万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

青森県知事選―原発が基地問題化する怖れ

2011年05月19日 17時51分13秒 | 日本政治
青森県知事選告示、3氏が立候補届け出(読売新聞) - goo ニュース
 普天間基地の移転問題をめぐって深刻化した、政府と沖縄との間の軋轢は未だ解消される気配がありません。国の政策と地方の意向とが衝突する場合、その解決は、容易なことではないのです。

 こうした国と地方との”ぎくしゃく”した関係は、青森県との間でも起きる怖れがあります。何故ならば、来月に予定されている青森県知事選挙の結果次第では、ここでも、国のエネルギー政策と地方の選択とが、対立する可能性があるからです。特に、青森県の六ヶ所村では、近々、核燃料の再処理施設の稼働が予定しており、他の原発を抱える県とは異なる事情があります。今のところ、建設中や計画段階の原発の中止や白紙撤回を求めているのは、共産党の候補者だけのようですが、民主党の候補者は、原発に厳しい世論を追い風とするために、脱原発の方針で臨むようです。もし、脱原発・反原発の知事が誕生するとしますと、核燃料の再利用計画の行方も不透明化します。

 今後とも長期にわたって民主党政権が続くとは限りませんし、原発事故の検証も済んではいません。浜岡原発のように、代替策もなく、知事選の結果を受けて、即座に原発が停止されるという事態に陥れば、経済や産業へのさらなる打撃となりますので、原発に関する国と地方との権限をより明確化した上で、産業界を含めた多様な利益の調整を図るべきと思うのです。

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コメント (2)
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