今日は、この街にいます。

昨日の街は、懐かしい記憶になった。そして・・

881 サンフランシスコ【アメリカ】

2019-08-03 16:45:13 | 海外
バンクーバーからサンフランシスコへ、北米大陸西海岸を南下する私たちの旅は、ちょうどカスケード山脈の北端から南端まで、富士山よりも高い火山群の連なりに沿って移動していたことになる。つまり西の日本列島から東のハイ・カスケーズへと、環太平洋火山帯(Ring of Fire)の上を動いていたのだ。火山は怒ると怖いけれど美しい景観を生む。ポートランドからサンフランシスコへの空路がそれを実証してくれた。



カスケード山脈は、北米大陸の背骨・ロッキー山脈に並行してその西側、太平洋岸に近い内陸部を北から南へ1000km延びている。今回の旅で、私はその山脈に聳える峰々を眺めることを楽しみにしていた。なかでも最高峰のレーニア山(4392m)を、シアトルの街の背景として望みたかった。チラリと見えたようにも思ったのだけれど、あいにく雲が多く、それは雲の塊かもしれなかった。しかし飛行機は雲の上を飛ぶ。



ポートランド日本庭園で、街を望む東側のテラスに出た折り、遥か彼方に雲海を突き抜けて輝く白銀が望まれた。スタッフに尋ねると、その若い女性は紙を取り出し、三つの山の姿をすらすらと描いて標高まで書き添えてくれた。見えているのはMt. Hood(3429m)でオレゴンの高峰。Mt. St. Helens(2550m)とMt. Rainierはワシントン州の山だという。私はフッド山を上空から、間近に見下ろすことができた。



サンフランシスコに近づいて、私の高度はどんどん下がっている。気がつくと眼下にゴールデンゲートブリッジが現れた。半島の先端を埋める街区がはっきり識別できる。ノースビーチのダウンタウンに密集するビル群も識別でき、洋上にはアルカトラズの島影も見える。ベイブリッジからサン・マテオ橋と、湾にかかる橋を遠望しながら市街地の南端まで飛んで左旋回し、埋立地に密集する住宅街を見下ろして着陸した。



サンフランシスコは6年前の同じ季節に来ている。ダイナミックに発展を続けているらしく、街は6年間で大いに様相を変えたようだ。上空からでは分からなかった新しいビルがどんどん建てられ、この街のランドマークとして決まって紹介される三角錐形をしたビルは、もはや新しいビル街に埋もれかけている。時代の勢いと言うのだろう、IT産業が世界中の人を吸い寄せている。息子も最近、出張して来ているようだ。



私はすでにビジネスとは遠い世界にいるから、目指すのはサンフランシスコ市近代美術館である。6年前は大改修中で、ずっと心残りになっているのだ。開催中のアンディ・ウォーホール展は行列ができていたので断念し、常設展をゆっくり鑑賞する。時間は確かにゆっくりできるのだが、どの展示ルームもとんでもなく過激で、気分はとてもゆっくりできない。ニューヨークのMoMAが穏やかに思い出されるほどだ。



ケーブルカーのターン乗り場は長い行列が延び、相変わらずの観光名所だ。向かいのNORDSTROMはシアトル発祥の高級百貨店で、バンクーバーでもポートランドでも中心街に店を構えていた。私はMacy’sのセールで買ったサンダルに履き替え、好景気だという米国の消費動向を見て歩く。米国も日本同様、百貨店ビジネスの苦戦が伝えられて久しいけれど、街にはやっぱりデパートがあった方がいい。(2019.7.2)










































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