万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

理想が先走る復興会議

2011年05月16日 15時48分19秒 | その他
臨時増税や自然エネルギー拡大提案 復興会議中間整理案(朝日新聞) - goo ニュース
 世論調査によると、70%の人々が、菅首相の浜岡原発の停止要請を支持しているそうです。しかしながら、代替策なき突然の原発停止は、やはり、理想の”先走り”なのではないかと思うのです。

 こうした”先走り”は、復興会議にも見られます。反原発の世論の高まりを背景として、早速、復興会議では、自然エネルギーの拡大を提案したそうです。しかしながら、復興という作業は、直ぐに取り掛かるべきものなのですが、実用的な自然エネルギーの開発には、まだまだ年月がかかります。現状では、自然エネルギーの導入に必要不可欠となるスマート・グリッド技術が、未だ実証実験の段階であることに加えて、太陽光発電、風力、地熱などには、低い発電効率や環境や人体への影響といった面で、克服すべき問題点があるからです。

 一般の政策会議で、長期的なエネルギー政策の視点から、自然エネルギーの研究・技術開発や普及を提唱するならばいざ知らず、復興会議という場で、未来技術を前提とした提案を行いますと、技術が実用化されるまえの間、被災地の復興そのものが遅れるか、あるいは、高い生活コストと不便を押し付ける可能性もあります。先の増税案に続いて、復興会議は、現在使える技術の範囲で、早期の復興を目指すべきではないかと思うのです。

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国営テレビの声明はカダフィの遺言か

2011年05月15日 14時28分41秒 | 中近東
カダフィ氏「NATOは臆病者」 国営テレビで肉声(朝日新聞) - goo ニュース
 激しい戦いが続くリビアでは、首都トリポリへの空爆により、カダフィ氏が負傷したとするニュースが流れる一方で、国営テレビでは、この情報を打ち消すかのように、肉声の声明が放送されたそうです。”NATOは臆病”と罵って。

 しかしながら、この声明の内容を読んでみますと、どこか遺言のようにも思えるてくるのです。声明では、「臆病者の十字軍に言う。私はお前たちの手が届かない場所にいる。私は多くの人々の心の中に住んでいるのだ」と述べたそうです。”手の届かない場所”という表現は、天国といった死後の世界を想起させますし(国民を虐殺したカダフィ氏には、地獄の方が相応しいかもしれない・・・)、”人々の心の中に住む”という言い回しも、もはやこの世には存在しないことを暗示しています。

 実際のところ、カダフィ氏の生死は不明ですが、少なくともこの声明文を録音した時点において、氏は、空爆による死を覚悟していると推測されます。このことは、NATOを臆病者呼ばわりする強気な言葉とは裏腹に、カダフィ側が、相当に追い詰められていることを示しているのではないでしょうか。

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パチンコ擁護―逆方向を向く蓮舫節電担当相

2011年05月14日 14時15分12秒 | 日本政治
蓮舫氏「真摯に反省」 節電担当相として知名度生かせず(朝日新聞) - goo ニュース
 深刻な電力不足を受けて、菅内閣では、早急に節電担当相を新設し、知名度の高い蓮舫氏を起用しました。出足は早かったのですが、蓮舫節電担当相の仕事ぶりは、逆方向を向いているように思うのです。

 供給電力量には上限があるのですから、節電担当相の仕事とは、産業や国民生活を広く見渡して無駄な電力消費を見極め、それに対して重点的に節電を対策を採ることにあります。我が国の場合には、大量の電力を浪費するパチンコ産業や自動販売機などが、率先して節電すべき対象とされており、国民の多くも規制を求めています。特にパチンコには賭博性がありますので、禁止のための立法を含めて、最も取り掛かりやすい分野でもあります。しかしながら、国民からの強い要望が寄せられているにも拘わらず、蓮舫節電担当相は、逆に、パチンコ擁護論を展開しており、規制強化や禁止立法のために動く気配が感じられないのです。

 これでは、節電担当相のポストは、節電の対象となった特定産業の利権を擁護するために設置されているとしか思えません。国民に対しては、事細かく日常生活上の節電を要請しながら、巨大な利権団体に対しては、メスを入れることはしないのです(弱きを挫き、強きをたすく?)。民主党議員の多くは、パチンコ業界との癒着が疑われていますが、蓮舫節電担当相の姿勢には、多くの国民が、納得しないのではないでしょうか。

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遅すぎた福島と早すぎた浜岡

2011年05月13日 11時29分53秒 | 日本政治
浜岡4号機の発電が停止、5号機は14日に(読売新聞) - goo ニュース
 家屋の火災でも、初期消火が決め手となるように、あらゆる事故は、初期段階での対応は重要です。福島第1原発事故では、危機に対する”遅すぎる政府”の対応が、今日に至る重大な事態を招いたと指摘されています。

 この汚名を返上したいためか、菅首相は、中部電力に対して、東海地震に際しての危険性が取り沙汰されてきた浜岡原発を、突如、停止させる要請を行いました。政治決断をアピールしたい思惑も隠されていたようですが、今度は、福島原発とは逆に、”早すぎる対応”による失敗例になりかねないと思うのです。浜岡原発停止については、専門家を含め、様々な方面から非難の声があがっています。原発リスクの低減にしても、津波対策では、直下型地震による被害のリスクは変わりませんし、使用中の核燃料棒の保管にも問題があることは、福島第1原発の4号機が証明しています。しかも、電力供給量が突然に削減されることによる産業や経済、並びに、国民生活へのマイナス影響は、計り知れないのです。

 切迫した事態にあってはパニックに陥って迷走、時間的な余裕のある時にはヒステリックな拙速では、危機は終息ではなく、さらに拡大します。”遅すぎた福岡”と”早すぎた浜岡”に対する菅首相の政治責任は、重大であると思うのです。

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中国政府は1300万人の無戸籍に戸籍の追認を

2011年05月11日 21時30分45秒 | アジア
中国、一人っ子政策が招いた1300万人無戸籍(読売新聞) - goo ニュース
 中国政府が長期にわたって実施してきた”一人っ子政策”は、全人口の1%当たる1300万人の無戸籍児を出現させてしまったそうです。無戸籍のままですと、国民とは認められず、充分に社会保障を受けられないといった不利益を蒙ることになります。

 中国の国籍法の第4条には、「父母の双方又は一方が中国の公民で、本人が中国で生まれた場合は中国国籍を有する。」とあります。つまり、無戸籍とはいえ、1300万人の人々は、中国国籍を保有しており、国籍はあるが、戸籍がない状態なのです。中国政府は、この数値を、国家統計局の調査で把握したそうですが、政府が実態を掴んだ以上、戸籍への正式な記載を許可するべきなのではないでしょうか。大量の無戸籍の問題は、事後的な戸籍の追認で解決します。

 我が国への中国人不法入国者の中には、無戸籍の人が少なくないと聞きます。自国の国民を正確に把握し、出入国を厳正に管理することは、中国が、責任ある現代国家となる第一歩であると思うのです。

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菅首相擁護論―イギリスの議会制民主主義は消えたのか

2011年05月11日 15時29分18秒 | ヨーロッパ
なぜ菅首相は「唐突」な決断をし批判されるのか――政治の意思決定プロセスを日英比較から考える(ダイヤモンド・オンライン) - goo ニュース
 菅首相の浜岡原発停止要請は、電力供給が産業ならびに生活の基本インフラであるため、中部電力、中部地方の企業、住民・・・など、そのマイナス影響の範囲は測りしれません。当然に、非難の声が上がったのですが、イギリス政治と比較して擁護する意見もあり、いささか驚いています。

 上久保氏の擁護論によりますと、イギリス政治には、(1)イギリスの政治的な意思決定は、密室で行われる、(2)議会の審議がなくとも、首相の決断で、即日に増税が実施できる、(3)首相の決定は専門家の検証に耐えるものでなければならない(専門性)、(4)国民は政治決定の公共性を評価基準にしている、という特徴があるそうです。しかしながら、この特徴、これまでのイギリス・モデルとは、正反対なのです。(4)はその通りとしても、かつてのイギリス・モデルは、(1)政治的な課題はオープンに議論する、(2)マグナ・カルタ以来の伝統により、財政権は、議会にある、(3)首相決定は、議会の議論に耐えるものでなければならない、というものであり、それ故に、議会制民主主義の母国とされてきたのです。

 奇妙なことに、菅首相のみならず、議会軽視の独裁型政治家として知られる小沢氏もまた、イギリスを政治制度のモデルと見なしています。もし、擁護論が主張するように、イギリスの政治システムが首相独断型に移行しているならば、我が国は、現在のイギリスのシステムを、参考とすべき民主主義国家のモデルとすることには、極めて慎重にならざるを得ないと思うのです。

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日本にも四人組が出現したのか

2011年05月10日 15時46分30秒 | 日本政治
官邸、極秘協議1か月…法的根拠なく行政指導(読売新聞) - goo ニュース
 法的根拠もなく、突如、浜岡原発の停止を要請した菅首相の政治手法は、権力濫用の疑いが濃厚です。しかも、この要請、一か月も前から四人の民主党員と極秘裏に進めていたというのです。

 かつて、中国では、毛沢東の権威を笠に着て、文化大革命の陰で権力を専横した、江青、王洪文、張春橋、姚文元の四人組が出現しました。紅衛兵を手先としたプロパガンダ作戦、反対者の弾圧と排除、知識人の下放、暴力の容認など、四人組が君臨した時代は、現代中国史の暗い一面として知られています。少数の同士が極秘に結託して、政治権力をふるうこのスタイル、どこか、民主党政権の手法と似ているのです。東日本大震災による混乱に乗じたゲリラ的な原発停止要請は、枝野官房長官、仙谷副官房長官、海江田経済産業相、細野豪志首相補佐官の四人のみが関与したと報じられています。中国でも、実際には、毛沢東を加えた”五人組”であったと見なされているようですが、我が国も、菅首相を合わせますと、”五人組”となります。電力供給はライフラインでもありますので、原発の停止は、日本経済のみならず、国民生活に直接影響を与えます。こうした重大な決定を、わずか5人だけで勝手に決めてしまったのです。

 停止要請と前後して、首都圏でも大規模な原発反対デモが起きたことは、偶然の一致なのでしょうか。中国でも、四人組の時代には、恐怖が支配し、経済も停滞したとされています。我が国における四人組、あるいは、五人組の出現は、さらなる政治危機の兆候なのではないかと思うのです。

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浜岡原発停止要請―国家賠償と国民負担

2011年05月09日 14時56分29秒 | 日本政治
地元説明なく浜岡原発停止要請「やむを得ず」 枝野長官(朝日新聞) - goo ニュース
 菅首相は、何らの法的根拠もなく、中部電力に浜岡原子力発電所の全面停止を要請しました。この要請により、中部電力に損害が発生した場合には、国家賠償の対象となる可能性があると思うのです。

 国家賠償法の第一条には、「国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員が、その職務を行うについて、故意または過失によって違法に他人に損害を加えたときには、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる」とあります。浜岡原発については、中部電力は、法律に従って、経済産業相から原子炉の設置と運転の許可を得ています。合法的に行われている民間の事業に対して、政府が、法律に基づかずに停止を要請するとしますと、裁判所は、国が、”故意に””違法”に他人に損害を与えたと判断するかもしれないのです。もちろん、緊急避難や被害者の承諾などを理由として、違法性が阻却される場合もあります。しかしながら、緊急避難は、他に採るべき方法がない場合にしか認められませんし、30年の間に87%の確率では、過剰避難とされるかもしれません。また、被害者の承諾は、中部電力が、自ら損害を引き受けることを意味しますが、赤字転落や株主訴訟も予測されていますので、安易に承諾すれば、中部電力が苦境に陥ることは目に見えています。

 しかも、たとえ国家賠償が成立したとしても、苦しむのは民主党政権ではなく、実際に賠償を負担する国民です。法律や正当な手続きを無視して、首相が独断で物事を決定しようとしますと、最大の被害者は、自国の経済と国民となるのですから、これ程、酷いお話はないと思うのです。

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浜岡停止要請は日中韓原発定期協議のためか

2011年05月08日 15時59分55秒 | 日本政治
「浜岡は特別だ」首相、粘り強く中部電力説得へ(読売新聞) - goo ニュース
 今月6日、菅首相が、突然に浜岡原発の停止を要請したことが、様々な憶測を呼んでいます。何故ならば、要請はあまりに唐突で不自然であり、その背後には、国民に隠した情報や思惑があるとしか考えられないからです。

 こうした中、昨日、日中韓の三か国は、政府間の原発定期協議を行う方針を固めたそうです。この決定が、停止要請の時期と重なることから、菅首相の要請の背景には、中韓に対するパフォーマンス、あるいは、両国からの要請があったとも考えられるのです。前日には、鳩山前首相も北京を訪問して習近平次期国家主席と会談しており、相談したとされる海江田経済産業省も、親中派として知られています。また、設置が予定されている原発定期協議会が、その実、相互性の欠如した、我が国の原発に対する中韓による共同管理機関となる可能性も否定できないのです。

 民主党政権が、我が国の経済が、如何に打撃を受けようとも、中韓との関係や両国の利益を優先するために浜岡原発の停止を画策したとしますと、民主党政権は、もはや日本国の政府とは言えないのではないでしょうか。

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どこか不可解な浜岡原発停止要請

2011年05月07日 16時10分59秒 | 日本政治
浜岡原発、全面停止へ…首相が中部電力に要請(読売新聞) - goo ニュース
 昨晩、7時のNHKニュースのテレビ画面が切り替わり、記者会見場の菅首相の姿が映し出されました。ここで首相は、国民に向けて、中部電力に対して浜岡原発の全面的な停止を要請したことを、突如、発表したのです。ところが、この会見の内容、辻褄の合わないことばかりなのです。不審な点とは・・・

(1)首相は、今後30年以内に87%の確率で東海地震が発生することを停止要請の理由として挙げていましたが、一刻を争うならばいざ知らず、スパンを30年としますと、わざわざニュースを中断してまで放送する緊急性が見当たりません。

(2)停止期間は、防波堤が完成するまでとしていますが、その間も、制御不能となるリスクは継続します。原発は、原子炉停止によって即座に安全となるわけではなく、冷温状態で安定するまで時間がかかりますし、燃料棒の保管プールの管理が困難となると、福島第1原発の4号機と同様の事態が発生します。

(3)中部電力は、浜岡原発の第4号機と第5号機に対して1000ガルに耐える耐震強化を行っており、定期検査中の3号機に加えて、最新の原子炉をも停止させることにも疑問があります(浜岡原発訴訟でも、運転差し止めが求められているのは1号から4号まで・・・)。

(4)首相は、海江田経済産業相と相談して決断したと述べていますが、浜岡原発の危険性について、原子力や地震の専門家の意見を聞いた気配はありません。両者による”政治決断”には、科学的で合理的な根拠を欠いている可能性もあるのです。

(5)また、この決定には経済産業相がかかわりながら、不足が予測される電力供給について産業界と調整したり、中部電力を含む関係者の合意を取り付けた形跡も見当たりません。政策決定過程のプロセスが、極めて独断的なのです。

 何らの電力の代替供給策も提示することなく、しかも、東日本大震災の被害により、中部地方での生産を拡大させなければならない状況にあって、有無を言わさずに、電力供給量を減らす要請は、果たして適切なのでしょうか。説明不足であるが故に、支持率アップを狙った反原発パフォーマンス説、アルカーイダによるテロ予告説、外国による中部経済破壊説、東海地震予兆説・・・といった説が飛び交うことになりました。首相の不可解な要請は、国民が安心するどころか、むしろ不安となる原因となっていると思うのです。

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鳩山前首相の対中謝罪―核実験と黄砂汚染の被害は不問なのか

2011年05月06日 11時00分41秒 | 国際政治
空と海を汚染…鳩山前首相、中国副主席に陳謝(読売新聞) - goo ニュース
 鳩山前首相は、訪問先の中国にて、次期国家主席と目されている習近平副主席と面会し、福島第1原発事故による汚染について陳謝したと報じられています。この陳謝、一方的すぎるのではないかと思うのです。

 何故ならば、過去における中国の核実験と現在の汚染された黄砂による我が国に対する被害の方が、福島第1原発の事故が中国に与える被害よりも、はるかに大きいからです。首都圏で観察された過去最高の放射線量は、福島原発の事故時ではなく、中国の核実験によるものであり、このことは、原発事故においては、さらに遠方にある中国に飛散した放射性物質の量は、首都圏よりも少ないことを示しています。その一方で、経済成長著しい中国では、環境規制が緩いため、最近の黄砂には、核実験時の放射性物質に加えて、人体に重大な悪影響をもたらす重金属が含まれているそうです。汚染黄砂は、偏西風に乗って東方一帯に拡散するわけですから、我が国は、中国の公害による被害国でもあるのです。さらに付け加えるならば、中国の土壌の大半も重金属で汚染されているとの指摘もあり、食品の安全性についても、日本産よりも中国産のほうが危険性が高いかもしれません。

 鳩山前首相は、首相在任時には、黄砂対策費として1兆7500億円の支援を約束もしていますので、中国の深刻な環境汚染状況について、知らないはずはありません。にもかかわらず、我が国の加害性ばかりを強調して陳謝する鳩山前首相の態度に、国民の多くは、納得しないのではないでしょうか。

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対テロ戦争のためのルール造りを

2011年05月05日 16時08分02秒 | 国際政治
ビンラディン容疑者は殺害時は非武装 米大統領報道官(朝日新聞) - goo ニュース
 米軍特殊部隊によるオサマ・ビン・ラディン殺害について、国際社会では、ビンラディンが非武装であったことなどから、国際法上の合法性を疑問視する声も聞かれるそうです。しかしながら、現時点では、幾つかの点から、この決断も致し方なかったのではないかと思うのです。

 まず第一に、戦う相手は、国家ではなく、テロ組織であったことです。ビン・ラディンは、1998年2月に、「ユダヤ・十字軍に対する聖戦のための国際イスラム戦線」を結成し、イスラム教徒に対して、”アメリカと同盟国の国民を殺害する義務がある”、と宣言し、相次いでテロ事件を起こしました。アメリカとアルカーイダとの関係は、”殺すか殺されるか”の敵対関係に至り、2001年の同時多発テロにより、アメリカは、アルカーイダに対する対テロ戦争を開始したのです。アフガニスタンでの戦争は、あくまでも、テロ組織と国家の政府が結びついたことで引き起こされたものであり、敵の本隊は、国家ではなく、テロ組織であったのです。

 第二に、テロ組織であるからこそ、従来の戦争法を適用することもできない、という問題点があります。無差別殺人という人類の禁じ手を武器とするテロリスト達には、戦争法といったルールを守る意思は全くありません。このことにより、戦闘員と非戦闘員の区別はつかなくなり、有事と平時を分けることもできなくなりました。ビンラディンは、自宅で命を落としますが、テロリストもまた、数多くの無防備な民間人を無差別に殺害したのです。正当な司法手続きを経ずに、ビンラディンを殺害したことを批判する意見もありますが、自らを法の保護の外に置いたのはテロリスト自身ですし、テロ組織相手では、常に”戦争状態”となるのです(戦争では殺害は許されている・・・)。

 第三に、たとえ、個人の刑事責任として、アメリカの国内裁判所や国際刑事裁判所においてテロリストを訴追することができても、逮捕することができない限り、刑を言い渡し、罰を課すことはできないことです。国際警察部隊が存在しない現状では、国家レベルの軍が動かなければ、テロリストを捕縛することはできないのです。

 現在の国際社会には、政治と司法が混在していることは以前の記事で書きましたが、もし、より法に沿った形で対テロ戦争を行おうとするならば、むしろ、対テロ戦争のための国際的なルール造りをすすめるべきです。例えば、テロリストが正規の部隊ではない以上、国際社会は、平時にあっても、攻撃対象とされた国の特殊部隊に対して、テロリストに対するピンポイント型の活動を広く許容すべきなのかもしれません。

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パキスタンに事前連絡すれば作戦が筒抜けに

2011年05月04日 15時15分03秒 | 国際政治
米、事前連絡なしに殺害作戦 パキスタン「深い懸念」(産経新聞) - goo ニュース
 パキスタン国内では、アメリカ政府から軍事作戦に関する事前連絡がなかったことに、不満と非難の声が上がっているそうです。しかしながら、ウサマ・ビンラディンの隠れ家を取り巻く事情を考慮しますと、事前連絡なしの行動も致し方なかったのかもしれません。 

 アメリカ政府は、オサマ・ビンラディンが、パキスタン軍のおひざ元で潜伏していた事実を掴んだ時点で、パキスタン政府に対する疑念を抱いたはずです。”灯台下暗し”という言葉があるように、ビンラディンが、相手の意表を突くために、敢えて敵の懐に侵入したのかもしれませんが、それでも、潜伏情報が僅かでも外に漏れれば、即、軍に逃げ道を塞がれ、包囲されてしまう位置にあります。このリスクを考えれば、やはり、報じられているように、パキスタン政府、または、軍部の一部がビンラディンと内通していたか、あるいは、匿っていたとする憶測は、あながち否定できないのです。

 こうした状況にあって、もし、アメリカ政府が、パキスタンに対して事前連絡を行ったとしますと、おそらく、この極秘情報は、何らかのルートでビンラディン側に筒抜けとなり、作戦部隊が到着した時には、隠れ家はもぬけの殻になっていたことでしょう。アメリカとパキスタンの関係は、ますます疑心暗鬼に陥っているようですが、両国の相互不信が、アメリカが、事前連絡なしの軍事行動を採らざるをえなかった理由であると思うのです。

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オサマ・ビンラディンは戦死した

2011年05月03日 15時35分48秒 | 国際政治
オサマ・ビンラディンについてオバマ大統領声明・全文(gooニュース) - goo ニュース
 昨日、アルカーイダの最高指導者、オサマ・ビンラディンが、パキスタン国内で潜伏していたところを、アメリカの特殊部隊の作戦によって殺害されました。我が国のマスコミ報道では、”ビンラディン容疑者”と報じていますが、”容疑者”という表現に、どこか違和感を覚えるのです。

 社民党の議員などは、”容疑者”の殺害を司法手続きに違反するとして、非難しているようです。確かに、同時多発テロを、テロリストによる刑事上の”殺人事件”として捉えるならば、ビンラディンは”容疑者”ですし、逮捕したうえで裁判にかけるのが、正当な手続きです。ところが、同時多発テロは、単なる犯罪レベルに留まらず、国際テロ組織を相手とした戦争へと発展しました。アメリカは、アルカーイダに対して宣戦布告し、アルカーイダもまた、アメリカに対して”聖戦”を戦ったのですから。国際社会も、NATOを始め、テロとの闘いに賛同し、パキスタン政府もまた、自国内での米軍の行動を認めていたはずです。国際社会は、警察機能が不十分であるため、未だ、政治と司法が混在しているのです。

 イラク戦争の時のように、大統領職にあったフセインを捕縛して裁判にかけるという戦後処理の方法もあったかもしれません。しかしながら、特殊部隊による作戦が、戦争の文脈にあったことを考えますと、ビンラディンの死は、戦死であったと思うのです。

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イスラム原理主義より民主主義を

2011年05月02日 15時39分39秒 | アメリカ
「U、S、A」数百人が歓喜 ホワイトハウス前に若者ら(朝日新聞) - goo ニュース
 本日、オサマ・ビンラディンが終に米軍特殊部隊によって殺害されたという、驚くべきニュースが飛び込んできました。ビンラディンのこの世からの退場は、イスラム原理主義の終焉を運命づけることになるかもしれません。

 チュニジアのジャスミン革命に始まった中東諸国の民主化運動は、イスラム原理主義の誤りと限界を、おのずと明らかにすることになりました。イスラム教徒の多くは、原理主義者の煽動に乗ってテロに走るのではなく、自国の独裁者に対して、命を賭して闘いを挑んだのですから。このことは、原理主義者達は、聖戦を仕掛ける相手を間違え、テロという無差別殺人の闘争手段にも誤りであったことを示しています。

 中東諸国の人々が、独裁者を排して民主主義を自らの手で掴みとり、そうしてアメリカもまた、イスラム諸国の人々のために民主化を支援すれば、原理主義者が押し付けてきたイスラム対西洋文明の対立構図は、やがて消えてゆくのではないかと思うのです。

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