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万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

パキスタンに事前連絡すれば作戦が筒抜けに

2011年05月04日 15時15分03秒 | 国際政治
米、事前連絡なしに殺害作戦 パキスタン「深い懸念」(産経新聞) - goo ニュース
 パキスタン国内では、アメリカ政府から軍事作戦に関する事前連絡がなかったことに、不満と非難の声が上がっているそうです。しかしながら、ウサマ・ビンラディンの隠れ家を取り巻く事情を考慮しますと、事前連絡なしの行動も致し方なかったのかもしれません。 

 アメリカ政府は、オサマ・ビンラディンが、パキスタン軍のおひざ元で潜伏していた事実を掴んだ時点で、パキスタン政府に対する疑念を抱いたはずです。”灯台下暗し”という言葉があるように、ビンラディンが、相手の意表を突くために、敢えて敵の懐に侵入したのかもしれませんが、それでも、潜伏情報が僅かでも外に漏れれば、即、軍に逃げ道を塞がれ、包囲されてしまう位置にあります。このリスクを考えれば、やはり、報じられているように、パキスタン政府、または、軍部の一部がビンラディンと内通していたか、あるいは、匿っていたとする憶測は、あながち否定できないのです。

 こうした状況にあって、もし、アメリカ政府が、パキスタンに対して事前連絡を行ったとしますと、おそらく、この極秘情報は、何らかのルートでビンラディン側に筒抜けとなり、作戦部隊が到着した時には、隠れ家はもぬけの殻になっていたことでしょう。アメリカとパキスタンの関係は、ますます疑心暗鬼に陥っているようですが、両国の相互不信が、アメリカが、事前連絡なしの軍事行動を採らざるをえなかった理由であると思うのです。

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