」、ノウゼンカツラの花と山芋の蔓を鉄灯明台に・・・)

 

やっと夏も終わり近くになりました。皆さま、お元気にお過ごしでしょうか?

8月に入り、いろいろ心乱すことがありましたが、SNさまが暁庵へいらっしゃいました。

ブログ「夏休み中ですが・・・壺屋焼の茶碗」を読んで、お茶飲みに来てくださったのです。

それで、ご近所のYさまにも同席して頂いて、立礼席で粗茶一服差し上げました。

お稽古が夏休み中だったので、5年ぶり(たぶん?)にいらっしゃるSNさまをどのようにお迎えしたらよいかしら? お軸は? お花は? 薄器は? 茶杓は? 茶碗は?  

あれこれ準備に勤しんでいると、塞いでいた心がだんだん晴れ行くのを感じます(塞いでいても仕方ないものネ・・・独り言)。

そして、当日は穏やかな心でSNさまをお迎えすることが出来ました。

SNさま! 来てくださって本当にありがとう!  頂いたメールを記念に記します。

 

 SNさまのメール

昨日は到着が遅くなり大変失礼を致しました。薄茶一服だけいただこうと思っていましたのに、炭手前もしていただき、主菓子と合わせて二服もいただき、さらにはお食事までご馳走になり、お茶事と変わらないようなおもてなしをしていただいて恐縮です。

紫蘇ジュースをいただきながら、またお食事をいただきながらお話を伺いましたが、お茶席でのおもてなしをしていただいて、このような場があるからこそ清談ができるということを実感しました。

お軸の清水公照師という方は知らなかったのですが、調べていて「動いている時無念になれる」「ありのままよりしゃあないなぁ」とおっしゃっていて、「點笑」というのはその人柄のままの言葉だな、点てて飲んで笑ってそれでいい、と言われている気がしました。

私の先生が茶花も教えるようになって、去年の5月に稽古茶事で亭主をしてからずっと毎月習っているのですが、釣花入の丸い形に惹かれました。満月のようでもあり、灯のようでもあり、和ということを形にしているようでした。

 

       (洗い茶巾・・・茶碗は壺屋焼です

点茶盤の点前はオンライン茶道学で見ていましたが実際に拝見するのは初めてで、正座が難しい外国人にもしっかりした立礼がある、と思いを改めました。

すっきりした火箸が印象的でした。責紐釜は炉で見たことがあったのですが、風炉に乗ると小振りに見え、少しお湯を沸かすのにとてもよいサイズに思えました。実際に紐を掛けたものは見たことがないのですが、コロナ禍なのでできるだけ清い水を、と持ち出すのもいいなと思いました。

旅箪笥を洞庫のようにしてお使いなのが斬新で、玉手箱のように替茶碗が出てくるのが楽しく、お茶碗も拝見物も置けて、さらにはすぐに運べるというのが目からウロコで真似したくなりました。

 

 (お菓子は銘「水夏(すいか)」(練切)と豊楽焼・振出しのあられ糖)

振出が少し重さがあって普通のものと違うなと思ったのですが、豊楽焼というものを初めて知って、陶器に漆を塗ったものが珍しく、茶籠にあったものとのことで是非他のものも拝見したいと思いました。蓋を開けた時、内側のエメラルドグリーンが目に飛び込んで印象的でした。

ブログにあった壺屋焼の茶碗は井戸のようにどっしりしながら少し歪みがあったりしておおらかで素朴な感じがとても素敵でした。一人でゆっくりたくさん飲みたい時にとてもいいなと感じました。

茶杓は稽古でお使いのものということで、茶碗だけでなく茶杓も育つということ、時の積み重ねでしか生まれない美しさや味わいがあることを実感し、とにかく続けるということを思いました。

最後に風炉を拝見させていただいた時、藤灰のまかれた風情やお炭がそのままの形で白くなっている様子がとても綺麗で感動しました。

 

 

暁庵先生には沢山質問してしまいましたが、京都へ行かれたいきさつ、これまでの茶事のお話などを伺いながら、今ある縁を大切にすること、チャンスの前髪を着実につかむということ、もうこうでしかなかったというくらいに道を自分で切り開くことの意味を学ばせていただきました。

Y様にもお待たせしてしまい大変失礼致しました。甥っ子さんのお話などを伺って「子供と一緒にお茶を楽しめばいいんだ」と思い直しました。どうぞよろしくお伝え下さい。

これまで暁庵先生のお茶会やお茶事を残念ながら見送ることが多く、思い切ってご訪問させていただきましたが、沢山の夢や勇気をいただきました。

またお会いできますように・・・ この度は本当にありがとうございました。  SNより  

 

 


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