万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

太陽光発電狂想曲―民間投資家への電力利権の供与では

2011年05月26日 17時37分26秒 | 日本政治
太陽光普及へ共同で発電設備 19道県とソフトバンク(朝日新聞) - goo ニュース
 19もの地方自治体が、ソフトバンクの孫氏が提唱するメガ・ソーラー事業への協力を表明しているそうです。この協力、明らかに地方自治体による民間人への利権供与となるのですが、知事たちは、自分達の行動が、法律に違反する可能性があるとは思わないのでしょうか。

 地方自治体はもろ手を挙げて賛同しているようですが、財政や電力料金に多大な影響を与えますので、知事の一存で決定できる問題ではないはずです。納税者、企業、電力会社などの合意を取り付ける必要もあります、予算や用地使用の許可に関する法改正ついては、国会や地方議会の審議と採決を経なければなりません。また、たとえ、関係者の合意を得たとしても、ソフトバンクにのみを、メガ・ソーラーの事業者として指定する方法は、明らかに公平性に反しています(違法の可能性・・・)。実際に、東北電力でも、メガ・ソーラー施設の建設を予定しているそうですので、あらゆる企業や事業者に対して、メガ・ソーラー市場を開放すべきです。もし、孫氏ではなく、他の個人や企業であったならば、批難轟々となるはずなのですが、何故か、マスコミは沈黙しているのです。

 このままこの構想が暴走するとしますと、一民間人に、太陽光発電の利権を独占させることになります(発電事業については、ソフトバンクとの関係が不明とのこと・・・)。しかも、電力会社が電力を高値で買い取るとしますと、福島第一原子力発電所の賠償金の支払いで、財政的な苦境にある東電をはじめ、電力会社の財務状況がさらに悪化することも予測されます(株価下落と外国政府系ファンドによる買収の懸念・・・)。こうした状況は、我が国の産業にとりまして望ましいはずもなく、太陽光発電については、一度、頭を冷やしてから考え直すべきと思うのです。

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コメント (2)
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