(「柏葉紫陽花」・・・「レースをまとった貴婦人」と呼んでいます)
6月に入り、蛍のことが気になりだしました。
お稽古でも「お茶杓のご銘は?」「蛍狩りでございます」・・・蛍の話題が出始めました。
新型コロナウイルスのため自粛生活が続いていたので、「近場で蛍を楽しめたら、なんて!ステキなことだろう・・・」と思いました。
「カワニナがたくさんいたから、きっとあそこに蛍が出ると思う」とツレ。
その場所は、4月の桜の頃に散歩へ出掛けた小川に添ったプロムナードでした。
第1回目は6月10日、夜7時半過ぎに出かけました。プロムナード近くのコンビニに車を止め、懐中電灯を片手に草が高く生い茂る暗い道を進むと、小川に水がなく干上がっています。
気落ちしながら上流を目指して歩いていくと、やっと水が流れ始めていて一安心。さらに進むと、最上流近くに女の人が2人いらして、蛍を待っている様子でした。
「こんばんは。蛍がいますか?」
何でも数日前に有志の方がゲンジボタル200匹を飼育し放流したそうで、8時15分頃に近くの工場の電気が消えるので、それを待っていたのでした。
あと10分ほどなので、近隣の蛍情報やカワニナや水量のことなどを伺いながら一緒に待つことにしました。
電気が消えて待つこと30分、待ちくたびれて帰ろうとした時のことです。
「願わくば蛍さん、どうぞお姿を現わしたまえ!」と念じて振り向くと、小川の側の木に光るものがいるではありませんか。
蛍さんでした。
木の葉の上で点滅している光のなんと繊細なことでしょう。4人が夢中で幽かな光を見つめていると・・・飛んでくれました。思いが通じたようです。
闇の中の光の航跡は水に映ってそれはそれは美しく私たちを楽しませてくれました。
その日はたった1匹でしたが、もう大満足でした。
2回目は2日後の12日です。「今日はもっとたくさん飛ぶのでは?」と期待に胸を膨らませて出かけると、ギャラリーが4人から10人くらいに増えていました。
この日も工場の電気が消えてから1匹が飛翔し、ツレの胸のところで一休みしてくれました。
川向こうの畑の方まで飛んで行ってしまい、なかなか帰ってきません。
ほっほっ蛍来い あっちの水は苦いよ
こっちの水は甘いよ ほっほっ蛍来い
幼いころに口ずさんだ童謡を思い出していると、誰かさんが「童謡を歌うとたくさん出てくれるかしら?」
(「蛍狩り」(絵葉書) 型絵染 本間勇夫)
13日と14日は雨が続きました。
15日はとても暑かったので、雨上がりの暑い日に多いという情報もあり、期待しながら出かけました。8時過ぎに到着すると、蛍見物のギャラリーが既に10人以上はいたと思います。
カメラを用意している人もいて、皆の「今日こそは・・・」という願いが満ち溢れていました。
ところが、工場の電気が消えてもなかなか現れません。それでも帰る人もなく、皆、ひたすら蛍を待ち続けました。
9時近くになってツレと私はあきらめて引き上げ、今年の蛍見物はこれにて終了です。
3日通って出逢えた蛍は2匹。成虫期間は1~2週間なので同じ蛍かもしれませんが・・・。
梅雨の合間のさびしい蛍狩りでした。