今日は、この街にいます。

昨日の街は、懐かしい記憶になった。そして・・

882 オリンダ【アメリカ】

2019-08-08 14:58:27 | 海外
サンフランシスコのダウンタウンから東へ、ベイ・ブリッジで湾を横断するとオークランドになり、そのまま東へ丘陵のトンネルを抜けると、オリンダという街に入る。私たちは、そこで暮らす妻の妹宅にお世話になった。海外を旅する都度、できるだけその土地の暮らしに近づいてみたいと思っているだけに、これほどありがたいことはない。そこは森の中に家々が隠れているような、大都会近郊の緑豊かな住宅地である。



アメリカ合衆国(United States of America)の国や自治の形態は、日本とはずいぶん異なるのだろうが、それは実際に暮らしてみないとなかなか実感できないものだろう。そのことは承知の上で、データを整理することで外形に近づいてみる。USAたる所以は50の州で連邦国家を構成していることだ。国土は日本の25倍。人口は3億2800万人だ。カリフォルニア州の人口は3800万人で、全米最多の州だ。



加州には58の郡があり、オリンダ市はそのほぼ中央のコントラコスタ郡に属する。同郡には19の市町村があって、全人口は100万人弱。そのうちオリンダ市は人口1万8000人程度の、日本なら町村規模の自治体で、人口密度は低い。サンフランシスコとはBartで直結し、車でも30分程度の都市圏ながら、公立学校の水準の高さ(米国ではこれが不動産価格を左右する)などから、子育て世代に人気の街らしい。



行政の役割(徴税、道路管理、選挙など)の多くは「郡」に委ねられているようで、広域的な効率は図られている。ただ市町村がその意思を示せば、自治体としての独自性はかなり担保されているらしいのは米国流か。7月4日の独立記念日を挟んでの滞在になったので、あちらこちらに星条旗が掲げられている。当日はオリンダでは「街の規模以上に盛大な」パレードがあり、夜には花火大会が開かれているようだった。



しかし家庭での花火は固く禁じられている。乾燥地帯のカリフォルニアでは山火事の危険があるからだ。私たちがお世話になったのはBartの駅から丘陵を登った、道路が夾竹桃の白い花で縁どられている美しい住宅地なのだが、それだけに林の下草は刈り取るよう、住民はお互いに注意し合っている。あちこちで見られるNeighbors Watching Out for Neighborsの立て札も、そうやって火災の危険を防ごうということか。



妹さんはキルト作家である。サンフランシスコ市中央図書館で開催中の個展に案内してもらう。色鮮やかなキルト作品とともに、真綿を効果的に用いた近作のコラージュが展示してある。もうすぐ1周忌となる母親の着物をベースに、母が書で残した反古紙を真綿で柔らかく包み込んだような作品である。姉妹は「あ、これお母さんの字だわ」「お葬式の時にもらってきたの」などと声を交わしながら、いつまでも眺めている。



中央図書館は市庁舎の正面にあって、オープンな書架は国別に書籍が分類され、移民国家・米国ならではと感心させられる充実ぶりだ。サンフランシスコのベイエリアはIT産業や金融ビジネスの成長が目覚しく、全米でも傑出した活況地域であるらしい。自動運転技術を開発中のベンチャービジネスに勤務する彼女の息子は、目標年次まで資金調達の心配は全くない、と言った。これが米国経済の強さだろう。(2019.7.2-8)



























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