今日は、この街にいます。

昨日の街は、懐かしい記憶になった。そして・・

1150 徳山(山口県)ふくの海コンビナートに追いやられ

2024-02-10 22:10:34 | 山口・福岡
小倉からの帰途、新幹線を徳山で下車する。特段の用があるわけではないのだけれど、知らない街があると歩いてみたくなる。私の行動範囲はどうしても東日本に偏りがちだから、西日本の地理は未だに疎い。特に山口県の瀬戸内海沿岸の街の並びがアヤフヤであることが、長年の気懸りになっていた。そのうえ近年の合併で、子供のころに覚えた街の名が変わるという混乱が加わる。だから徳山のコンビナートを眺めながら考えてみることにする。



「周防灘」を思いついてグーグル・マップに打ち込んでみると、山口県南岸と北九州市から大分県の豊後半島にかけての海がアップされた。瀬戸内海側では「周防灘」と呼び、大分県側では「豊前海」と言うらしい。私がアヤフヤなのは、周防灘に面した瀬戸内海沿岸界隈の街の連なりということになる。下関から東へ、山陽小野田、宇部、山口、防府、周南、下松、光、田布施、平生、岩国、和木と、聞いたことのある市や聞いたことのない町が続く。



「徳山市」が見当たらないことにうろたえたが、20年前に合併して「周南市」になっていた。周南市は耳にすることがあっても、それが徳山市の発展系とは知らずに20年を過ごしたことになる。かつての地理好き少年は、老いて地理ボケ老人になってしまった。このエリアは街の名を冠した企業が多いような気がするけれど、若いころ聞き知った小野田セメント、宇部興産、徳山曹達などはいずれも社名が変わっている。街の名も企業名も移ろうのだ。



さて周南市の旧徳山地区である。新幹線の駅から港まで5分とかからない。人も車も少なく寂しいけれど、湾のあちこちに盛大に煙を吐く煙突が林立し、ここが瀬戸内海工業地域の一角であることを教えている。昨今の中学の教科書では中京、阪神、京浜を「工業地帯」、関東内陸、瀬戸内、東海、京葉、北九州をそれに次ぐ「工業地域」と表記するのが主流だそうで、旅をすればコンビナートが埋め尽くす「太平洋ベルト」を目にすることになる。



徳山駅を港とは反対側の出口に向かうと、在来線の上あたりになる位置に広いデッキが現れて、周南市立駅前図書館が明るく窓口を開けている。私はかねて「いい図書館があって初めていい街と言える」と考えているのだが、「こどもとしょかん」や時間貸しの交流室もある明るく開放的な施設で、「周南はいい街だ」ということになりそうだ。民間の力も導入しているらしくカフェと書店が併設され、何より駅と一体化していることが便利だろう。



このエリアの人口は、内陸が中心の山口市を別にすれば宇部、周南、岩国、防府の順に10万人を超えている。周南市は隣接する下松・光地区と合わせ、「周南広域都市圏」を形成する構想があるようだ。確か下松には新幹線の車両工場が、光には新日鉄の製鉄所があったはずだ。この海域は呉の基地を発った帝国海軍の戦艦集結地だったのだそうだが、平和の時代の広域圏として、人口25万人規模の周防灘の中心都市になっていくのかもしれない。



徳山駅の片隅に「徳山沖はふく延縄漁の発祥の地だから、徳山はふくのふるさとなのだ」とフグが鎮座している。今回は素通りした街に防府市がある。周防の国府の街を意味する市名なのだろうから、この地域の歴史的な中心であったに違いない。防府出身の人に「ほうふ、って息が漏れるようで言いにくい地名ですね」と言って怪訝な顔をされたことがある。私の人生は失礼な失敗が余りに多いと反省するのだが、もはや手遅れである。(2024.1.31)
























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