万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

”カダフィ容疑者”か”カダフィ氏”か

2011年05月17日 15時45分59秒 | その他
カダフィ氏ら3人の逮捕状請求 国際刑事裁判所(朝日新聞) - goo ニュース
 オサマ・ビンラディンが米軍特殊部隊によって殺害された時、マスコミは、こぞって”ビンラディン容疑者”と表記して、この一大ニュースを報じました。この時は、容疑者という表記に、対テロ戦争の一環という性格から、どこか違和感を覚えたのものです(もちろん、同時にテロ事件の容疑者でもあるのですが・・・)。

 こうした中、本日、リビアの独裁者カダフィ氏に対して、国際刑事裁判所が、人道に対する罪により、逮捕状を請求したたという情報が伝えられました。ところが、リビアに関する報道では、表記には変化はなく、一向に”カダフィ氏”のままなのです。ビンラディンを容疑者と呼んだ基準からすれば、マスコミは、カダフィ氏の呼称も、即、容疑者に変更するはずなのですが・・・。”容疑者”という表現は、ビンラディン殺害の場合には、”裁判を受ける正当な権利がある者”というニュアンスが色濃くなりますが、”カダフィ氏”の場合は、この表現を使うと、”お尋ね者”の犯罪者というイメージが強くなります(なお、本ブログでは、国民を無慈悲に虐殺したカダフィ氏については、”氏”を付けることに抵抗感があり、呼び捨てにしている記事もあります・・・)。

 リビアが内戦状態にあることを考慮しているとも考えられますが、ビンラディン報道との間には一貫性が見受けられません。少なくとも、現実に、国際刑事裁判所で逮捕状が請求された人物の方が、はるかに”容疑者”という表現が相応しいのではないでしょうか。マスコミの表記の使い分けには、犯罪者やテロリストを巧妙に擁護する意図があるようにも思えるのです。

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