goo blog サービス終了のお知らせ 

日々適当

hibitekitou

Viz Artist をインストールしてみる

cg |2018-08-28

Vizrt社という会社があります。ノルウェーの会社で放送用途のソフトウェアを作っており、その種類は多岐に渡るのですが、放送用リアルタイムグラフィックの描画エンジンとしてのViz Engineというツールが中核にあります。そして、そのEngineで表示するグラフィックを作成するエディタがViz Artistというものです。

テレビのニュースやスポーツ中継でスタジオや会場で表示されるCGや、ゲームの大会(eスポーツとか)で会場を盛り上げるグラフィックのために利用されていたりするようです。リアルタイムでグラフィック表現をするのだけど、短期間でCGを作成せねばならないって方向の用途といえましょうか。ちなみに最近はAR方面の売り込みを行なっているようです。以前からやっていたけどARって単語が有名になってきたらARって言ってみたって感じですけどね。


The Red Bull Air Race with Vizrt AR graphics from Vizrt on Vimeo.



こちらのツールたちは、何せ放送用途だから大変にお高く、個人で導入するのはあまり現実的ではありません。放送局でも日本国内においてはVizはやっぱりお高いということで、BrainstormっていうViz Engineと同じような目的のツールとシェア争いをしているのですが、ともあれ、世界では非常にメジャーなツールだったりします。メジャーなのですけど、用途が非常に限られるために、利用者の数は自ずと限られます。
で、今年の前半にVizrt社は何か危機感を持ったのか、Viz Artistのフリー版というのをリリースしてきました。Unity 3dとかUnreal engineなんかのリアルタイムのゲームエンジンの台頭と関係あったりするのでしょうか?

A Tornado Hits The Weather Channel


こちらのテレビのスタジオ風景はUnreal engineで表示されているそうです。(1m50sあたり以降からが目玉)


フリー版。当然ながら仕事に使える(最終的なアウトプットに使える)わけではありません。その辺りには制限が加えられています(ウォーターマークが乗ったりSDI出力ができなかったり)。しかしそれ以外の部分は有償プラグイン部分を除いてほぼほぼフル機能を使用することができます。言い方としてはViz Artistが無料化された、ということもできるようです(最終的なアウトプットをするにはEngineが必要で、そちらはかなり高価です)。
ということで、それを自宅環境とか職場環境の各人のローカルにインストールして、利用できる人間を増やしたいというのがVizrt社の願いでしょうか?

インストールしてみます。

Viz Artist [Vizrt.com]のページからGET IT FREE!っていうリンクボタンがあるんで、それを押して行ったページで必要情報を登録します。するとユーザー名とパスワードが記されたメールが届きますので、そのメールに記されたライセンス取得のためのページをWebブラウザで開き、メールに記されたアカウントでサインインします。



あとはこのページの指示通りにして行けば、インストールからライセンスの取得まで済んでしまいます。
その過程でダウンロードするインストーラは二つ。一つはLicense Server Setup、もう一つはViz Artistのインストーラとなります。
まずはLicense Server Setupです。こちらのインストール時に設定する項目は一つで、普通はローカルマシン用に設定するのでしょう。



インストールが終わると、Webブラウザで開いているページは自動的にインストールが完了したことを検知して、下図のようにその行程が終わったことを示し、次の選択肢を示します。



指示に従い Viz Artist のインストーラをダウンロードし、落ちてきたexeファイルを走らせてインストールを行います。



インストーラの設定画面は基本的にデフォルトで良いのでしょうが、データディレクトリは個人的にはCドライブ以外にしておいたほうがいいのではないかと思ったりします。
このインストールが終わると、デフォルトのWebブラウザで



って画面が開くはずです。こいつはGraphic Hub Terminal ってツールで、Viz Artist(Engine)で扱うデータを管理するGraphic Hubって物をコントロールする画面です。デスクトップにGH Teminalっていうアイコンがあるはずで、それでこのページを開くことができるのは覚えておきましょう。
インストールまで終わったら、前の画面のNextボタンを押すとライセンスを生成するボタンのあるページにきます。



Generateすると、Activateするボタンのあるページにきまして



当然それを押すのですけど、初めてインストールする際には



こんな感じでライセンスコンテナが見つからないってメッセージのページに飛ばされるので、Create Container でコンテナを作成してください。(ここでインストールマシンが仮想マシンだと Create Container がアクティブにならないようです。回避方法を知りません…)



結果、改めてActivateできるようになるので、ボタンを押します。
成功すると



こんな感じで、ライセンスに関する全てのプロセスをパスしCloseボタンが表示されます。Closeボタンを押すとまたインストールを即すような画面に行きますが、インストールは終了しているので、無視して大丈夫です。

ちなみにダウンロードした二つのインストーラを保持しておけば、他のマシンに(以上の処理を行ったサイトを開いた上で)インストールが可能です。複数台に入れるなら保存しておいたほうがいいでしょう。Viz Free版がリリースされて最初のViz Artistのバージョンは3.10でしたが夏に3.11が突然リリースされました。落ちてくるのはその時の最新版なので、最新版がリリースされたら落とし直したほうがいいかもしれませんね。ちなみに3.11でViz Artistで初めてスキンベースのメッシュアニメーションが実装されました。Mayaとかで作った基本的なキャラクター構造をfbx経由で持ち込むことができるようになった、ってことですな。<追記>その時の最新版が落とせると思ったのだけど、2020年7月現在、Viz Artist自体の最新バージョンは3.14.3なのだけど、いまだに3.12しかFree版は存在しないから、何か大きな変更がない限り、Free版として不都合のない最新しか落とせないってことなのでしょうね。</追記>

以上でデスクトップにある Viz Artist のアイコンをダブルクリックすれば、Viz Artist が起動するはずです。



Viz Artistを利用する際のデータの取扱いに注意点があります。

Viz Artist(Engine)は全てのデータをデータベースで管理します。Windowsのエクスプローラで手軽にアクセスできるようにはできていないということです。必要なデータ(ジオメトリやテクスチャ)はArtistやEngineを介してデータベースにインポートします。そして、そのデータベースを管理するものがGraphic Hubで、Viz ArtistはGraphic Hub越しにデータを扱っているということになります。そのため、Graphic Hubが止まっているとViz Artistでは何もできなくなります。



これが動いている状態。
Emergency Shutdown というボタンを押すと止まります。ちなみにこのインストールプロセスでインストールをすると、マシン起動時にGraphic Hubが自動的に起動するようになるようです。



これが止まっている状態。
データベースのバックアップを取る時なんかは、必ずGraphic Hubを止めてから行います。

また他のマシンで動作しているGraphic Hubを指定することもできます。(今回のインストール例では)ローカルのGraphic Hubが止まっている状態でViz Artsitを起動させると



Graphic Hubがみつからねぇから指定しろってダイアログが開きます。この状態で他のマシンで動作しているGraphic Hubがあるなら、localhostと入っているドロップダウンメニューから他のマシンを指定できます。



複数のマシンを同期させて動作させるという時、ほぼ必ず、同期させる全てのマシンが一つのGraphic Hubを参照するように設定するわけです。(テレビのスタジオでは複数のカメラで同時に撮影して収録が行われるわけで、通常は、カメラごとにViz Engineを稼働させたPCを用意します。各PCのローカルにデータベースを持つよりも、ネットワーク越しに一つのデータベースを参照する方が効率いいっすね)

というわけで、このViz Artist。簡単なものを非常に簡単に作ることができます。手数を非常に減らすことができる。その代わり難しいものはあまり得意ではないというか、一定のレベル以上のことをやるのが非常に困難なのですが、あるレベルまでならその制作速度は他の追従を許しません(と思う)。人によっては楽しいかもしれないので、一ついかがでしょうか?
世界中のテレビ局で使われているツールなので、人によっては世界を相手に仕事の道が開けるかも、ですよ?w

コメント ( 2 )|Trackback ( )
 
コメント(10/1 コメント投稿終了予定)
 
 
 
Unknown (ナオ)
2020-07-14 10:19:28
始めまして。
この記事を参考にさせて頂きました。
1点お伺いしたいのですが、Viz Artrist起動時に60daysという表示が1日ごとに減ってるのですがこれは有効期限とかなのでしょうか?
お分かりでしたら教えて頂けると助かります。
 
 
 
Unknown (m4g)
2020-07-14 18:50:48
取得したライセンスの有効期限っすね。
0になると起動しなくなるので、そうなったらViz|artistをダウンロードしたりライセンスを取得したサイトに行って、自身のライセンスを確認するページ(My Free License)で期間を延長する手続きをしてあげてください。
 
コメントを投稿する
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。