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万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

鳩山前首相の対中謝罪―核実験と黄砂汚染の被害は不問なのか

2011年05月06日 11時00分41秒 | 国際政治
空と海を汚染…鳩山前首相、中国副主席に陳謝(読売新聞) - goo ニュース
 鳩山前首相は、訪問先の中国にて、次期国家主席と目されている習近平副主席と面会し、福島第1原発事故による汚染について陳謝したと報じられています。この陳謝、一方的すぎるのではないかと思うのです。

 何故ならば、過去における中国の核実験と現在の汚染された黄砂による我が国に対する被害の方が、福島第1原発の事故が中国に与える被害よりも、はるかに大きいからです。首都圏で観察された過去最高の放射線量は、福島原発の事故時ではなく、中国の核実験によるものであり、このことは、原発事故においては、さらに遠方にある中国に飛散した放射性物質の量は、首都圏よりも少ないことを示しています。その一方で、経済成長著しい中国では、環境規制が緩いため、最近の黄砂には、核実験時の放射性物質に加えて、人体に重大な悪影響をもたらす重金属が含まれているそうです。汚染黄砂は、偏西風に乗って東方一帯に拡散するわけですから、我が国は、中国の公害による被害国でもあるのです。さらに付け加えるならば、中国の土壌の大半も重金属で汚染されているとの指摘もあり、食品の安全性についても、日本産よりも中国産のほうが危険性が高いかもしれません。

 鳩山前首相は、首相在任時には、黄砂対策費として1兆7500億円の支援を約束もしていますので、中国の深刻な環境汚染状況について、知らないはずはありません。にもかかわらず、我が国の加害性ばかりを強調して陳謝する鳩山前首相の態度に、国民の多くは、納得しないのではないでしょうか。

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コメント (9)
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